富田隆弥の【CHART CLUB】 「安値を付けやすい10月、年末を前に底打ちも」
◆日経平均株価は10月16日の656円安に続き、19日も611円安と厳しい下げが続く。中東での地政学リスクの台頭、米国の金利上昇と米下院議長選出を巡る議会混迷などの懸念要因が重なり、マーケットはリスクオフの姿勢を強めた。チャートも心許ない状況が続く。日経平均株価は12日に558円高と大きく戻したが、25日・75日の両移動平均線を抜け切れずに反落し、下落相場を脱することなく再び下値模索となった。
◆ただし、10月4日安値の3万0487円から13日高値の3万2533円まで1週間超で2000円強という短期急騰をみせた後であり、その反動として半値押し(3万1510円)近辺の調整は相場のセオリーでもある。懸念が長引くなら3分の2押し(3万1169円)もあり得るが、4日安値の3万0487円や200日線(19日時点3万0161円)を維持しているうちは「通常の調整」の範囲内と見ておきたい。
◆ヘッジファンドの決算を控えて10月相場が荒れることは珍しくなく、一時的に需給が厳しくなるところだが、年末相場を前に底打ちするのも10月でもある。昨年と一昨年は「10月序盤安値→11月中旬高値」という動きを見せており、今年も同様の展開になってもおかしくない。懸念材料の山積で市場には「売り(ショート)」が溜まっており、反転するなら買い戻し(ショートカバー)をバネに上げ幅を広げることも想定される。
◆もちろん、イスラエル・ハマス衝突などの地政学リスクは無視できず、米国市場がカギを握ることも変わらない。ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日の講演で「FRBは地政学的リスクが経済へ及ぼす影響を監視する役割も担う」と語っている。10月31日~11月1日には米連邦準備制度理事会(FOMC)が予定されており、投資家はここからさらに売り込むのは難しくなると思われる。
(10月19日 記、次回更新は10月28日を予定)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース