伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 10月29日版
日経平均株価は上昇を開始する準備の動きへ入るか
1. NYダウはすでに下値の目安になる場所へ位置している
本年の NYダウは3月までいったん下げて、3月15日に年間の最安値をつける動きを経過して、その後、8月まで上昇を継続した後、8月1日に年間の最高値をつけて、10月末まで下降の流れへ入っています。
1950年から2022年までの期間で、本年と似た展開となっている年(年初の価格が下げて3月頃に押し目をつけた後、上昇を開始して8月頃に年間の最高値をつけ、その後10月頃まで下げている年)は、1952年、1957年、1978年、1990年、1997年、1998年、1999年、2014年、2016年が挙げられます。
1998年は年初にあまり下げていませんが、8月に年間の最高値を付けた後に10月まで下げているので、似たパターンとしています。
2016年は8月から10月まで積極的な下げ場面になっていませんが、この期間で上値重い展開となっているので、似たパターンとしています。
図1は、上記の過去9回の年間の値動きを示しています。以前から紹介してきた通り、NYダウは10月頃に押し目をつけた後、年末へ向けて上昇する傾向があります。
そのため、10月頃まで下げた後、押し目をつけて上昇するという展開は9回のすべてのケースで共通していますが、10月頃の安値の値位置に2通りのパターンがあります。
1957年、1990年、1998年のように、10月までの下げで年間の最安値を更新している年と、1952年、1978年、1997年、1999年、2014年、2016年のように、年の前半につけた年間の最安値を更新せずに押し目をつけるパターンです。
年間の最安値を更新している年は、10月までで年の前半の安値を割れているため、本年のケースと異なります。
本年のように10月の時点で年間の最安値を更新していない年は、年初の値位置が意識される動きとなっています。
1月の始値を割れずに上昇を開始するか、1月の始値を割れても一時的な動きで終わり、すぐに値を戻して押し目をつける動きとなっています。
過去のパターンを参考にすると、本年の8月1日以降の下げは、1月3日の始値3万3148ドルが意識される格好で押し目をつけて、年末へ向けた上げの流れへ入ると考えられます。
だとすれば、前週末の値位置はすでに下値を拾われる可能性のある場所へ位置しています。
図1 NYダウが本年と似たパターンのときの動き方