話題株ピックアップ【夕刊】(2):信越化、ウエルシア、九電工
■信越化学工業 <4063> 5,822円 +171 円 (+3.0%) 本日終値
信越化学工業<4063>が3日ぶりに反発。岩井コスモ証券は29日、同社株の投資判断「A」を継続し目標株価を5300円から6700円に引き上げた。第3四半期累計(23年4~12月)の連結営業利益は前年同期比30.8%減の5595億2800万円となった。塩ビ樹脂など生活環境基盤材料事業やシリコンウエハーなど電子材料事業が減益となるなど全事業が減益だった。ただ、24年3月期予想の同利益7000億円(前期比29.9%減)に対する進捗率は約8割に達しており、同証券では今期同利益は7300億円への増額修正を見込んでいる。シリコンウエハー需要も今年後半にはプラス転換が見込まれるほか、塩ビ樹脂事業も米金利低下で米住宅着工の改善が期待される。
■ウエルシア <3141> 2,529.5円 +66 円 (+2.7%) 本日終値
ウエルシアホールディングス<3141>が4日続伸。同社親会社のイオン<8267>が29日、ツルハホールディングス<3391>の株式を追加取得するため、香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントと独占的に交渉を始めると発表したことを受けて、業界再編の思惑から買われたようだ。
■九電工 <1959> 5,359円 +119 円 (+2.3%) 本日終値
九電工<1959>が3日続伸し、2018年6月以来、5年7カ月ぶりの高値をつけた。29日の取引終了後に発表した24年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結決算は、売上高が前年同期比25.4%増の3150億6700万円、最終利益が同14.9%増の170億5000万円だった。直近3カ月間の10~12月期の最終利益は約85%増と9カ月間の累計を上回る増益率となった。業況を好感した買いが入り、ショートカバーの誘発につながったようだ。4~12月期は豊富な手持ち工事量を背景に九州、首都圏ともに売上高が増加した。保有する非上場株式の一部について、臨時的な配当があったことも利益を押し上げる要因となった。
■アイザワ証券グループ <8708> 1,235円 +26 円 (+2.2%) 本日終値
アイザワ証券グループ<8708>が続伸。午後2時ごろに自社株買いを実施すると発表したことが好材料視された。上限を30万株(発行済み株数の0.80%)、または5億円としており、取得期間は2月1日から6月30日まで。資本効率の向上と株主還元の充実を図り、機動的な資本政策を遂行するためとしている。同時に発表した第3四半期累計(23年4~12月)連結決算は、営業収益134億7300万円(前年同期比44.1%増)、営業利益5億1400万円(前年同期22億600万円の赤字)、最終利益11億3500万円(同12億700万円の赤字)だった。株式委託取引の増加などで受入手数料が大幅増となったほか、外国株式国内店頭取引の増加などでトレーディング損益も大幅に伸長した。なお、24年3月期通期業績予想は、引き続き未開示としている。
■日本車輌製造 <7102> 2,211円 +46 円 (+2.1%) 本日終値
日本車輌製造<7102>が大幅続伸し昨年来高値を更新。29日の取引終了後に発表した第3四半期累計(23年4~12月)連結決算で、営業利益41億1100万円(前年同期比83.8%増)、純利益36億1400万円(同2.2倍)と大幅増益となったことが好感された。輸送用機器・鉄構事業、建設機械事業が伸長した一方、鉄道車両事業、エンジニアリング事業が苦戦したことから、売上高は589億3700万円(同12.6%減)と減収となった。ただ、輸送用機器・鉄構事業が操業度向上による利益率の改善や損失引当金の繰入額の減少などで黒字化し利益を押し上げた。なお、24年3月期通期業績予想は、売上高890億円(前期比9.2%減)、営業利益45億円(同0.9%増)、純利益38億円(同21.9%増)の従来見通しを据え置いている。
■日本電気硝子 <5214> 3,234円 +49 円 (+1.5%) 本日終値
日本電気硝子<5214>が続伸し、昨年来高値を更新した。29日の取引終了後、神奈川県藤沢市にある藤沢事業場跡地の売却により、特別利益を計上する見込みだと発表。これが株価の支援材料となったようだ。譲渡益は約152億円で、固定資産売却益として24年12月期の業績予想に織り込む予定。特別利益は24年12月期第1四半期(1~3月)に計上する。
■丸大食品 <2288> 1,657円 +22 円 (+1.4%) 本日終値
丸大食品<2288>が続伸。29日の取引終了後、24年3月期の連結業績予想について、営業利益を15億円から22億円(前の期14億円の赤字)へ、最終利益を9億円から12億円(同49億8700万円の赤字)へ上方修正したことが好感された。歳暮ギフトが伸び悩む一方、外食産業やコンビニエンスストア向けが好調に推移していることから、売上高は2270億円(前期比2.3%増)の従来見通しを据え置いたものの、足もとで原材料価格やエネルギーコストの上昇が一服したことに加えて、価格改定効果や継続的なコスト削減への取り組みにより採算面の改善が進んでいることが利益を押し上げる。
■アース製薬 <4985> 4,485円 +35 円 (+0.8%) 本日終値
アース製薬<4985>が続伸。29日の取引終了後、集計中の23年12月期連結業績について、売上高が従来予想の1575億円から1583億円(前の期比3.9%増)へ、営業利益が50億円から63億7000万円(同14.3%減)へ、純利益が30億円から41億円(同22.7%減)へ上振れて着地したようだと発表したことが好感された。虫ケア用品の出荷の上振れや返品の抑制が進んだことに加えて、販売促進費や経費の抑制が進んだことが主な要因としている。
■レーザーテック <6920> 39,400円 +70 円 (+0.2%) 本日終値
レーザーテック<6920>は買い優勢の展開で始まり、3日ぶりに反発に転じた。前週末に利益確定の売りが表面化し大きく水準を切り下げ、前週末の米国株市場でインテル<INTC>をはじめ半導体セクターが売られたことを受け、週明けも下値模索の展開を強いられた。しかし、足もと4万円台を割り込んだことで押し目買いが活発化している。前日の米国株市場ではインテルが下げ止まったほか、エヌビディアが2.3%高と切り返し、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も3日ぶりに上昇に転じており、東京市場でも目先は半導体主力株への買い戻しを誘発する流れにある。TSMC<TSM>の熊本工場の開所式を2月24日に控え、2月相場では半導体関連株に再び物色の矛先が向く可能性があり、そのなか売買代金で常に群を抜く同社株の値動きに注目が集まりやすい状況にある。
■日本航空電子工業 <6807> 2,520円 -520 円 (-17.1%) 本日終値 東証プライム 下落率トップ
日本航空電子工業<6807>が急落。29日取引終了後に23年4~12月期連結決算を発表。売上高が前年同期比6.8%減の1713億5000万円、純利益が同19.7%減の107億7700万円となっており、これが嫌気された。注力市場である携帯機器市場と産業機器市場での需要低迷が要因。米国子会社が保有する土地の一部売却による特別利益があったものの大幅減益を余儀なくされた。なお、通期の減収減益見通しに変更はない。あわせて、2579万9906株(自己株式を除く発行済み株数の28.29%)を上限とする自社株TOBを実施すると発表した。親会社のNEC<6701>が応募する予定。これにより航空電子はNECの子会社から持ち分法適用関連会社になる見通し。NECによるTOBを期待していた向きの売りも出たようだ。
株探ニュース