【村瀬智一が斬る!深層マーケット】インデックス絡みから業績を軸にした物色へシフト

市況
2024年1月13日 8時00分

インデックス絡みから業績を軸にした物色へシフト

●33年11カ月ぶりに節目の3万5000円台を回復

2024年相場は大発会こそ昨年末の流れから売りが先行し、日経平均株価は3万3000円を下回る場面も見られた。しかし、その後はリバウンド基調が強まり、バブル崩壊後の高値を連日で更新。33年11カ月ぶりに節目の3万5000円台を回復し、前週比2199円高の急騰で今週を終えた。

新NISA(少額投資非課税制度)効果による需給に加えて、中国で取引されている日本の上場投信(ETF)の商いが高水準で推移しており、チャイナマネーの流入が相場を大きく押し上げているようだ。急ピッチの上昇に対する過熱感は警戒されるものの、牽引するのが実需の買いとあってピーク感は乏しい。

大発会安値からおよそ2900円も上昇しただけに、いったんは調整を挟みたいところであろう。週末12日は前日発表した決算が評価されてファーストリテイリング <9983> [東証P]が6%超も上昇。日経平均株価を同社株だけでおよそ232円押し上げており、株式市場を牽引する格好となった。日米ともに決算シーズンを迎えるため、インデックスに絡んだ売買から、今後は業績面を手掛かりとした物色に向かわせそうだ。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆浜松ホトニクス <6965> [東証P]

光電子増倍管やイメージセンサ、半導体製造関連機器などを手掛ける。24年9月期は半導体向けなどで在庫調整を見込むほか、新棟稼働などによる減価償却費増が響き、連結最終利益は前期比14.3%減の367億円を見込む。一方、26年9月期を最終年度とする中期計画では成長期待市場での強みを活かし、高付加価値路線を強化することにより営業利益は613億円(24年9月期予想484億円)への成長を目指す。株価は昨年5月の上場来高値7590円をピークに、下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられる形で調整を続けてきたが、足もとのリバウンドで同線を上放れてきた。調整一巡から一段のリバウンドに期待する。

◆大栄環境 <9336> [東証P]

廃棄物の収集運搬から中間処理、無害化処理、リサイクル、最終処分まで一貫したサービスを提供。経済活動の正常化が一段と進み、インフラ開発案件などに伴う廃棄物処理の需要が高まっている。好調な業績を踏まえ、24年3月期第2四半期累計(4-9月)決算発表と同時に、通期の営業利益を従来の減益予想から一転して最高益見通しに上方修正した。株価は昨年10月24日に付けた1957円を安値にリバウンドを継続しており、足もとの株価は昨年6月に付けた上場来高値2630円に接近。高値更新から一段高となるか。

◆オーエスジー <6136> [東証P]

切削工具の製造・販売を主力とする総合工具メーカー。1月11日に発表した23年11月期の連結営業利益は前の期比9.6%減の198億円で着地した。続く24年11月期は前期比16.2%増の230億円を計画。半導体不足の緩和により生産が回復する自動車向けに切削工具の需要拡大が続く。また、半導体製造装置部品やロボット部品業界など精密加工分野で新規顧客の開拓も進む。株価は決算を受けて窓を空けて上昇し、半年ぶりに年初来来高値を更新。2021年以降の上値抵抗水準を捉えてきており、抵抗突破からの上昇本格化を想定する。

◆リンテック <7966> [東証P]

シール・ラベル素材や屋外サイン、内装材から半導体、液晶分野まで幅広い製品を展開。半導体関連製品のラインアップ拡充と半導体製造に関わる新規プロセスの開発を推進するべく、昨年12月に福岡県産業・科学技術振興財団が運営する三次元半導体研究センター内に研究開発を担う新たな組織を開設した。株価は上向きで推移する13週線にサポートされて上昇トレンドを継続。足もとは昨年12月29日高値の2754円をピークに調整を見せているが、25日線水準からのリバウンドに期待したい。

◆ネットワンシステムズ <7518> [東証P]

次世代ICTシステムの構築・運用を手掛ける。パブリック市場として官公庁・自治体のほか、社会インフラを提供している企業向けにビジネスを展開。2024年3月期上期の受注残高は、製造業や非製造業、金融業種を顧客とするエンタープライズ市場では金融業向けが多少弱含んではいるものの、クラウド活用およびセキュリティ強化の継続案件を獲得した。株価は昨年11月29日に付けた昨年来安値2001.5円をボトムにリバウンドを継続し、75日線水準で推移している。上昇する25日線と75日線のゴールデンクロスが迫るなか、75日線上放れによるリバウンド加速を想定する。

(2024年1月12日 記)

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