田部井美彦氏【日経平均続急伸、4万円大台復帰は見えてくるか】(2) <相場観特集>

特集
2024年6月3日 19時45分

―ザラ場3万9000円台回復、6月相場反騰のシナリオは―

3日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し一時フシ目の3万9000円台に乗せる場面があった。前週末の米国株市場でNYダウが570ドル高超と約1年ぶりの大幅高を演じ、これに追随する動きとなっている。ただ、3万9000円台は滞留出来高も多く戻り売り圧力も意識されやすい。ここから一段と上昇基調を鮮明に4万円台復帰を目指す展開となるかどうかは、はっきりしない部分もある。夏場に向けた相場展望とここからの物色対象について、経験豊富な市場関係者2人に意見を聞いた。

●「東京市場は往来相場が継続も、賃金動向などの確認必要」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

東京市場の6月相場はもみ合い展開が続くとみている。今月は11~12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、13~14日に日銀金融政策決定会合が予定されている。このため経済指標などを注視する展開が見込まれる。

6月のFOMCは金融政策の現状維持を予想しているが、年内1回でも利下げがあり得るという期待がつながれば、米国市場にはアク抜け感が出て右肩上がりの展開が続くとみている。今後、半導体関連やスマートフォンの生産などで堅調な数字が出てくることが期待できる。

一方、東京市場ではインフレを超える賃金の上昇が求められていると思う。ボーナスなど一時的なものではなく、ベース面での着実な賃上げが必要とされている。現在の状況では、6月日銀会合での早期利上げはないと予想している。

こうしたなか、6月の日経平均株価の予想レンジは3万7000~4万円前後を見込んでいる。日経平均株価は年初から3月まで大幅に上昇したが、この過程で米国の利下げや日本企業の今期増益、賃上げなどは織り込んでしまった。足もとは「健全な調整」とも呼べる状況であり、当面は3万9000円を中心としたレンジ相場が続くとみている。

個別銘柄では、やはり 半導体関連株は要注目だろう。水処理関連の栗田工業 <6370> [東証P]のほかニデック <6594> [東証P]も半導体関連株として見直し余地があるとみている。また、電力需要の拡大が関心を集めるなか、変電所向け設備で強みを持つSWCC <5805> [東証P]も注目される。更に、外食企業で海外展開を積極的に進める動きが目立つが、なかでもゼンショーホールディングス <7550> [東証P]などに再評価余地があるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)

内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.