【村瀬智一が斬る!深層マーケット】方向感つかみづらい需給のなか、個人主体の資金が中小型株へ

市況
2023年12月9日 8時00分

「方向感つかみづらい需給のなか、個人主体の資金が中小型株へ」

●日米金利差を狙ったボジションを解消

日経225先物はここへきて調整色を強め、11月上旬以来の水準まで下げてきた。11月20日に3万3853円まで買われてバブル後高値を更新し、その後は利食いを交えながらも高値圏で保ち合いを続けていた。しかし、米国では米連邦準備理事会(FRB)による利上げ終了観測が高まるなか、米長期金利は低下基調にある。一方、国内では日銀のゼロ金利政策の解除観測が再燃し、これまで日米金利差を狙って積み上げてきたボジションを解消する動きが強まっている。ドル建ての日経平均株価は依然として高値圏で推移しており、海外ファンドなどにとって利益確定を進めやすい水準であろう。

来週12-13日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では3会合連続での利上げ見送りが市場コンセンサスであり、FRB議長会見を受けて来年早々の利下げ観測が強まるようだと、ポジション解消の動きが一段と強まりそうだ。もっとも、債券市場などが足もとで過剰な反応をみせていることもあり、FOMCの結果を受けてリバランスが強まることも考えられる。その場合は再び日米金利差が広がる格好から買い直される可能性はあるだろう。とはいえ、方向感がつかみづらい需給状況のなかでは、インデックスに絡んだ影響を避ける狙いから、中小型株へ個人主体の資金が向かいやすいと考えられる。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆オキサイド <6521> [東証G]

高機能光学単結晶・素子、モジュールの開発・製造を手掛けるグローバルニッチ企業。単結晶・光学関連の専門家・技術者が多数在籍し、研究開発型の事業会社として成長している。12月6日には、ドイツの公的研究機関IKZと次世代レーザ用光学単結晶の技術移転に関する共同研究開発契約を締結したと発表。単結晶材料の特性が主要因となって、レーザの高出力化や短波長化に限界をもたらしているが、この限界の打破に向けてIKZと理念が一致したという。株価は11月10日に付けた2227円をボトムにリバウンドを強め、28日には3800円まで買われた。その後の調整では200日移動平均線水準での攻防を見せており、抵抗線突破から2月の年初来高値5000円を意識したトレンド形成に期待する。

◆オカムラ食品工業 <2938> [東証S]

サーモンの養殖、水産品の加工・販売を手掛ける。同社は11月14日、2024年6月期第1四半期(7-9月)の連結売上高は前年同期比5.6%増の68億4900万円、営業利益が同8.9%減の11億6300万円で着地したと発表。売上高は総じて堅調に推移しており、特に養殖事業は前期に水揚げした繰越在庫の販売が前倒しで進み、売上高を押し上げている。10月には台湾子会社が台湾西部全域をカバーするコールドチェーンの運用を開始しており、配送エリア拡大による業績貢献が期待される。株価は12月に入り上昇基調を強めており、8日には3185円を付けて上場来高値を更新。いったんは達成感が意識されやすいものの、需給が大きく改善するなか、一段の上昇に期待したい。

◆オートサーバー <5589> [東証S]

国内最大級の 中古車流通プラットフォーム「ASNET(エーエスネット)」を運営。新車・中古車の流通が回復基調にあるなか、ASNET事業の取引台数が予想を上回って推移。利用手数料の一部改訂などの施策も寄与し、2023年12月期の連結営業利益を従来予想の18億0700万円から20億4700万円に上方修正した。株価は新規上場した9月下旬から一本調子で下げ続けたが、10月下旬から反発に転じ、25日線を支持線に変えて1960円処まで戻してきた。その後やや調整をみせているが、25日線が支持線として意識されやすく、リバウンド狙いで注目したい。

◆コアコンセプト・テクノロジー <4371> [東証G]

製造業・建設業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、IT人材調達支援サービスを提供。同社は11月13日、2023年12月期第3四半期累計(1-9月)の連結営業利益は前年同期非連結比45.1%増の13億6800万円で着地したと発表(※今期より連結決算に移行)。通期計画に対する営業利益の進捗率は85%となる。株価は200日線に上値を抑えられて1カ月近くもみ合っていたが、12月に入り調整色が鮮明となっている。足もとは10月24日に付けた直近安値水準まで下げてきているが、同安値とのダブルボトム形成によるリバウンドを想定する。

◆ヘッドウォータース <4011> [東証G]

AI(人工知能)ソリューション事業を展開。12月6日に同社などは「産業用メタバース活用支援ソリューション」を、米エヌビディア<NVDA>の仮想空間の開発プラットフォームと独シーメンスの産業用高性能PCに対応させたと発表。「産業用メタバース活用支援ソリューション」は遠隔地の工場や店舗などの状況をAIカメラで撮影し、そのデータを仮想空間(メタバース)に反映させることで安全性や効率性を高めるもの。また、アルファベット<GOOG>傘下のグーグルが新たな生成AI基盤「Gemini(ジェミニ)」を発表するなど、年末に向けて生成AI関連への物色の高まりが期待される。株価は10月と11月安値で短期ダブルボトムを形成し、11月17日戻り高値の1万0790円までリバウンド。その後は調整が続くが、25日線にサポートされる形で出直りを見せてきている。

(2023年12月8日 記)

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