来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀短観、米ISM製造業景況指数、米雇用統計(訂正)
■株式相場見通し
予想レンジ:上限32900円-下限31500円
先週末29日の米国市場では、予算案審議の混迷や全米自動車労組のストライキ拡大表明などがリスク要因となり、NYダウは158.84ドル安と反落した。一方、半導体関連の一角が買われたナスダック総合指数は小幅ながら3日続伸となった。強弱材料が交錯して、買い手掛かりに掛ける中、週明けの東京市場は気迷いムードのスタートとなりそうだ。
10月相場入りとなるが、引き続き日米の金利や為替の動向、原油市況を睨みながら方向性を探る展開となりそうだ。国内企業の上半期決算動向などにも関心が移っていこう。
週初となる10月2日は、寄り付き前に7-9月期日銀短観が発表される。大企業製造業の業況判断DIの市場予想中央値は6と前回5から小幅改善が見込まれている。短観の大企業製造業の業況判断DIは輸出セクターを中心に上振れとなる可能性が一部で指摘されている。特に自動車や金属製品、木材・木製品といった業種での上振れの可能性が高く、中間決算発表による業績相場への移行に向けた物色の手掛かりにつながることに期待したい。
ほか、目先に迫った外部要因としては、米国の新年度予算成立の遅れに伴う政府機関の閉鎖問題が懸念材料として横たわっている。米下院は9月29日、野党共和党が提案した10月末までのつなぎ予算を反対多数で否決し、政府機関の一部閉鎖リスクが高まった。29日のNYダウ反落の一つの要因としても働いている。ただ、仮に政府閉鎖の事態打開に向けた議会などの動きが出てくれば、相場にはポジティブサプライズとして大きくプラスに作用しよう。
また、海外投資家の売買動向にも目配せが必要だ。東証が9月28日に発表した9月第3週(19-22日)の投資部門別売買動向では、海外投資家が総合で9371億円の売り越し(前の週は3151億円の買い越し)に転じている。内訳としては、現物が8644億円の売り越し、TOPIX先物は380億円の買い越し、225先物は1107億円の売り越しとなっている。この週は日米の長期金利上昇が警戒され、日経平均株価が前週末比1130円安の32402円と2週ぶりに急反落した週にあたる。この売り越しスタンスにブレーキが掛かるかが注目される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きとなりそうだ。日米金利差が意識され1ドル=150円突破の可能性はあるが、日本政府による円安けん制がさらに強まり、リスク選好的な円売りが後退した場合、ドルの上値はやや重くなる可能性がある。ドル・円の150円台が視野に入ると日本政府はけん制姿勢を強め、鈴木財務相は「あらゆる措置を排除せず適切に対応する」と昨年以来の為替介入をちらつかせている。ただ、「昨年と異なり足元のドル・円相場はボラティリティがそれほど大きいとは言えない」(短期筋)と介入の実施については見方が分かれているようだ。
一方、足元で発表された米経済指標は堅調な内容が目立ち、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め方針を後押し。米10年債利回りは2007年10月以来となる4.7%近辺まで上昇し、今週発表の9月雇用統計などが強い内容なら金利高・ドル高の基調は維持される見込み。英国、スイスの中央銀行は政策金利の据え置きを発表したが、欧州中央銀行(ECB)も次回以降は政策金利の据え置きが予想される。FRBの利上げ余地で欧州通貨に対するドル選好地合いがさらに強まれば、ドル・円の取引でもドル買いが強まる見通し。
なお、米議会下院は29日、マッカーシー下院議長が提案した10月末までのつなぎ予算案を否決した。この結果、10月1日から連邦政府機関が一部閉鎖される可能性は一段と高まった。連邦政府機関の一部が閉鎖された場合、リスク選好的な為替取引は縮小する可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月2日(月):日銀短観(大企業製造業DI)(7-9月)、米・ISM製造業景況指数(9月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とフィラデルフィア連銀総裁が円卓会議に参加、など
10月3日(火):米・JOLT求人件数(8月)、米・アトランタ連銀総裁が講演、など
10月4日(水):米・ADP全米雇用報告(9月)、米・サービス業PMI(9月)、米・ISM非製造業景況指数(9月)、など
10月5日(木):参院徳島・高知補選告示、豪・貿易収支(8月)、独・貿易収支(8月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・貿易収支(8月)など
10月6日(金):日・家計支出(8月)、景気先行CI指数(8月)、米・非農業部門雇用者数(9月)、米・失業率(9月)、米・平均時給(9月)、など
《CN》