【杉村富生の短期相場観測】 ─円高、住宅、防衛関連セクターなどを狙う!

市況
2024年8月25日 9時15分

「円高、住宅、防衛関連セクターなどを狙う!」

●投機筋、アクティビストは日本市場に強気!

8月初旬、株式市場は猛烈な“夏の嵐”(日銀・植田ショック)に見舞われたが、その後は力強い戻り相場を展開している。日経平均株価(ザラバベース)は8月5日に、3万1156円の安値をつけた。7月11日の史上最高値4万2426円比の下落幅は1万1270円、下落率は26.6%に達する。

チャート的には完全に崩れ足(クラッシュ)である。それが何と、8月22日には3万8408円まで上昇した。上昇幅は7252円、上昇率は23.3%だ。下落幅の64.3%を奪回したことになる。反発のスピードが速い。市場関係者には「次はいよいよ全値戻し」との声が高まっている。

この背景にはまず、利上げ→円高を受けた円キャリートレードの巻き戻し、システマティック・トレーディング戦略によって機械的に売り込んだ反動がある。もちろん、信用取引など目先筋の投げ売りもあった。鋭角的な暴落だっただけに、調整は一瞬だ。過去の歴史的なショック安とパターンは似ている。ただ、問題はこれからだろう。

さて、猛反発の要因の続きだが、日銀の超タカ派の金融政策がやや軌道修正されたこと(ただし、植田総裁のタカ派姿勢は不変?)が大きい。さらに、投機筋(ヘッジファンド、商品投資顧問)が暴落直後に日本市場に回帰(買い出動)したほか、アクティビストがイリソ電子工業 <6908> [東証P]、サンケン電気 <6707> [東証P]などを買った、という。

彼ら(アクティビストは違う)は売って儲け、買って儲ける。しょせんは利ザヤを狙う戦術だ。大量執行、高頻度売買を行う。ボラティリティの高さは投資機会を膨らませる。なお、NYダウの今回の金融市場の混乱での下落率は7%にとどまっている。まあ、「強い」ということだが、投機筋にとっては「面白みに欠ける」マーケットである。

●アメリカ新大統領候補はともに住宅支援!

いずれにせよ、危機は脱した。今後は政治(9月27日に自民党総裁選、11月5日にアメリカ大統領選)に加え、日米の金融政策、および為替(ドル・円)の動向を睨んだ展開となろう。基本的には値固めが必要だ。トレンド的にはFRB(米連邦準備制度理事会)は利下げ、日銀は金融引き締め(利上げ、流動性の吸収)に進む。

物色面はどうか。ハリス候補、トランプ候補ともに 住宅支援を打ち出している。アメリカで事業を展開する住友林業 <1911> [東証P]をはじめ、シャッター、ドアの三和ホールディングス <5929> [東証P]、芝刈り機のやまびこ <6250> [東証P]、小型パワーショベルの竹内製作所 <6432> [東証P]などが潤うだろう。

FRBの利下げ開始時には公益事業、不動産、小売り(生活必需品、レジャーセクター)が買われている。アメリカにおいてクレーンゲーム施設を運営しているラウンドワン <4680> [東証P]、GENDA <9166> [東証G]は要注目だ。ラウンドワンはアメリカでの日本食ビジネス「ラウンドワンデリシャス」に進出する。

円高に対する備え(ポートフォリオ構築)が必要だろう。この視点ではニチレイ <2871> [東証P]、神戸物産 <3038> [東証P]、ニトリホールディングス <9843> [東証P]、綿半ホールディングス <3199> [東証P]、ワークマン <7564> [東証S]、エイチ・アイ・エス <9603> [東証P]などをピックアップできる。

このほか、値動きを注視すると、マスクの川本産業 <3604> [東証S]、交通系IoTのWill Smart <175A> [東証G] 、好業績のウエストホールディングス <1407> [東証S]、太陽光発電パネルのリサイクル事業のエヌ・ピー・シー <6255> [東証G] 、 防衛関連の三菱重工業 <7011> [東証P]などに妙味があろう。

2024年8月23日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.