「余計な電気代は払わない!」と、自分で自宅を設計したらFIREに成功
すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 みねおかさんの場合-最終回
今回はなし |
2023年6月に55歳で公務員を辞め、目標にしていたFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成する。株式投資を始めたのは03年からで、当初は株主優待目当てだった。しかし、14年にマイホームのローン完済したのを機に割安株狙いに変更。暴落時に買い向かい、その後は基本、ホールドし続ける投資スタイルを確立させていく。現在の運用資産は約2億3000万円。家計に役立つ優待銘柄を中心に、家族4名義分の口座を用いて銘柄を保有し、一口座当たりの保有数は約130銘柄に。自宅取得と同時に賃貸駐車場も得ており、この不動産収入も家計や投資の種銭づくりに貢献している。
第1回記事「上げ相場では開店休業中でも、資産2億円超え&FIRE達成の訳」を読む
第2回記事「ESG的には罰点で売り浴びせられても、拾う神に徹して稼ぐ技」を読む
暴落ハンターのみねおかさん(ハンドルネーム)にとって、投資活動は開店休業中の日がけっこうある。だが、自宅のエアコンは、1年のうち9カ月もフル稼働している。24時間、旅行で家を空けるときでも、休まず運転しているそうだ。
それでも一家の電気代は、総務省の「家計調査」にある4人家族の平均額よりも10%ほど安く抑えられている。電気料金の急激な値上がりが起きている昨今では、ばかにならない額だ。みねおかさんは節約分を投資の種銭に補充して、投資効率を向上させている。
この省エネ住宅は、本人の設計によるものだ。余計な光熱費を支払わなくて済む家にするために、みねおかさんは二級建築士の資格まで取得している。土木エンジニアのベースがあるものの、働きながら自宅の設計のためにだけ資格を取得するのは、それなりの覚悟がいる。
この自分の思いを形にする姿は、投資家として成果を出し、55歳でFIREを実現した実績とつながるものがある。最終回は、投資家みねおかさんの礎になっているものを見ていこう。
■夏季に自宅全体に冷風を送る2階のエアコン
撮影:本人
6畳用エアコン1台で、2階建て80畳分の室温を快適にする
みねおかさんの自宅の特徴は、開放感に溢れる作りだ。家族が集まる1階リビングは2階まで吹き抜けになっており、こうしたオープンスペースが建物の大部分を占める。
プライベートな空間として区切られる子供部屋以外は、ほぼ1つながりとなっている。この構造こそが、光熱費削減につながる重要な役割を果たしている。
夏場に一家の冷房を担うのは、2階の共有部分の壁に設置された1台の6畳用エアコンだ(上の写真)。この1台だけで、1階と2階を合わせた80畳分の室温を快適に保つ。その効果をもたらしているのが、建物の気密性を工夫したことだ。本人によれば「夏場は気密、冬場は断熱の性能が鍵になる」そうだ。
一方、冬は1階に設置した1台の6畳用のエアコンをフル稼働させる。夏は2階のエアコン、冬は1階のエアコンと場所を変えるのは、吹き抜けを通して夏は重たい冷気を2階から1階に、冬は軽い暖気を1階から2階に届くようにすることで、家全体の室温を快適に保つのだ。
一定の温度を維持して、スイッチのオフ・オンをなくす
エアコンのスイッチを1日中、オンにするのは、エアコン起動時の消費電力が大きいことを考慮してのことだ。みねおか家では、冷房が必要な6月~9月、暖房の11月~3月は、常に28度程度の室温を保つようにしている。部屋の空気の流れを工夫する設計にしていることで、28度の室温でも夏場は快適に過ごせるそうだ。
さらに、エアコンの室外機にも工夫を施している。室外機の上にタオルを敷き、そこにエアコンの運転で発生する冷たい排水をドレンホースから染み込ませている。
その目的は、室外機を冷やし、かつ室外機の背面に水が流れるようにするためだ。室外機の背面に水が流れると、吸い込む空気が冷え、それによって冷房効率が上がるという。
オール電化より約1400円、電気・ガス別タイプより約1800円節約
この節約技などもあって、みねおか家の1カ月あたりの電気代は、21年の実績で1万5160円に抑えられた。「家計調査」(総務省)によれば、同じ条件での電気とガス・その他の光熱費全体を合わせた平均は1万7012円になる。
みねおか家は、同じオール電化の世帯に対しては月に約1400円、電気・ガスが別の世帯に対しては約1800円分のコストダウンができている。80畳分の広さを持つ家屋で、冷暖房の時期にはエアコンを24時間稼働させていることを踏まえると、健闘している金額といえるだろう。
■みねおか家と平均的な月の光熱費の比較
住宅タイプ | 光熱費 |
みねおか家 | 1万5160円 |
オール電化 | 1万6533円 |
電気・ガスが別 | 1万7012円 |
出所・一般住宅は総務省2021年家計調査、オール電化は関西電力。
データは2021年(オール電化平均は20年~21年の平均)で4人家族が対象、
電気とガスの内訳は、電気が1万1376円、ガス&その他が5636円
愛車は40万円で買った中古、FIRE祝いの外食で払ったのは42円
光熱費削減に代表されるように、家計の節約も「みねおか設計図」に描かれたものだ。マイカーや外食、余暇に関わる費用を徹底的に削り、生み出した余資を投資に回す仕組みを築いている。
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