為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米インフレ持続や株高の影響残る
【今週の概況】
■日米金利差の維持予想でドルは底堅い動きを保つ
今週のドル・円は底堅い動きを保った。米連邦準備制度理事会(FRB)は5月に利下げを開始するとの見方が強まり、1月9日に143円42銭までドル安円高に振れたが、日本銀行は2024年度の物価見通しを下方修正するとの思惑が浮上し、日米金利差は当面維持される可能性があることから、リスク回避のドル売りは縮小した。日経平均株価の上昇もドル買い材料となった。さらに、11日発表の12月米消費者物価指数は市場予想を上回ったことからドル・円は一時146円41銭まで買われた。ただ、米国の5月利下げの確率は変わらず、米長期金利は弱含みとなったことから、リスク選好的なドル買いは縮小し、ドル・円は145円台前半まで値を下げた。
12日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時144円台前半まで売られた。この日発表された2月米生産者物価指数(PPI)は前月比-0.1%と予想外のマイナスを記録したことから、米国債利回りは全般的に低下し、5月利下げは完全に織り込まれた。原油高を受けてドル売りはやや一服したが、144円90銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:143円42銭-146円41銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、米インフレ持続や株高の影響残る
来週のドル・円は下げ渋りか。1月11日に発表された米12月消費者物価指数(CPI)は前年比で総合が+3.4%、コア指数は+3.9%と市場予想を上回った。ボウマンFRB理事は「インフレの低下が停滞した場合には引き続き利上げの用意がある」と発言。金融引き締めを緩める方針は示されず、今後の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定に思惑が広がりやすい。ただ、今後発表される米経済指標がさえない内容だった場合、景気減速懸念でリスク選好的なドル買い・円売りは縮小するとみられる。
また、日本銀行金融政策決定会合を今月下旬に控え、現行の大規模緩和政策を堅持するとの思惑が広がりやすい。日銀の金融緩和策修正への期待は一段と低下しており、本格化する米決算発表で企業業績の改善が示された場合、米国株高を意識して英ポンド、豪ドルなどに対するリスク選好的な円売りが増える可能性があることもドル・円相場を下支えするとみられる。
【米・12月小売売上高】(17日発表予定)
1月17日発表の米12月小売売上高は前月比+0.4%と、前回の+0.3%を上回る見通し。個人消費の弱さが警戒されるなか、同指標が低調なら金利安・ドル安の手がかりに。
【米・12月住宅着工件数】(18日発表予定)
18日発表の12月住宅着工件数は11月実績を下回る見込み。金利上昇の影響は消えていないため、市場予想と一致、または上回った場合はドル売り材料にならないとみられる。
予想レンジ:143円00銭-147円00銭
《FA》