来週の株式相場に向けて=キナ臭さ増す中東情勢巡りリスク回避強まるか
5日の東京株式市場で日経平均株価は前日比781円安と大幅反落。一時1000円近い下落となり、3月15日以来の3万9000円割れとなった。前日のNYダウが530ドル安と大幅に4日続落したことが響いた。特に、年3回が想定されている米利下げ期待が後退しているうえに、中東情勢はキナ臭さを増している。
なかでも、「今晩の米3月雇用統計、来週10日の米3月消費者物価指数(CPI)という重要指標の発表を控えており、積極的な買いは入れにくい状況」(アナリスト)という。10日には3月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録も公表される。
更に、1日にイランの在シリア大使館周辺がイスラエルによる空爆を受けたことに対し、イランが対抗措置を示唆。各地のイスラエル大使館は、イランによる報復を懸念して一時閉鎖するとも報じられた。足もとでは原油の指標であるWTI価格が約5カ月半ぶりの水準に上昇。原油価格の高騰はインフレ懸念を高め、米利下げ期待を一段と後退させかねない。
こうしたなか「イスラエル・イラン情勢や米金融政策への不透明感が高まるなか、今後1~2週間はリスク回避の姿勢が強まるかもしれない」(市場関係者)との声もある。来週は、東京市場では12日に株価指数オプションの特別清算指数(SQ)算出も予定されている。もっとも、テクニカルアナリストからは「日経平均株価の下値メドは3月12日安値の3万8271円前後。2週連続の下落で値幅的な調整はだいぶ進んだ」との指摘も出ている。
当面は、石油関連株などが注目されそうだ。INPEX<1605>やENEOSホールディングス<5020>、コスモエネルギーホールディングス<5021>などは高配当利回り株であり、バリュー株としても見直し余地がある。銀行や不動産株は急伸後の調整局面とみられ、一服後の出直りが期待される。
上記以外のスケジュールでは、10日には日米首脳会談が開催される。11日には米3月卸売物価指数(PPI)や中国3月CPIが発表され、欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。12日には、米ミシガン大学消費者マインド指数が公表される。12日にJPモルガン<JPM>やシティグループ<C>が決算発表を行う。
国内では、8日に2月毎月勤労統計調査と3月景気ウォッチャー調査が公表される。同日にウエルシアホールディングス<3141>、10日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>、11日にファーストリテイリング<9983>、12日に良品計画<7453>が決算発表を行う。更に、8日にイタミアート<168A>、11日にハンモック<173A>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは、3万8400~3万9600円前後。(岡里英幸)