来週の相場で注目すべき3つのポイント:トルコ中銀政策金利、米・GDP(速報値)、東京消費者物価指数
■株式相場見通し
予想レンジ:上限40700円-下限39400円
日経平均は、7月11日に取引時間中の史上最高値42426.77円(終値の史上最高値は42224.02円)を付けた際、25日移動平均線との乖離率は短期的な過熱感を示す7%水準に達していたが、週末は25日移動平均線水準でのもみ合いとなった。同期間の東京エレクトロンの高安の値幅は9175円(7月11日高値:38930円、18日安値29755円)だったことから、日経平均を917円押し下げた計算となる。今年の日経平均のけん引役だった半導体株は、米国発のニュースで難しい状況に陥ったと言えよう。バイデン政権による「対中半導体規制」だけではなく、存在感が増したトランプ前大統領は、台湾の半導体産業について「米国の半導体ビジネスの全てを奪った」「台湾が防衛費を負担すべき」と発言したことで、半導体受託生産世界最大手の台湾TSMCが下落するなど半導体産業に影響を与えている。値がさ半導体株が要人発言など関連ニュースに押されていることから、日経平均は下方圧力が強まる可能性はある。
なお、19日の米国株式市場は続落となった。ダウ平均は377.49ドル安(-0.93%)の40287.53ドル、ナスダックは144.28ポイント安(-0.81%)の17726.94、S&P500は39.59ポイント安(-0.71%)の5505.00で取引を終了。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比450円安の39590円で取引を終えた。世界中で発生したシステムトラブルが売り要因となったが、問題解決に時間がかかれば、週初の東京市場でも売り材料となろう。
為替は1ドル161円台から155円台まで円高ドル安に振れている。11日と12日に実施されたと見られる政府・日本銀行による円買いドル売り介入のほか、トランプ前大統領によるドル高是正発言などが材料視されて、投機筋による円売りポジションのアンワインド(巻き戻し)が進んでいるとの観測。ただ、トランプ前大統領の経済政策は財政拡大路線と見られており、金利は上昇しドル高に進みやすい傾向がある。トランプ前大統領の発言力が強いため、短期的には「ドル高是正発言」に反応したが、そもそも方針との違いなどが意識されて為替のトレンドは出にくいと考える。
一方、日銀金融政策決定会合開催が7月30-31日に迫っているため、河野デジタル大臣の発言のように金融政策に関する様々な発言が飛び交いやすく、為替はその都度、上下に振れる展開となりそうだ。今時点では、国債買入の減額スケジュールが示され、追加の利上げ実施は見送られるとの見方が強い。とはいえ、様々な思惑が錯綜することから、株式市場、為替市場、金利市場ともに神経質な地合いが続くと考える。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米インフレ指標は鈍化しつつあり、9月利下げの可能性は高いことから、リスク回避的なドル売り・円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。日本銀行による7月追加利上げ観測は後退したものの、ドル・円相場に大きな動きがない場合、金融政策修正の思惑が再び強まる可能性があることもドルの上昇を抑える一因となりそうだ。7月26日発表予定の6月コアPCE価格指数が注目され、前回よりもさらに低下すれば9月利下げの可能性は高まり、金利安・ドル安に振れやすい。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は議会証言やメディアのインタビューで、従来通り政策金利の引き下げにはやや慎重な姿勢を堅持。ただ、金融緩和については前向きな見解とみられ、年内2回の利下げは織り込まれつつある。一方、河野デジタル相は円安を食い止めるため、日銀の利上げの必要性を主張。日本の消費者物価指数(CPI)は加速しており、7月30-31日の金融政策決定会合に向け追加利上げ観測が高まれば、米ドル売り・円買いがやや強まる可能性は残されている。
■来週の注目スケジュール
7月22日(月):独・小売売上高(5月)、NZ・貿易収支(6月)、中・中国最優遇貸出金利など
7月23日(火):欧・消費者信頼感指数(7月速報値)、米・リッチモンド連銀製造業指数(7月)、中古住宅販売件数(6月)など
7月24日(水):独・GfK消費者信頼感調査(8月)、製造業PMI(7月速報)、サービス業PMI(速報値)、仏・製造業PMI(7月速報値)、欧・ユーロ圏製造業PMI(7月速報値)、サービス業PMI(速報値)、米・製造業PMI(7月速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、新築住宅販売件数(6月)、週次原油在庫など
7月25日(木):独・Ifo景況感指数(7月)、トルコ・トルコ中銀政策金利、米・週次新規失業保険申請件数、米・国内総生産(GDP)(速報値)、耐久財受注(6月速報値)など
7月26日(金):東京消費者物価指数(7月)、景気動向指数(5月確報値)、豪・小売売上高(6月)、米・個人所得(6月)、PCEデフレータ、ミシガン大学消費者信頼感指数(7月確報値)など
《NH》