来週の株式相場に向けて=日本版「ゴルディロックス相場」への期待も
5日の東京市場で、日経平均株価は前日比89円13銭高の3万3377円42銭と4日ぶりに反発した。1日に能登半島地震、2日に羽田空港での飛行機衝突事故と新年早々大きな事件が発生し、4日の大発会は一時700円強の下落をみせたが、5日は円安の追い風もあり、相場は堅調な値動きとなった。
24年の日経平均株価には「4万円乗せ」の予想も出るなど強気見通しは少なくないが、そのスタートとなる1月相場の動向は今年1年を探るうえで大きな意味を持つ。まずは今晩の米12月雇用統計が注目されるほか、11日の米12月消費者物価指数(CPI)が高い関心を集めそうだ。更に今月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)へと続く。
昨年のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派発言を機に米利下げへの期待が高まり、米金利低下と景気拡大が並存する「ゴルディロックス(適温)相場」を先取りする格好で、年末にかけNYダウは最高値を更新した。
ただ、昨年末の米株式市場の急上昇には「やや行き過ぎ」だったとの機運も浮上している。とはいえ、「行き過ぎた米利下げ期待が後退すれば、急激な円高懸念も薄らぐ。日銀の政策変更への警戒感も一時ほどではない。米景気のソフトランディングと円安持続となれば、日本版のゴルディロックス相場への期待も高まる」(市場関係者)との見方もある。
また、新NISAが始まり個人投資家の資金が株式市場に安定的に流入することへの期待も高い。更に東京証券取引所は15日から「資本コストや株価を意識した経営」への対応策を示した企業の一覧表を公表する。大発会の4日、そして5日の東京市場の売買代金は4兆円前後と膨らんだ。これは「海外投資家の買いではないか」(同)との観測もある。新年相場を占う1月相場が好スタートを切ることへの期待も浮上している。
上記以外の来週のイベントは、海外では12日に米12月生産者物価指数(PPI)が発表される。同日には、JPモルガン<JPM>やバンカメ<BAC>の決算が発表され、米国は決算シーズンに突入する。国内では8日は成人の日で休場。9日に12月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。9日にウエルシアホールディングス<3141>、10日にキユーピー<2809>、11日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>、吉野家ホールディングス<9861>、12日に安川電機<6506>、良品計画<7453>などの決算発表が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万3000~3万3800円前後。(岡里英幸)