【杉村富生の短期相場観測】 ─"春の嵐"は収束、反騰態勢が整う!

市況
2024年4月14日 9時15分

「“春の嵐”は収束、反騰態勢が整う!」

●外国人の心理はFOMO(持たざるリスク)

“春の嵐”は収束に向かいつつある。4月中旬には反騰態勢が整うだろう。イスラム教のラマダン(断食月)が明け、アメリカの確定申告に伴う納税資金捻出の売りは一巡した。国内の機関投資家は例年、3~4月にリバランス、および利食いを優先させる。信託銀行の大量売りがそうだ。しかし、今後は新年度に備えた仕込みが必要になる。

外国人は3月に先物を含め、1兆6021億円売り越したが、これはオイルマネーの影響が大きいと思う。国際マネー(ファンド)の多くはいまだに、日本株の投資判断をアンダーウェイトにしているらしい。だが、昨年来の日本市場は抜群のパフォーマンスを誇っている。彼らは「持たざるリスク」に脅えているのではないか。

ちなみに、海外では「FOMO(フォーモ)」という言葉が話題になっている。FOMC(米連邦公開市場委員会)ではない。「Fear Of Missing Out」の略だ。自分だけが取り残されることの恐怖を意味する。内外の機関投資家がとりあえず、エヌビディア<NVDA>とマイクロソフト<MSFT>を持っていなければ……という心理と似ている。

なにしろ、この2社の時価総額は800兆円に迫っている。AI(人工知能)の先駆企業のMnM(マイクロソフト、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ<META>)トリオの時価総額は990兆円だ。売ったら運用競争に負ける。だから、持ち続ける。したがって、株価は上がる。そんな構図である。日本の主軸株が同様のパターンになるだろう。

日立製作所 <6501> [東証P]、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]などは玉が吸い上げられている。日銀のETF(上場投資信託)の累計取得額は37兆円(時価評価70兆円)に達する。

●利下げどころか、将来的にはインフレ?

FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ先送りは気にする必要がない。再三指摘しているように、大幅な利下げ局面は景気後退、企業業績の悪化を意味している。アメリカ景気は良好だ。株高の効果がある。アメリカの家計は9600兆円の株式・投信を保有している。これが個人消費を支えるパターンである。

それとJPモルガン・チェース<JPM>のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が「われわれは利下げ云々よりもインフレに備えるべきではないか」と語っているように、トレンドはデフレではない。インフレだ。特に、日本はインフレ歓迎ムード?になっている。インフレ下の資産防衛は株式投資につきる。

確かに、新東西冷戦構造を契機とする軍事費の膨張、保護貿易主義の台頭、国家主義の高まり(フレンド・ショアリング)はインフレ要因になろう。とはいえ、この流れは止められない。国策に沿うガバメントクラウドのさくらインターネット <3778> [東証P]、データセンターのさくらケーシーエス <4761> [東証S]は引き続いて注目できる。

さらに、国産情報セキュリティのFFRIセキュリティ <3692> [東証G]、ロケット・衛星部品の加工を手掛ける放電精密加工研究所 <6469> [東証S]、ヨウ素(日本が世界最大の埋蔵量を有する)生産、LNG開発のK&Oエナジーグループ <1663> [東証P]、最先端半導体設計のソシオネクスト <6526> [東証P]に妙味があろう。

このほか、北海道(千歳)に半導体工場を建設中のラピダス関連ではクワザワホールディングス <8104> [東証S]、ジェイ・イー・ティ <6228> [東証S]が面白そうだ。国策銘柄の小型衛星のQPS研究所 <5595> [東証G]、ドローンのACSL <6232> [東証G]の相場は終わっていないと思う。

2024年4月12日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.