【クラファン】迅速&低コスト「高感度検査薬」で予防医療に貢献 由風BIOメディカル、9月7日募集開始

経済
2024年8月29日 13時40分

独自技術による体外検査薬の開発を行う由風BIOメディカル株式会社(沖縄県うるま市)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは9月7日10時開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1000万円、上限募集額:6000万円
・ 事業会社/CVC出資実績あり
・ エンジェル出資実績あり
・ 2回目(1回目は3861万円調達)
・ エンジェル税制あり(優遇措置Bおよびプレシード・シード特例)
・ みなし時価総額:24億7751万1000円
・ 類似上場企業:トランスジェニック <2342> [東証G]、キャンバス <4575> [東証G]、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証G]、メディネット <2370> [東証G]、DNAチップ研究所 <2397> [東証S]
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

体外検査業界のゲームチェンジャーへ

由風BIOメディカルは、体外検査薬の開発・原料製造を主力事業とするバイオベンチャーです。ナノバイオロジー(※)領域における独自技術によりゲームチェンジャーとなることを目指しています。

(※)ナノバイオロジー:生物を構成するナノレベルの分子の動きや振る舞いから生命現象を研究する学問(同社注)

この他、九州・沖縄地方で最大級(同社調べ)の細胞培養加工施設(CPC)を活用し、再生医療関連の製造受託・開発製造支援などの事業を多角的に展開。バイオ・医療領域に注力する沖縄県で、複数のものづくり系行政事業に採択されており、国や地域の施策を取り込みつつ、体外検査業界のゲームチェンジと再生医療の産業化を目指しています。

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(出典:イークラウド)

前回からの進捗

同社の主な事業は以下の3つです。

【体外検査薬開発関連事業】

早期発見・予防に使われる「体外検査薬」の原料となるナノ粒子の開発

【再生医療関連事業】

再生医療に用いる細胞薬の開発製造により、BtoBサービスとして医療機関を支援

【派生事業】

細胞薬を含むバイオ医薬品等の研究開発・製造に対する品質・安全性試験を、BtoBサービスとして提供

前回調達した3861万円は主に、再生医療関連事業で利用するシステム開発や分析機器へ投資しており、現在までに、体外検査薬開発関連事業・再生医療関連事業ともに、当初想定していた一連の設備投資と、事業拡大に必要な行政手続き等を行っています。

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(出典:イークラウド)

体外検査薬開発関連事業・再生医療関連事業ともにマイルストーンに沿って着実に進捗しており、産産連携も拡大。これらの活動と事業計画が評価され、複数のものづくり系行政事業に採択されています。

「体外医薬品関連では、共同研究のパートナー企業との協議により、さらなる競争力向上に向けて成長シナリオをアップデートし、『研究開発フェーズにおけるナノ粒子性能の強化と多様化』を進めています」(同社)

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(出典:イークラウド)

各事業の進捗の詳細は以下の通りです。

【体外検査薬開発関連事業】

原料となる「ナノ粒子」の開発がマイルストーンとなっています。

前回募集時、ナノ粒子1品目は有名医療メーカーとの共同研究の段階でしたが、現在、実際の製造方法における安定生産性を確保する生産検討が完了しています。

特許出願については、自社の単独出願案件として産業財産を守っていくのか、共同研究企業との共同出願案件としていくのか精査・協議中です。

また、生産工場への投資を行い、ナノ粒子の量産体制を構築するとともに、大手企業との取引で要求される品質マネジメントシステム規格「ISO9001認証」を取得。現在、新規に4品目のナノ粒子の研究開発に着手しています。

これらの活動と事業計画が評価され、体外検査薬開発関連事業では、令和5年度の内閣府域外競争力強化促進事業(先進枠)に採択されています。

【再生医療関連事業】

同社は、九州・沖縄地方最大級の商用細胞培養加工施設を基軸として、再生医療関連事業を展開しています。

前回募集後、同施設が厚生労働省より許認可を取得し、細胞薬の提供を開始。また、高度医療機器販売業、化粧品製造販売業の許可を取得しており、2024年9月には医薬部外品製造販売業の許可も取得する計画です。

