翻訳センター Research Memo(7):2024年3月期は派遣事業・通訳事業などの復調により増収

特集
2024年6月28日 14時47分

■業績動向

1. 2024年3月期の業績

翻訳センター<2483>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.2%増の11,303百万円、営業利益が同2.8%減の902百万円、経常利益が同2.2%減の938百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.5%増の711百万円と堅調な増収とともに、好調だった前期並みの各利益を確保した。

売上高に関しては、コアビジネスである翻訳事業が前期比でほぼ横ばいとなったものの、派遣事業、通訳事業、コンベンション事業が増収を下支えした。翻訳事業では前期比1百万円増(前期比0.0%増)となった。特許分野では、主要顧客である特許事務所や企業の知的財産関連部署からの受注が好調に推移したことなどにより同194百万円増(同7.2%増)となった。医薬分野では、内資製薬からの受注が前期比ほぼ横ばいで推移したものの、外資製薬や外資系CRO(医薬品開発受託機関)、医療機器関連企業からの受注減少の影響もあり同191百万円減(同6.8%減)となった。工業・ローカライゼーション分野では、自動車や機械、電気機器等を中心とする製造業の顧客からの受注が拡大したものの、前期の大型案件の反動減により同8百万円減(同0.3%減)となった。金融・法務分野では、上場企業の英文開示需要を背景にIR関連文書の受注が継続して推移したことに加え、企業の管理系部署からの受注が増加したことにより、同6百万円増(同1.2%増)となった。

派遣事業においては、語学スキルの高い人材への底堅い需要により常用雇用者数が前期を上回る水準で推移したことからから、同55百万円増(同4.9%増)となった。通訳事業では、主要顧客である金融機関、医薬品関連会社、精密・通信機器メーカー、外資系コンサルティング会社からの継続的な受注に加え、精密機器メーカーから大型スポット案件を獲得したことから同241百万円増(同28.2%増)と過去最高を更新した。コンベンション事業では、複数の国際的な学会の運営により同81百万円増(同53.3%増)となった。

売上総利益は前期比4.4%増であり、売上総利益率では47.0%(同0.6ポイント上昇)と高い水準を維持している。収益性の高い翻訳事業の構成比が下がったものの、機械翻訳や翻訳支援ツールを積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んだ成果が表れたことが粗利率上昇の要因である。販管費は期中のM&Aなどによる人件費の増加などから同6.1%増となった。結果として、営業利益及び経常利益でわずかに減益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が同24百万円増(同3.5%増)となったのは福山産業翻訳センターの株式取得に伴い、負ののれん発生益(69百万円)を計上したことが要因である。

自己資本比率75.0%。無借金経営を継続。短期及び中長期の安全性が極めて高い

2. 財務状況と経営指標

2024年3月期末の総資産は前期末比839百万円増加の8,326百万円となった。そのうち流動資産は678百万円増加となった。現金及び預金が557百万円、受取手形及び売掛金が120百万円それぞれ増加したことが主な要因である。固定資産は161百万円増加となった。投資その他の資産が85百万円、無形固定資産(M&Aに伴うのれんを含む)が53百万円それぞれ増加したことが主な要因である。

負債合計は前期末比261百万円増加の2,075百万円となった。そのうち流動負債は235百万円増加となった。買掛金及び未払法人税等が増加したことが主な要因である。固定負債には大きな変化はなかった。なお同社は無借金経営を継続しており、有利子負債はない。

経営指標では、流動比率で393.3%、自己資本比率で75.0%とともに高い水準にあり、短期及び中長期の財務の安全性は高いと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

提供:フィスコ

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