明日の株式相場に向けて=「アイランドリバーサル」と悪魔の囁き

市況
2024年7月24日 17時00分

きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比439円安の3万9154円と大幅安で6日続落。加速する円高を見て投資家が狼狽したムードは感じられない。むしろ、嬉々として買い向かっている雰囲気すらある。だが、今は円高にリンクさせたAIアルゴの先物売りプログラムが作動すると、どうにも対抗できない。しかも、きょうは後場に入って中小型株も十把一絡げに売られており、東京市場はリスクオフ一色に染まった。

全体相場の流れは残念ながら引き潮にあることを認めざるを得ない。ここまで半導体関連株が局地的に波に揉まれる状況にあったが、このリスクオフの高波が他の入り江にも及び始めている。日経平均株価は6月下旬から今月中旬にかけて一気呵成に4万2000円台まで駆け上がった。11日にマドを開けて跳躍し史上最高値をつけたが、高揚感に乏しく結局小幅の陰線を示現して終了。そしてこの日を境にトレンドが下向きに転換、ローソク足もオセロでひっくり返したように陽線から陰線のオンパレードへと変わった。典型的な「アイランドリバーサル」となっているが、11日は空売り筋による踏み上げラッシュの最終局面ともいえ、結果的に“離れ小島”でアダ花を咲かせた形となってしまった。

当欄では「個別株は弱い銘柄だけでなく強い銘柄も多くあり、全体指数に惑わされないこと」を主張してきたが、現時点では嵐の前に敢えて外に出ていく必要はない。ここは、バイデン米大統領ではないが勇気ある撤退が最善の選択肢ともなり得る。日経平均はきょうまで6日続落となっており、合計2000円以上の下落。更に1000円超の急落をみせたのが最高値形成の翌日である12日で、ここから数えて、きょうまで上昇した日はわずか1営業日のみの1勝7敗。下げ幅にして3000円を超えている。普通に考えればここはいったん買い場と判断するのは当然ともいえる。しかし仮に切り返しても戻り売りの壁に阻まれ上値は限られそうだ。短期割り切りでのリバウンド狙いにとどめるところで、4万円台を割ったからといって、絶好のバーゲンセールと買い漁るタイミングではなさそうだ。

週足の日経平均をみると26週移動平均線と上方カイ離を解消する形で急接近している。この26週線は年初からの上昇相場で実はまだ一度も下回っていない。また13週・26週線のデッドクロスも目前に迫っている。この状況でも空売りがズッシリと載せられていれば、それは過去に繰り返されたショートスクイーズによる急反騰も期待できるが、市場関係者は「11日の最高値をつけにいった過程でショート筋は総撤退を迫られており、今回の下げでは買い戻しによるブレーキが利きにくい」(ネット証券マーケットアナリスト)と指摘する。日経平均が3万8000円台に突入すると、ほぼ自動的に26週線を下にブレークすることになり、テクニカル的にも今は綱渡りの最中にある。

テクニカルとは別にイベントリスクにもスポットをあててみる。今月は30~31日の全く同じ日程で日米の中央銀行による金融政策決定会合がある。日本と米国の時差を考えると、31日の昼ごろに日銀の金融政策発表にマーケットの耳目が集中し、翌8月1日の未明にFRBの金融政策とパウエルFRB議長の記者会見の内容が明らかとなる。つまり、7月31日の後場と8月1日の前場は、否応なく強烈なイベントドリブンの嵐に巻き込まれる公算が大きい。

現状のメインシナリオは「日銀の9月利上げ、FRBの9月利下げ」であるが、これがどうも怪しくなってきたと市場筋は囁く。岸田首相を含む与党幹部の相次ぐ利上げ要請的な発言は、日銀にしてみればアドバルーン。つまり、総裁選のある9月の会合ではなく、今月の会合でのサプライズ利上げが俎上に載っているという。更に、FRBでは9月利下げに前向きだったパウエルFRB議長は、共和党トランプ前大統領に忖度して次回会合でタカ派に宗旨替えするという見方もまことしやかに伝わる。信憑性はともかく、日米中銀を巡る思惑は株式市場にとっては不都合なシナリオとなる。

あすのスケジュールでは、6月の企業向けサービス価格指数、週間の対外・対内証券売買契約、6月の外食売上高、6月の全国百貨店売上高、7月の月例経済報告など。海外では、G20財務相・中央銀行総裁会議が26日までの日程で開催される。また、韓国4~6月期GDP、7月の独Ifo企業景況感指数、4~6月期米実質GDP速報値、週間の米新規失業保険申請件数、6月の米耐久財受注額速報値など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年07月24日 17時15分

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