【植木靖男の相場展望】 ─本年最後の勝負所を迎える!
「本年最後の勝負所を迎える!」
●株価の頭を押さえる政治資金問題
東京市場は苛立たしい雰囲気の中にある。日経平均株価は11月に急上昇した反動からか12月に入って急落した。とはいえ、12月8日になるとコツンと底打ちの音が聞こえた。
この水準(3万2100円~3万2500円処)は10月安値からの上昇幅の半値押しにあたり、また75日移動平均線が位置する価格帯、さらには年後半相場で幾度となくもみ合いとなった均衡点でもある。ここはいったん底打ちしたとみてよいだろう。
だが、その後の反発はいただけない。今回のケースでは本来なら買い転換のメドとされる3万2900円~3万3000円処を抜け切ることができずにいる。12月7日以降、15日まで陽線は2本にすぎず、陰線は5本だ。これでは反転上昇はすぐには難しい。
では、なぜこうも基調は弱いのか? しかも頼りにしている米国株式市場は、NYダウが13日にはついに史上最高値を更新するという急上昇ぶりである。おそらく米国株はさらに上昇するとみてよいだろう。
米長期金利の急低下を受けて、ドル円が円安から円高に転換しつつあることもあるが、為替の影響は功罪相半ばであり、これだけでは説明は難しい。となると、政治だ。安倍派の政治資金問題、つまり政局の先行き不透明感が株価の頭を押さえているのか。
かつて政界を揺るがした1988年のリクルート事件を想起せざるを得ない。当時もインフレ相場の途次であったが、今回もインフレ相場へ向かう道半ばにあり因縁を感じる。
株式市場は今回の裏金問題をあまり悪材料視してこなかったが、4閣僚が事実上更迭される事態に発展した。今後の展開次第だが、8日の安値を下回るかどうかを注視したい。リクルート事件では5%ほど株価が下がった記憶がある。
●年替わりに伴う物色変化には要注意
さて、目先的に株式市場はどう展開するのか。政局の先行き不安を抱えながらも、週末15日は反転上昇した。週明けに上昇すれば、3万3500円に再挑戦する切符を手にする。はたして突破できるのか。本年最後の勝負所といえよう。
物色動向だが、米国株がこれまでと同じ路線の延長上にある限り、成長株主導は揺らぐことはなさそうだ。東京市場も米国に従うことになるが、気をつけたいのは時として年替わりに伴って物色銘柄がガラッと変わることがあることだ。出処進退は早めに判断したい。
今回は海運から商船三井 <9104> [東証P]、また世界市場で事業を拡大するクボタ <6326> [東証P]、またアマゾン・ドット・コム<AMZN>を主要取引先とするAZ-COM丸和ホールディングス <9090> [東証P]、油圧ショベルや鉱山機械の需要が好調な日立建機 <6305> [東証P]などに注目したい。
また、宇宙、防衛関連で将来性が高く、かつ業績もよいNEC <6701> [東証P]や三菱重工業 <7011> [東証P]などは来年相場の牽引役として期待される。中長期狙いで注目したい。
2023年12月15日 記
株探ニュース