来週の株式相場に向けて=高値調整懸念も底堅さ堅持か、半導体企業決算に注目
12日の東京株式市場で日経平均株価は前日比1033円安と急落した。下げ幅は今年最大。下落率(2.4%)でも今年2番目の水準となったが、前日まで連日で最高値更新を演じていただけに「高値圏でのスピード調整」(アナリスト)とみる声は少なくない。
前日までの株価上昇に関しては「売り方の買い戻し」とも「出遅れていた日本株に海外勢が買いを入れてきた」とも言われている。実際、7月第1週(1~5日)の投資部門別売買動向では、海外投資家は現物・先物ともに2週連続買い越しで、特に先物の買い越し金額は昨年11月第2週以来の水準に膨らんだ。
一部には「7月下旬からの決算発表での業績増額修正期待を先回りした買いが入ったのでは」(市場関係者)との見方もある。となると、今月下旬からの決算発表の内容を確認することが必要となる。また、業績拡大期待の背景には為替の円安があるだけに、1ドル=160円台を割り込んだ円高水準は逆風となる。この為替動向を探るうえでも今月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が注視されそうだ。
市場関係者からは「相場の堅調地合いは強い」との声が聞かれる。ただ、東京市場は前のめり状態で上昇基調を強めただけに、今月下旬にかけていま一度足もとの状況を確認する場面となることも考えられそうだ。
そんななか、来週は米国の経済指標と有力半導体関連企業の決算が注目されそうだ。16日には米6月小売売上高が発表される。また、17日にオランダのASMLホールディング<ASML>、18日に台湾の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の決算が発表される。その内容次第では半導体関連株などが再び大きく動くかもしれない。
上記以外のイベントでは、18日に米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が公表される。15日にゴールドマン<GS>、16日にバンク・オブ・アメリカ<BAC>、モルガン・スタンレー<MS>、18日にネットフリックス<NFLX>、19日にアメックス<AXP>の決算発表が予定されている。
国内では、15日が「海の日」の祝日で休場。19日に6月消費者物価指数(CPI)が発表される。16日に東宝<9602>、古野電気<6814>、18日にディスコ<6146>、19日にB-R サーティワンアイスクリーム<2268>などの決算が予定されている。18日にカドス・コーポレーション<211A>が東証スタンダード市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは4万600~4万1800円前後。(岡里英幸)