大塚竜太氏【下期入り初日は後場大失速、不透明な環境続く】 <相場観特集>
―日経平均3万2000円近辺を巡る10月相場の展望は―
週明け2日の東京株式市場は日経平均株価が一時500円を上回る急上昇をみせたが、その後は値を消し、何と大引けはマイナス圏で引けた。きょうから10月下期相場入りとなるが、先行き不透明材料は多く、空売りの買い戻し一巡後に日経平均は勢いを失った。3万2000円近辺の水準は強弱観が対立しているが、投資家はどういうスタンスで臨めばよいのか。向こう1ヵ月の相場展望についてベテラン市場関係者に意見を聞いた。
●「3万1000円台を買い下がる方針で」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京市場では日経平均が朝方は急速なリバウンドに転じた。これは米国で警戒されていた予算不成立に伴う米政府機関の一部閉鎖が、土壇場でつなぎ予算が成立したことから回避されたことに反応したものだ。この問題についてはメディアなどで大きくハヤされてはいるものの、過去に繰り返されてきたように実際は政府機関が閉鎖される可能性は低く、落としどころは用意されているといってよい。しかし、閉鎖されないことがはっきりすれば、投機筋の先物売りの反動が出るのが相場であり、きょうは今晩の米国株高を先取りする形で日経平均が大きく戻りをみせる格好となった。ただ、買い戻しは前場で終了。後場は急速に値を消す展開で上値の重さが改めて意識された。
日経平均は目先強弱観の対立で10月相場は前半もたつく場面があっても、後半にかけて上げ足を強める可能性が高いとみている。足もとで警戒されている米長期金利の上昇については、強い米経済を反映するものと考えれば健全であり、遅かれ早かれ株式市場でも金利高に対する耐性がついてくることが予想される。
今週は週末に予定される9月の米雇用統計の結果を見たいというムードはあるものの、想定内の内容にとどまり全体相場の波乱要因とはならないとみている。日本株も国内の好調な企業業績に加え、為替市場の円安が一段の追い風となる。目先は先物主導で荒い値動きだが、当面は押し目買いを念頭に置き、日経平均が3万2000円台を割り込んだら買い出動。3万1000円台は買い下がりで対処したい。
物色対象としてはまず自動車株に注目。日米金利差を背景とした円安を追い風に自動車生産台数の回復が鮮明で、今後も波状的に資金が流入し上値を指向する公算が大きい。また、半導体セクターの市況底入れをにらみ、半導体製造装置や半導体素材を手掛ける銘柄群にも目を配っておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース