【杉村富生の短期相場観測】 ─需給要因による下げは絶好の買い場に!

市況
2023年10月1日 9時15分

「需給要因による下げは絶好の買い場に!」

●四半期ごとの月末・月初が安値になる!

ときに、株式市場は不可解な動きをする。これに惑わされてはいけない。大切なのはトレンド(流れ)の確認である。9月28日の配当落ち(日経平均株価の影響は225円程度)は投げ売り的な商状となった。日経平均株価は499円安の3万1872円で引けた。瞬間安値は697円安の3万1674円だ。チャーチストは「足形が悪い」という。

なぜ、こんな展開になってしまったのだろうか。実は多くが需給要因である。まず、配当忌避の外国人は8月以降、現物売りの先物買いのポジションを組んでいた。配当落ちを受け、先物を売ったのだ。この種の売買は裁定解消売りと同様、「中立」のはずだが、現物買いが遅れた。「より安いところを買う」となったのだろう。

いわゆる、執行時間のズレである。需給面では他に自社株買いの自粛期間(四半期末の5営業日)入り、日経平均株価の銘柄入れ替え(リバランスは29日大引け→4100億円の換金売り圧力)があった。リバランスを先取りし、投機筋が「いたずら」をしたと思われる。

さらに、9月末は大型の株式分割があった。これまた株数が増えた分、株価が下がって、投資勘定的には「中立」だが、機関投資家の判断は違う。とりあえず、持ち株が3~5倍になった銘柄の一部を「売っておけ」となったらしい。う~ん? 理不尽な話だ。1対10のパーソルホールディングス <2181> [東証P]のようなケースでは株数が10倍である。

まあ、心理的に分からないでもない。個人投資家だって、よく行う。いずれにせよ、ここ数年は四半期(3月、6月、9月、12月)の月末、月初が当面の安値になっている。今回もそうなるだろう。したがって、ここは絶好の押し目形成場面と判断する。

●労使紛争は妥結?窓口閉鎖は株高に

NY市場ではビッグスリーとUAW(全米自動車労組)の労使紛争(最大46%の賃上げを要求し、ストライキ突入)、連邦政府の窓口閉鎖などを気にしている。「景気が失速する」というのだ。労使紛争についてはUAWが要求を「30%」に引き下げ、フォード<F>は受け入れる可能性が濃厚(妥結は近い)という。

連邦政府の窓口閉鎖はある意味、「年中行事」だ。最近ではクリントン政権時代の1995~1996年(21日間)、オバマ政権時代の2013年(16日間)、トランプ政権時代の2018~2019年(35日間)などがあった。閉鎖期間中の株価の影響をみると、S&P500指数は3回とも下がっていない。2018~2019年は7.9%の上昇である。

まあ、気にする必要はない。さて、何を狙うか。旧日立化成を吸収、半導体材料分野自動車素材事業を強化したレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]は2024年12月期以降、業績が急浮上に転じる。配当は65円を継続している。PBRは0.83倍だ。PBR1倍の3038円が上値のメドになる。

南海化学 <4040> [東証S]は苛性ソーダを中心とする化学品メーカーだ。収益力が高いことで知られている。2024年3月期の1株利益は400円を超え、配当は15円増の30円に拡大するとの予想もある。現在、半導体などハイテク工場の排液リサイクル事業(売上構成比1割)を強化中だ。将来的にはこれが収益の第2の柱になろう。

このほか、ギガキャスト関連のJMC <5704> [東証G]、再生可能エネルギーに注力のウエストホールディングス <1407> [東証S]、急成長が見込めるプラスアルファ・コンサルティング <4071> [東証P]、出直り態勢のユーピーアール <7065> [東証S]、ジャパニアス <9558> [東証G]などに注目できる。

2023年9月29日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.