桂畑誠治氏【欧米株高でも変調な日本株、年末相場はどうなる?】 <相場観特集>
―3万3000円台の上値の重さ際立つ、掉尾の一振はあるか―
週明け4日の東京株式市場は、朝方からリスク回避の流れとなり日経平均株価は下値を試す展開を強いられた。前週末の欧州株市場が全面高に買われ、米国株市場もNYダウが4日続伸し新値街道を走っているにもかかわらず、東京市場では弱気優勢で上値を買い進む動きはみられない。果たして、このまま12月相場は鳴かず飛ばずで終わってしまうのか。現状分析と今後の見通しについて、日米の経済動向や株式市場へのアプローチで定評のある第一生命経済研究所の桂畑誠治氏に話を聞いた。
●「米株主導で年内3万4000円台目指す」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
前週末の欧米株市場が一斉に強い動きを示したものの、東京市場はその流れを引き継ぐことができず日経平均は続落を余儀なくされた。株価軟調の背景は円高の進行が挙げられるが、それだけではなさそうだ。24年3月期上期の決算発表でも明らかになったように企業業績は大方の想定以上に強いが、これは外需主導で国内経済が今一つ自信が持てない環境にあることが嫌気されている面もあるのではないか。
また、前週に総額13兆円超の補正予算が成立したが、それに対するマーケットの反応の鈍さも気がかりである。岸田政権が打ち出す政策に不透明感が意識されるなか、全体株価の上値の重さにつながっているようにも感じる。
前週末に注目されたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演での発言内容は、タカ派的ではなかったがハト派的でもなかった。利上げ終了判断は早計であり、適切ならば金融政策を更に引き締める用意があるとの見方を改めて示した一方、引き締め不足と引き締め過ぎのリスクが一段と均衡しつつあるとして、今後の金融政策はより慎重に判断するという政策スタンスを繰り返した。これを受けて、マーケットは独自解釈で利下げ前倒しシナリオを織り込む形で全体相場を押し上げる格好となった。
米国株市場が利下げ前倒し期待から一段と上値を指向した場合、足もとで冴えない東京市場もこれに追随する動きが想定される。米株高が日本株市場を引き上げる形で日経平均は年末までに3万4000円台半ばくらいまで上昇しても不思議はない。他方、下値リスクについては3万2000円台半ばへの調整は念頭に置いておきたい。物色対象としては半導体関連株の押し目買いや、秋口から11月上旬にかけてグロース株シフトの流れの中で売られていた海運株の戻りなどに着目してみたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
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株探ニュース