米国株式市場見通し:FOMCに注目
来週は米連邦準備制度理事会(FRB)が今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する予定で内容に注目だ。さらに、今後の金融政策を左右する11月消費者物価指数(CPI)や11月生産者物価指数(PPI)といった重要インフレ指標に加えて、11月小売売上高で消費動向を判断していきたい。市場はすでに来年上半期の利下げ開始を織り込んでおり、利下げのヒントがあれば、ハイテク中心に買いが続くだろう。
最近の指標でペースは遅いながらもインフレの鈍化傾向が継続、労働市場のひっ迫にも緩和の兆しが見え始め、さらに、「金融状況がかなりひっ迫した」とパウエル議長をはじめFRB高官が指摘しているため、FRBは今回で3会合連続の金利据え置きがほぼ確実視されている。市場は利上げがほぼ終了、来年は1%の利下げを織り込み始め、相場の上昇要因となった。今回の会合では声明やパウエル議長の会見、スタッフ予測に注目だ。FRBはインフレの2%目標達成には依然長い道のりで勝利宣言は時期尚早と繰り返し、必要とあれば追加引き締めの準備があるとの文言を維持。また、利下げ協議も時期尚早としており、データ次第で政策を決定する方針を再確認するだろう。
ただ、小売売上高は2カ月連続でマイナスが予想されているほか、FRBがインフレ指標として注視している食品やエネルギーを除いたコアCPIは前年比で10月と同じ4%増と2021年9月以来の低い伸びにとどまる見通しで、消費の減速やインフレ鈍化がデータで証明された場合は来年の利下げ観測が一段と強まり、相場を支援することになるだろう。
経済指標では、11月消費者物価指数(CPI)(12日)、11月生産者物価指数(PPI)(13日)、11月小売売上高、週次新規失業保険申請件数、10月企業在庫、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、11月鉱工業生産・設備稼働率、12月製造業PMI、対米証券投資(15日)などが予定されている。FRBは12日、13日の2日間にわたってFOMCを開催。
主要企業決算では、ソフトウエア・メーカーのオラクル(11日)やアドビ(13日)、会員制倉庫型卸売・小売り会社のコストコホールセール、住宅建設会社のレナー(14日)、レストラン運営のダーデンレストランツ(15日)、などが予定されている。
コストコホールセールではインフレやマクロ経済の見通し悪化で消費者の支出が抑制されている可能性があり、見通しに警戒だ。さらに来週は、チャットGPT開発したオープンAIのアルトマンCEOがアトランタで開かれる会合で講演を予定しているほか、自動車メーカーのゼネラル・モーターズのバーラCEOは、ワシントンのエコノミッククラブで講演を予定しており注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》