「8月初めの乱」も知らんぷり、半導体や高配当で攻め続ける3人の技
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技
ポレポレさん、ネンキンさん、セッシーさんの場合
専業投資家。日米のグロース株を中心に7000万円を運用している。長期分散を意識し、日本株では36銘柄を保有中。足元では半導体株に期待をかけている。投資を本格的に始めたのは2013年。頭の体操の一環で取り組んでいる。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
兼業投資家。配当重視のポートフォリオで9000万円を運用している。直近1年間の配当収入は300万円台になる。投資を始めたのは2017年、60歳代になってから。年金以外の収入源をつくろうとしたのがきっかけだ。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当重視」、日本株投資の腕前は「初級者」となる。
専業投資家。高配当や株主優待を目的とした長期分散をメーンに68銘柄を保有中。運用額は6700万円。投資を始めたのは、早期退職した2009年、59歳の頃だ。安定志向で資産を増やしていきたいと考えている。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
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足元の株式市場は、8月初めのパニック売りから落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、視界がすっきりしたとは言い切れない。
一時は70を超えた日経平均VI(ボラティリティーインデックス)は、足元は20台半ばまで下落しているが、投資家の不安心理が高まる目安とされる20を上回る水準が続く。日経平均株価は反騰局面にあるが、7月高値から10%ほど低い水準に位置する。
直近のように突如として嵐が吹き荒れ、不安心理が一気に高まる状況に陥っても、
「私はいたって平静」
「むしろ買い増したいくらいだ」
――と涼しい顔をしているのが、今回紹介するポレポレさん、ネンキンさん、セッシーさんだ(いずれもハンドルネーム)。
3人とも、直近相場の変調に飲み込まれた銘柄の「ガチホ」を決め込んでいる。それらはここ数年、相場の上昇を牽引してきた半導体株や高配当株が含まれている。3人の運用額はまちまちだが、いずれも長期分散を継続し、累積元本を2倍以上に膨らませている点で一致する。
パニック売りが起きても平常心を保つ3人の勝ち技を見ていこう。
■3人の実績と投資スタイル
ハンドルネーム | 投資歴 | 日本株 運用額 | 狙い |
ポレポレさん | 11年 | 6000万円 | グロース |
ネンキンさん | 7年 | 9000万円 | 配当 |
セッシーさん | 15年 | 6700万円 | 配当、株主優待 |
ポレポレさん~レーザーテクの教訓を生かし、リベンジに成功
トップバッターのポレポレさんは、過去にレーザーテック<6920>の高騰を取り逃した失敗を糧に、別の半導体株でリベンジに成功している投資家だ。
投資スタイルはグロース重視。足元で運用する6000万円のうち、半導体株を含むグロース銘柄が約半分を占めている。残りは株主優待銘柄になる。
優待狙いを含めて全部で36銘柄を保有するうち、足元で保有している半導体関連は、
ウエハ搬送システム大手のローツェ<6323>、
半導体パッケージ大手の新光電気工業<6967>、
超純水装置大手の野村マイクロ・サイエンス<6254>、
半導体商社で大手のマクニカホールディングス<3132>
――になる(下の表)。
■ポレポレさんが保有している半導体株
銘柄名<コード> | 取得時期 | 騰落率 | 注目しているポイント |
ローツェ<6323> | 2016年12月 | 11.6倍 | ウエハ搬送システムで世界トップシェア |
新光電工<6967> | 2020年11月 | 2.5倍 | 半導体パッケージのリーディングカンパニー |
野村マイクロ<6254> | 2021年07月 | 2.7倍 | 超純水装置大手で、一部の国で高シェア |
マクニカHD<3132> | 2023年06月 | ▲9.4% | 独立系半導体商社で大手 |
半導体関連の含み益は、時価評価の3分の2を占めるまで拡大
半導体関連で狙うのは、特定の領域で高シェアや存在感のある銘柄が中心になる。リスク分散を意識しているため、持ち株数は1~2単元にとどまる中で、足元の時価評価額は600万円に膨らみ、そのうち400万円が含み益となっている。
保有する半導体関連の4銘柄のうち、最大の上昇率となっているのがローツェ<6323>だ。2016年に取得して以来、約11倍に上昇している。
半導体に注目したのは、2016年頃から。株式市場で半導体株の存在感が増してきたのが理由だ。特定領域に強みを持つ銘柄にこだわるのは、ポレポレさんが事業の競争力に注目するスタンスをとるからだ。
株価水準もチェックする。他の半導体銘柄に比べて、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が極端に高くなっていないかを見る。上記の銘柄は、取得時点ではいずれも問題なしと判断した。
霞ヶ関C、アルファベットやマイクロソフトなどの巨大テック株にも配分
半導体株以外にも、同じように高い技術力や強固なビジネスモデルを持つ銘柄を保有している。
足元で期待をかけているのが、不動産コンサルティングを行う霞ヶ関キャピタル<3498>だ。同社は主に物流施設の開発を手掛けている。「冷凍冷蔵倉庫など時代のニーズに応えようとする姿勢が強い」と本人は分析する。
ポレポレさんはアメ株も1000万円ほど運用している。2014年から21年にかけて取得してきたアルファベットA<GOOGL>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>といった巨大テック銘柄が中心だ。
海外株に関心を持った理由は、会社員時代に海外出張が多かったことが関係している。
レーザーテックでの失敗から、「一過性の値動きにとらわれるな」
ポレポレさんは、将来性のあるテーマを持ち、事業の競争力のある銘柄をガチホしていれば、大きな値上がり益を見込めるという信念を持っている。
自身に常々言い聞かせているのは、一過性の値動きにとらわれるな――。直近の相場の急変時にも、ファンダメンタルズよりも需給面が主因と見て、スタンスを崩すことなく保有を継続している。
そう判断したのは、先ほど触れたレーザーテック<6920>の苦い経験がある。19年末に取得し、その半年後に雰囲気で売却してしまい、コロナ相場の高騰を取り逃してしまったのだ(下のチャート)。
■レーザーテクの月足チャート(2017年末~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
1万円台で売却したら、その後2万円、3万円に上昇
売却は20年7月。きっかけは、株価が大台の1万円を超えたことだ。その後、数週間ほど株価が横ばいで推移したので、ポレポレさんは「一区切りついた」と安易に判断して利確してしまったのだ。
だが数カ月後に株価は動意づき、翌年の21年には2万台、3万円台と最高値を更新した。ポレポレさんは再び参戦しようと構えていたが、タイミングを図っているうちに時間が過ぎていった。同社株の急上昇を、指をくわえたまま見守る結果となった。
この失敗から得たことは、「注視すべきは、株価ではなく業績」ということだ。ポレポレさんの利確後にレーザーテク株の上昇が続いたのは、20年6月期以降の強い業績モメンタム(勢い)がある(下の表)。
業績不振にならない限りは保有を継続しようと決心した。
■『株探プレミアム』で確認できるレーザーテクの通期業績の長期の成長性推移
ネンキンさん~配当で銘柄を選んだら資産2倍以上に
次に紹介するネンキンさんは、2017年に投資を開始し、累積元本を2倍以上の9000万円に膨らました。奏功したのは「配当以外、眼中にない」というスタンスだ。
現在69歳のネンキンさんは、厚生年金を含めて4つの収入源があり、その額は合計で550万円になる。しかし、80代になると厚生年金のみの年200万円ほどに減る。この差額を配当で補うことが、投資の目的だ。
資産拡大に最も寄与しているのは、ここ数年、注目を浴びてきた業種の4社だ。
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