【植木靖男の相場展望】 ─バブル前半戦はまだ続く?!
「バブル前半戦はまだ続く?!」
●「天気晴朗なれど波高し」、いまは絶好の買い場か
日経平均株価は3月4日に4万円の大台に乗せた。だが、その後は3月15日まで2勝7敗と下落する日が増え一瞬ヒヤッとしたが、3万8000円を割ることなく反発。3月22日には4万1087円と再び史上最高値を更新した。
日銀の金融政策修正も、基本的には緩和策を維持するとの見方が株価を下支えした。また、為替相場も予想外の1ドル=151円台に乗せるなど、市場環境はこれまでと大きな変化はみられなかった。
とはいえ、4万円台は結構荷が重く、3月28日の配当落ちでは594円安となり、落ち分(約264円)を埋めるどころか落ち分以上に下げてしまった。
この一事は何を意味するのか。過去の経験からしても、これほどの下げはあまり記憶がない。ひょっとして来る4月相場への警告かもしれない。だが、株価の方向性を変えるほどの値動きではない。ただ、予想外の展開だけに四方八方への目配りは必要だ。
よって、現状は一言でいえば、“天気晴朗なれど波高し”といったところか。特に警戒すべき材料はいま見当がつかない。あるとすれば、相場自体に内在する、つまり過熱感かもしれない。ただし、いまのところ、75日移動平均線とのカイリ率にも問題はなさそうだ。落ち日の反発からみても、4月相場はとりあえず堅調スタートとなりそうだ。いまは絶好の買い場と判断したい。
しかし、投資にあたって、短期的に見れば買いだが、来年くらいをメドに投資するのは慎重でありたい。これまで指摘してきたように、戦後、年初から年末まで一本調子で上昇した年は希であり、今年はすでに年初来3カ月連続で月足陽線をみせている。見極めどころだ。
●4月相場の中心銘柄の条件とは
いまの株高は22年前半から始まっている。過去の経験からいえば現在は前半戦の最終段階にあるとみる。つまり、ハイテク株中心の上昇はこの1~2カ月で終了し、その後に始まる後半戦は内需主導の展開となるのではないか。当面、ハイテク株と内需株の交互物色は続くものの、徐々に内需株が主力株になる可能性があろう。
現状はなおハイテク株が主導している。「この株高はおかしい」との声が勢いを増すのは後半戦に入ってからだ。おそらく今回もいずれ到来する後半戦では日銀高官などが警告を発するとみる。それまでは安心して投資を続けてよいのではないか。平成バブルを経験した人のみが感じる相場の空気感だ。株価は上がるから上がるという自己完結型の自律的拡大メカニズムを冷静に判断できるからだ。
いずれにしても、このところ 不動産株が動意を見せ始めている。先行き人口が減少するなか、全国の空き家はすでに840万戸を超えているとされている。にもかかわらず、半導体メーカーの進出で沸く熊本や北海道はともかく、全国的に公示地価が上昇しているのはなぜか。何かの兆候といえよう。
ところで、当面の物色対象をどうみるか。ここはやや目先的、短期的な視点で選んでみたい。配当落ちで全般相場が大きく下げた中で、当日、あるいはその翌日に際立った動きをみせた銘柄の中にこそ、4月相場の中心銘柄が存在しているのではないか。
なぜ、目先的な銘柄かといえば、年半ばには年内の安値圏を形成するとみるからだ。よって、この4~5月に上昇する可能性のある銘柄を選んでみた。
まず、第一は動意をみせ始めた不動産株だ。久々に連れ高ではなく、主体的に芽を出しつつある。一つは住友不動産 <8830> [東証P]。もう一つは住友林業 <1911> [東証P]で、同社は国内のみならず海外にも展開中だ。
次いで東邦亜鉛 <5707> [東証P]だ。非鉄市況はこのところ底値調べに終始しているが、近いうちに底入れしそうだ。期待したい。住友金属鉱山 <5713> [東証P]は金価格の上昇もその株価を後押ししそうだ。
このほか、個別ではJT <2914> [東証P]や日本航空 <9201> [東証P]、百貨店の三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]などもそれなりに好材料を抱えている。また、ハイテク株ではタケダ機械 <6150> [東証S]、日本ピラー工業 <6490> [東証P]。バリュー株の北海道電力 <9509> [東証P]にも注目したい。
2024年3月29日 記
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株探ニュース