米国株式市場見通し:パウエルFRB議長発言や主要企業決算に注目
来週はFRBのパウエル議長が国際通貨基金(IMF)の年次リサーチ会議で「世界経済における金融政策の課題」との議題の討論会に参加する予定で発言に注目だ。議長の発言を受けた長期金利動向が相場の鍵を握りそうだ。そのほか、共和党が大統領候補者の討論会を開催する予定で、相場材料になりそうだ。
FRBは今週開催したFOMCで市場の予想通り利上げを見送ったが、金融や与信の引き締まりが経済や物価に影響を及ぼす可能性があると指摘。今後、慎重に政策を決定している姿勢を再表明した。議長はFOMC後の会見で、長期債利回りの上昇に注意を払っていると言及。一部のメンバーと同じく、長期金利が上昇を続けた場合は、追加利上げの必要性が低下すると考えているようだ。10年債利回りは5%を達成後、上昇が一段落している。議長はインフレに関してもリスクがより均衡したと、インフレの改善を指摘。さらに、今後の課題が追加利上げをするかどうかだと、利上げサイクルが最終段階に達したと考えていることを示唆したため、市場では利上げ終了期待が高まり、相場の上昇を支援した。
議長は同時に、インフレが目標2%達成の軌道にあることや、政策が十分に引き締め域にあることを確信できないと、追加利上げの選択肢も除外しなかった。ただ、今週発表された10月雇用統計の結果を受け来年の利下げ時期も前倒しされており、議長が一段とタカ派姿勢を弱めると、相場をさらに押し上げるだろう。
リスク材料としては、中東情勢に加え、政府と共和党新議長が率いる下院の予算交渉が再び困難となり、政府機関閉鎖の可能性がくすぶることには注意したい。ただ、季節的に下落する傾向が強い9月、10月相場通過で、新年度に向けた新たな資金の株式市場への流入が期待でき、リスクが相殺され続伸に繋がる可能性が強そうだ。
経済指標では、9月貿易収支(7日)、9月卸売売上高(8日)、週次失業保険申請件数(9日)、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値(10日)、などが予定されている。
なお、パウエル議長は9日に討論会参加を予定。
主要企業決算では、著名投資家バフェット氏運営のバークシャー・ハサウェイ(4日)、エネルギー関連では、ダイモンドバック・エネルギー(6日)、オキシデンタル・ペトロリアムやデボン・エナジー(7日)、電気自動車メーカーのローズタウンモーターズ(6日)やリビアン、ルシド(7日)、フィスカー(8日)、そのほか、旅行サイトを運営するトリップアドバイザー(6日)、配車サービスのウーバーテクノロジー(7日)やリフト(8日)、住宅建設会社のDRホートン、バイオのギリアド(7日)、エンターテインメントのウォルト・ディズニー、映画館運営のAMCエンターテインメント、スポーツ用品メーカーのアンダーアーマー、製薬会社のバイオジェン、後払いサービスを提供するアファーム、高級衣料ブランドのラルフローレン、オンラインゲーム開発のロブロックス、製薬会社のノヴァヴァックス(8日)、高級衣料ブランドのカプリなどを運営するタペストリー、食品会社のUTZブランズ(9日)、百貨店のディラーズ(10日)などが予定されている。小売り企業の決算ではマクロ経済の減速の影響で、売上鈍化の見通しに警戒したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》