普及期突入の「無人店舗」、人手不足と人件費上昇で成長加速する銘柄群 <株探トップ特集>

特集
2024年4月3日 19時30分

―業務効率化などメリット多数、ICTの発展が市場拡大を後押し―

人手不足や人件費の上昇を背景に、レジや接客を担当する従業員がいない 無人店舗が普及期を迎えている。設備投資の費用がかかるといった課題はあるものの、労働コストの削減や業務の効率化、営業時間の拡大、来客データを活用した新たなマーケティング施策及びビジネス展開など多くのメリットがあり、今後さまざまな業種で導入が進む見通し。防犯システムや情報通信技術(ICT)によるサービスの向上が市場拡大を後押しするとみられ、関連銘柄に目を配っておきたい。

●コンビニを中心に導入広がる

無人店舗は米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が展開するレジなしコンビニエンスストア型店舗「アマゾン・ゴー」など海外が先行していたが、国内でも新型コロナウイルスの流行で非接触サービスの需要が高まったことをきっかけに注目度がアップ。コンビニではファミリーマート(東京都港区)が2021年3月に無人決済店舗の1号店を開店以降、オフィスビルや駅構内、市役所、学校関連施設、商業施設、物流施設の従業員休憩スペースなどに展開。直近ではJR青梅線羽村駅のほか、京都橘大学内にオープンした。

また、ポプラ <7601> [東証S]は今年1月に無人コンビニサービス「スマートセルフ」の出店が50店舗に達したと発表。このサービスはオフィスや工場、学校、病院など小商圏内における需要の高まりに対応可能なセルフレジを活用した無人の超小型店舗で、25年2月までに100店舗に拡大したい考え。マックスバリュ東海 <8198> [東証S]は22年3月に無人店舗「Maxマート」をオープンし、今年3月には三重県の鈴鹿医療科学大学の2つのキャンパスに開店した。

このほかにもRIZAPグループ <2928> [札証A]がスタッフのいないコンビニジム「チョコザップ」を展開するなど無人店舗は多くの業態に広がりをみせている。効率の良い店舗運営が実現できることから無人システムを導入する動きが加速する可能性があり、株式市場でも関連銘柄に関心が向かいそうだ。

●サインポスト、東芝テックなど注目

サインポスト <3996> [東証S]とJR東日本 <9020> [東証P]子会社のJR東日本スタートアップが19年7月に設立したTOUCH TO GO(TTG)は、店舗オペレーションの無人化・省力化を実現するサービスを提供している。3月には三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]と協業し、三越伊勢丹オフィス内にクイーンズ伊勢丹の無人決済店舗をオープンした。

東芝テック <6588> [東証P]とTTGは、さまざまな業態で導入可能な無人決済店舗システム「TTG-SENSE SHELF(ティーティージー・センス・シェルフ)」を6月に発売する予定だ。このシステムは省スペースでの店舗展開ができるため、商業施設における催事区画での利用に加え、遊休地などを魅力的な売り場に変えることが可能。また、オフィスや工場など今まで店舗スペースが確保できなかった場所での売店運営を実現するとしている。

無人店舗ソリューションを提供しているグローリー <6457> [東証P]も見逃せない。このソリューションは同社の券売機「VT-T20」と、ユーボ(東京都千代田区)のピックアップロッカーが連携したもので、千葉県を中心に新鮮なたまごを生産・販売する向台ポートリー(千葉県柏市)の直営店「むこたま」の2店舗に納入した実績を持つ。今後は券売機だけでなく、セルフオーダーシステムなどとの連携を図り、顧客のニーズに応えていく構えだ。

セキュア <4264> [東証G]、ROBOT PAYMENT <4374> [東証G]、HOUSEI <5035> [東証G]の3社は昨年11月、24時間無人店舗向けパッケージを開発したと発表。セキュアの入退室管理システム、ロボペイが手掛ける「サブスクペイ」が持つ事前決済・顧客の契約管理機能、HOUSEIの予約管理システム「eRESERvest(エリザベスト)」が連携することで、初期コストを抑えた24時間無人店舗を提供できるという。

これ以外では、無人運営予約システム「スマート空間予約」を手掛けるアズーム <3496> [東証G]、無人店舗を実現する人工知能(AI)ソリューション「オプティムAIストア」を展開するオプティム <3694> [東証P]、デジタル店舗運営サービス「Catch&Go(キャッチアンドゴー)」を運営するNTTデータグループ <9613> [東証P]などにもビジネスチャンスがありそうだ。

●顔認証やセルフレジ関連も要マーク

無人店舗で必要となる顔認証決済やセルフレジなどの関連銘柄にも注目で、トライアルホールディングス <141A> [東証G]とNEC <6701> [東証P]はリテール分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を中核に安全・安心・便利な街づくりを目指し、顔認証に関して協業している。トライアルは独自に開発したIoTやAIの技術を活用し、新しい購買体験の提供や効率的な運営を可能にする店舗形態であるスマートストアの展開を進めており、今後の動向から目が離せない。

トリプルアイズ <5026> [東証G]が独自に開発した画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」は、あらゆる業種・業態に対応し、ビジネスを改善・変革するソリューション。来客数や属性をデータ化するクラウド型AIサービス「AIZE Research(アイズ・リサーチ)」は非接触型のスマートストアに設置された実績があり、更なる展開が期待される。

ミガロホールディングス <5535> [東証P]は、グループ会社のDXYZが顔認証システム「FreeiD(フリード)」を提供している。このシステムはセキュアが運営する未来型無人店舗「SECURE AI STORE LAB(セキュア・エーアイ・ストア・ラボ)」に導入されているほか、3月27~29日に開催された最新テクノロジーの体験イベント「SHINAGAWA TECH SHOWCASE」に顔認証決済サービスが実証提供された。

他の関連銘柄としては、スマートデバイスで各種決済を可能にするソリューションを提供するフライトソリューションズ <3753> [東証S]、セルフレジシステムを扱うアルファクス・フード・システム <3814> [東証G]、タブレットを利用したクラウドPOSレジを展開するスマレジ <4431> [東証G]、セルフオーダーシステムを販売しているノバシステム <5257> [東証S]、無線自動識別(RFID)システムを扱うサトーホールディングス <6287> [東証P]などが挙げられる。

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