明日の株式相場に向けて=TSMC決算通過も疑心暗鬼の半導体株

市況
2024年4月18日 17時00分

きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比117円高の3万8079円と反発。前日引け際に3万8000円台を割り込んだが、きょうは朝安後に切り返し大台復帰を果たした。前日の米国株市場では、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下値模索が続き4日続落。NYダウに比べ相対的に強いチャートを形成していたナスダック指数だったが、遂に75日移動平均線を下回って引けた。こうなると、日経平均やTOPIXも75日線を巡る攻防を意識せざるを得ず、実際に日経平均は朝方300円を上回る下げで同移動平均線を下に抜けた。しかし、結果的にきょうは陽線で踏ん張り3万8000円トビ台で着地している。

短期的には買い向かって報われやすい場面であった。売り方にすれば、いったん買い戻して様子を見るところで、全体地合いが弱いと見れば改めて売り崩してくるが、押し目買いニーズが強いとなれば目先リバウンド相場の軌道に乗る。前日までの3営業日で日経平均は1500円以上下落しているが、国内要因として政局不安はあるものの表立った売り材料は見当たらない。世界的な株安に歩調を合わせていたのであれば、これ以上売り込まれる道理には乏しく、押し目買いに動くタイミングとして拙速に過ぎるということはない。

もちろん、ここから一直線に戻り相場が期待できるほど楽観的ではない。前週末12日申し込み現在の信用買い残高は3週連続の増加で4兆6000億円弱まで拡大、これは約18年ぶりの高水準と伝わっているが、今週に入ってからの日経平均の崩れ足で完全に思惑を外した格好となっている。したがって戻り売り圧力の強さは拭えないが、相場が弱気に傾き投げが出ればそこは買い場という判断が働く、今はそういう時間軸にある。

そうしたなか、投資家の最も関心の高いセクターは 半導体関連であろう。直近は「ASMLショック」に日米の株式市場は揺さぶられたが、きょうは後場取引時間中に発表された台湾の半導体受託生産最大手のTSMC<TSM>の1~3月期決算が過去最高水準で事前コンセンサスも上回ったことから買い戻しが利いた。ただ、まだ疑心暗鬼ムードが漂う状況にある。きょう大きく切り返したアドバンテスト<6857>なども来週に決算発表を控えており、本腰を入れて下値を拾うには今しばらくの時間が必要だ。半導体関連以外では、人工知能(AI)サイバー防衛など、先般の日米首脳会談で議題に上がった項目で今後も政策アナウンスが出やすいテーマに着目。AI関連ではシリウスビジョン<6276>の我が道を行く上昇トレンドが目を引く。サイバーセキュリティーでは業績好調が際立つFFRIセキュリティ<3692>の押し目に目を配っておきたい。

また、全体相場の地合いがリスクオフに傾き主力株が動きを止めている間に、投機性の強い短期資金が株価低位の銘柄群に流れ込む動きも観測されている。ファンダメンタルズは不問というと語弊があるが、需給思惑オンリーで大きく株価の居どころを変えている銘柄もいくつか出現している。例えば、倉元製作所<5216>は2月20日に30円高のストップ高で115円に買われた後に確変モードとなり、特にここ最近は仕手化様相をみせ、きょうの高値345円まで直近10営業日で株価水準を2.3倍化させた。結局上ヒゲ陰線で引けたのだが、これを受けて2匹目のドジョウ探しという話しには中々ならないものの、同社株の一連の急騰劇は低位株に対する短期筋の視線が熱を帯びるきっかけにはなっている。

株価100~300円台の低位株では、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資需要を追い風にトップラインの伸びが続くノムラシステムコーポレーション<3940>、サイバーセキュリティー関連人材へのニーズが急増するなか情報セキュリティーエンジニアの派遣を行うセキュアヴェイル<3042>、フグだけでなく夏場の鰻料理も手掛けインバウンド消費需要が中期的に期待できる関門海<3372>などが面白い存在か。

あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の全国消費者物価指数(CPI)と23年度の全国CPIが発表される。同じく朝方に日銀から4月の主要銀行貸出動向アンケート調査が開示される。このほか、3カ月物国庫短期証券の入札が午前中に行われる。海外ではマレーシアの1~3月期国内総生産(GDP)速報値、3月の英小売売上高が発表される。また、海外主要企業の決算では、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、アメリカン・エキスプレス<AXP>の1~3月期決算が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年04月18日 17時13分

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