来週の株式相場に向けて=3万5000円意識の相場突入か
17日の日経平均株価は前日比160円高と反発し、3万3500円台を回復した。市場ではヘッジファンドなど短期筋の買いなどが注目されているが、日立製作所<6501>や信越化学工業<4063>が最高値を更新しており、「中長期投資の海外投資家の買いも入り始めたのかもしれない」(市場関係者)という声が出ている。
足もとで決算発表は一巡したが、日経平均ベースの予想1株当たり利益(EPS)は2250円台に上昇した。トヨタ自動車<7203>の決算前には2100円前後だったといい、業績面からも日本株を買い上がる余地は膨らんだともいえる。
日米の金融政策決定会合や決算発表という当面のイベントは一巡した。東京市場を巡る環境は米国の金利低下が見込めるほか、業績は堅調という状況にあり、「不透明要因が消え買い安心感が広がる状況」(アナリスト)になっている。
大手証券は24年3月期の13%増益予想に対して、来期、来々期も増益を予想しているという。来期以降は別としても、足もとの日経平均ベースの予想EPSにPER15.5倍を掛けると3万5000円という数字が弾き出される。当面は7月3日につけた年初来高値(3万3753円)の更新が焦点だが、この高値を抜ければ、年末年始に向け3万5000円を視野に入れた展開も期待できるかもしれない。
米長期金利低下のメリットを享受する、東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>などグロース株が物色の焦点だが、日本郵船<9101>や三菱商事<8058>などバリュー株も見直されそうだ。
来週は21日に10月31日~11月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。また、同日にはエヌビディア<NVDA>の決算が発表される。23日は感謝祭で米国は休場となる。24日は年末商戦の幕開けとなる一斉セール「ブラックフライデー」を迎え、米小売りの動向が注目されそうだ。国内では23日が勤労感謝の日で休場。24日に10月消費者物価指数(CPI)が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは3万3200~3万3900円前後。(岡里英幸)