来週の株式相場に向けて=「マイナス金利解除」への思惑が相場翻弄
8日の東京株式市場は、日経平均株価が550円安の3万2307円で取引を終え1カ月ぶりの安値圏に売られた。言うまでもなく震源は為替相場だ。ニューヨーク市場で一時1ドル=141円台に急激な円高が進行。来週は12~13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、翌週の18~19日に日銀の金融政策決定会合が予定されている。FOMCでは政策金利据え置きが予想されているが、焦点は日銀会合で「マイナス金利解除に向けた何らかの動きがあるのではないか」(アナリスト)との思惑が台頭している。
長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)に関しては、先の会合で実質的には形骸化されており、焦点はマイナス金利解除だ。市場では日銀の植田和男総裁による「チャレンジング」発言が話題となったが、それに先立ち「地銀がマイナス金利解除を要望した」との一部報道が流れたことも注目された。
アナリストからは「新年は米大統領選や日本でも自民党総裁選などもあり、不透明要因が多い。マイナス金利解除に踏み切るなら年初にかけては良い時期だろう」との声も聞かれる。実際には、春闘での賃上げの状況などを確かめることも求められるので「今月はマイナス金利解除に向けて地ならしを行い、実際の解除は来年1月かもしれない」との見方もある。為替相場は昨年10月と今年10~11月に151円台でダブルトップをつけており、足もとは円高を試す局面にある。
こうしたなか、株式市場も「日経平均株価は年内では3万2000円前後を下値にした相場が続くかもしれない」(市場関係者)との見方も強まり始めた。株価は11月には7月高値(3万3753円)に接近し33年ぶり高値更新を目前としたが、その後は失速傾向となった。しかし、年初からは2割強の上昇と好パフォーマンスは維持している。
市場では円高メリットで内需株が関心を集めており、ニトリホールディングス<9843>のような銘柄のほか、東京電力ホールディングス<9501>など電力株、七十七銀行<8341>のような地銀 株などが人気を集めそうだ。
上記以外のスケジュールでは来週は12日に米11月消費者物価指数(CPI)、14日に同小売売上高が発表される。14日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。国内では13日に日銀短観、14日に10月機械受注が発表される。15日に神戸物産<3038>が決算発表を行う。12日にブルーイノベーション<5597>とアウトルックコンサルティング<5596>、15日に魁力屋<5891>とS&J<5599>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万2000~3万2700円前後。(岡里英幸)
最終更新日:2023年12月08日 17時42分