新興市場見通し:地合いは悪くなく、そろそろ主力処に投資資金が移ってもいい頃合いか
■やや過熱感が台頭し、利益確定売りが優勢
今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が+1.59%だったのに対し、東証グロース市場指数は-1.02%、東証グロース市場250指数も-1.48%とさえない。週初19日こそ東証グロース市場Core指数構成銘柄など主力株に資金が向かい、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに上昇したが、両指数ともに足元の上昇率が10%近くに達したことからやや過熱感が台頭。利益確定売りが優勢となった。週末は日経平均が史上最高値を更新するなど東証プライム市場の大型株中心の物色が活発となり、東証グロース市場に関心が向かいにくい地合いとなった。ただ、売買代金は2000億円前後と1月比では増加している。両指数は調整を迎えたが、投資家のモメンタムは良好を維持しているとみる。
個別銘柄は、ピクスタ<3416>がOpenAI API活用し会話形式で写真・イラスト素材検索できる新機能公開したことから急騰。サマンサJP<7829>が、2月20日の取引終了後にコナカ<7494>との株式交換による経営統合で基本合意書を締結したと開示し、翌21日に買いが殺到した。Aiming<3911>は、コロプラ<3668>と資本業務提携契約を締結すると発表し買われた。一方、ペルセウス<4882>は第三者割当増資実施を発表し希薄化懸念が台頭して急落。なお、22日に東証グロース市場に上場したVRAIN Solution<135A>の初値は公開価格を73.6%上回る5190円となった。初値形成後は乱高下したが、5810円で取引を終了した。
■地合いは悪くない、IPOは2社
来週の新興市場は、引き続き東証プライム市場に関心が向かいやすいことから、相対的にはパフォーマンスが弱いと考える。ただ、売買代金は着実に増加しており、GENDA<9166>、ジーエヌアイグループ<2160>など時価総額が大きい主力銘柄は下値を切り上げ、上場来高値や昨年来高値をそれぞれ更新していることから東証グロース市場の地合いは悪くない。
短期資金が集中していたQPS研究所<5595>が売り優勢となった一方、売れるネット広告社<9235>が引き続き急騰していることから、投資家の物色意欲は良好と言えよう。売れるネット広告社が利益確定売りで下落した後の受け皿となる銘柄が現れるかは懸念材料だが、そろそろ東証グロース市場Core指数構成銘柄などの主力処に投資資金が移ってもいい頃合いか。
東証グロース市場250指数は200日移動平均線より上を維持していることから、昨年10月26日の632.29を起点としたリバウンドは継続。この1年間で最も出来高が多い750水準を明確に上抜くと、昨年6月21日の高値864.77までは出来高が少ない価格帯のため上昇ピッチが速まる可能性はある。東証グロース市場250指数を手掛ける投資家は少ないため、参考程度ではあるが、チャート形状は良好と考える。
なお、来週は新規株式公開(IPO)が2社予定されている。不動産業界向けマーケティングツールを手掛けるCocolive<137A>がグロースへ、立呑み居酒屋を手掛ける光フードサービス<138A>がグロースと名証ネクスト市場へ2月28日に同時上場する。今週のVRAIN Solutionも強い値動きを見せたことから、投資家の関心は高いと推測する。
《FA》