【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 株式投資の裾野拡大に動く「株式分割銘柄」を狙え!
「株式投資の裾野拡大に動く『株式分割銘柄』を狙え!」
●下落要因の影響は短期に収束へ
正直、なぜ、こんなことでこれほど下げるのだ?こう嘆きたくなる気分だ。この東京市場の下落要因には次の2つがある。
(1)4月1日、イスラエルがシリアにあったイランの大使館を空爆、イランの革命防衛隊司令官らを殺害した(ただ、イスラエルは大使館ではなく、軍事拠点だと主張)。これに続き4日にはイスラエルのネタニヤフ首相が「イランとその代理勢力に対して対抗措置を講じ、イスラエルに危害を加えようとする勢力を痛めつける」と発言し、中東情勢に対する危機感が一段と強まった。
(2)米金融政策についても気になる発言が……。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が4日、「インフレ鈍化の進展が滞る場合、年内の利下げは必要なくなる可能性がある」と指摘した。
ネタニヤフ首相、カシュカリ総裁、ともにそれぞれの立場上ごく当然の発言をしただけとの印象だが、市場の反応は異なった。
・インフレ進行は止まらない
・米国の金利引き下げは後ずれし、回数もせいぜい年内1回になる
機関投資家たちを中心にこんな考えに陥ってしまっており、東京市場の1~3月の上昇は何だったのか、こんな思いさえ抱いてしまう下落となった。ただ、前述したような下落要因よる影響は、通常は短期に終わる。二人の要人発言は当然過ぎる内容だからだ。こうした場合、軟調局面は短期に終了することが多く、今回もそうなる可能性は高そうだ。ここは4月のこの時期だからこそターゲットにしたい銘柄への投資を考えたい。
●東証要請に応え、最低投資金額を引き下げる日本企業
それは……4月1日に株式分割を実行した銘柄になる。この時期は毎年、新年度の開始に合わせて株式分割を行う企業がある。だが、その数はさほど多くない。ところが、今年はまったく違った。実施した企業は実に60社以上に達したのだ。これは東京証券取引所が上場企業に対して、PBR1倍割れの是正だけでなく、株式投資の裾野を広げるために、100株の売買代金ができることなら30万円ほどで収まるように、株式分割の要請もしているからだ。
この要請に応じた企業が、実に60社以上に達したのだ。しかも、今後もその数が増えるのはまず間違いない。この点も期待が持てるが、当面対象としたいのは4月1日に実施した企業だ。そこで、まずは三菱重工業 <7011> [東証P]になる。分割前の高値は1万4015円だった。分割は1株を10株に。株価は理論的には1401.5円 になったことになるが、週末5日は1328.5円。いまさら改めて書くまでもなく、株式分割では企業価値の変化はない。
当然、三菱重工株の価値も変わらないので、そろそろ市場もこの点に気づくと見られることから反発を待って投資しておきたい。なにしろこの会社は戦闘機、旅客機、宇宙開発の3分野に関わる企業。株価がこのまま低迷を続けることは考えられない。
スズキ <7269> [東証P] も1株を4株に分割した。こちらの3月27日引け値は7070円。それが4分の1の1767.5円になったが、分割でも株価はほとんど下げず週末5日も1758.5円で引けている。スズキ車のインドでの人気が圧倒的であることを考えれば、格別安くなっているわけではないが、1750円前後で投資できるのは見逃せない。
分割比率が大きい方が有望ということはない。1株を2株に分割したのがノリタケカンパニーリミテド <5331> [東証P]。工業炉やセラミック材料に強い会社で、分割前の引け値は8590円。その2分の1は4295円だが、週末5日の引け値は4115円。大きく下げているわけではないが、3月末の2分の1以下の価格で投資できるので有り難い。
ノリタケ同様、1株を2株に分割したのが住友ベークライト <4203> [東証P]。分割前の9237円は分割で理論的には4618.5円のはずが、市場環境の悪化によって週末は4495円で引けた。この会社は半導体向け封止材で世界首位。半導体株もこのところ不安的な動きではあるが、ここから反発の兆しを見逃さないようにしたい。
最後は株式分割株狙いから離れ、別のターゲットを。「ウイルスバスター」で知られる(私も使っている)トレンドマイクロ <4704> [東証P]になる。世のなか怖いことだらけだが、私がもっとも恐れるのはPCがウイルスに感染して仕事ができなくなること。それを考えると、トレンドマイクロの存在は非常に有り難く、これは個人のみならず多くの企業にとっても同様のはずだ。株価は2月16日にストップ安で急落し、2月22日には7010円の安値を付けたが、いまは次第に立ち直りつつあり、週末は7748円で引けた。この流れに歩調を合わせたい。
2024年4月5日 記
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株探ニュース