さらに、医療機関に提供可能な特定細胞加工物を4品目まで拡充し、大手医療卸のスズケン <9987> [東証P]グループ(第1フェーズはスズケン沖縄薬品)などとの産産連携による、提供量拡大に向けたプロジェクトも始動しています。

日立製作所 <6501> [東証P]や日立グローバルライフソリューションズとの協創関係も継続しており、再生医療の産業化に向けた取り組みが加速。また、医薬品等の製造支援のほか、医療研究や治験薬製造を支援する「CDMO(※)」としての開発支援体制を構築するため、日立ハイテクサイエンスとの共同研究も開始しています。

(※)CDMO:「医薬品開発製造支援機関」の略称(同社注)

再生医療関連事業は、令和5年度沖縄バイオ産業振興補助事業(事業型1・事業型3)、令和6年度内閣府域外競争力強化促進事業(先進枠)に採択されています。

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(出典:イークラウド)

【派生事業】

体外検査薬開発関連事業・再生医療関連事業の設備資産を活用し、新たに、品質支援事業として、無菌試験などの品質・安全性試験をバイオ医薬品等の研究開発・製造現場にBtoBサービスとして提供します。

同事業は、総合環境衛生企業の環境衛生薬品との事業連携を基軸に推進しています。

由風BIOメディカルによると、今回の募集の目的は、再生医療関連事業の生産体制と品質管理体制のクオリティ向上(GLP(※)準拠)に向けた設備投資です。

(※)GLP:医薬品や化学物質等の安全性評価試験の信頼性を確保するために試験施設が備えるべき設備、機器、組織、試験操作等の手順書等に関するグローバル基準(同社注)

「今、再生医療の『品質と安全性』を確保するために、関連法令がさらに厳格化されようとしています。将来の法規制を見据え、先んじて対応していくことで競合他社との差別化を図りつつ、単なる『再生医療の実用化』を超えた『産業としての再生医療』の実現を目指します」(同社)

迅速・低コストな体外検査薬で医療課題を解決

日本は65歳以上の高齢者の割合が29.1%の超高齢社会であり、医療費については、65歳以上が全体の約6割(約24兆円)に増加。病気やけがなど何らかの自覚症状のある65歳以上の割合も43%以上に上るそうです。

そこで、治療だけでなく、健康の維持・増進を目的とする「予防医療」「早期検査」が注目されており、予防医療には、健康診断や病気の特定、治療方針の決定、治療効果の確認などを行う「体外検査」が不可欠だといいます。

体外検査は人に由来する試料(血液・尿・便)などを検体とするもので、インフルエンザや新型コロナウイルスの検査等でも注目されており、その一つである免疫検査用体外検査薬の市場規模は国内で約4000億円、世界で約14兆円、年成長率は5%以上とされているそうです。

現在、体外検査には「ELISA法(エライザ法:酵素結合免疫吸着測定法)」「ラテックス凝集法」があります。

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(出典:イークラウド)

多く使用されているのはELISA法で、これは体外検査薬にレーザー光を照射し、光吸収を計測することで、疾患の有無や重症度を診断するというものです。

ELISA法は妊娠検査やインフルエンザなど幅広い用途で利用され、血液検査における精密検査では、ほぼすべてのケースで利用される一方、「検査に時間がかかる」「検査コストが高い」などの課題があるといいます。

一方、ELISA法よりも迅速に検査結果を得られるのがラテックス凝集法で、これは、ナノ粒子を含む体外検査薬にレーザー光を照射し、入る光と出る光の強さを比較することで、疾患の有無や重症度を判断するというものです。

検査結果を迅速に得られますが、精度・感度が劣るため、主な用途はスクリーニング(簡便な検査)にとどまるといいます。

同社のアプローチは、ラテックス凝集法に用いるナノ粒子を独自技術によって高度に設計し、ELISA法よりも迅速かつ低コストな高感度体外検査薬を実現するというもの。ナノ粒子は、そのための鍵を握る原料(キーマテリアル)です。

「この技術開発を通じて、患者の身体的・心理的な負担や医療財政の圧迫といった医療課題の解決を目指します」(同社)

代表のノウハウから独自技術を確立

同社の主力事業は、ナノ粒子の表面(化学特性・物理特性・形態等)を制御するナノバイオロジー領域の独自技術を活用した、迅速かつ低コストな高感度体外検査薬の研究開発です。

このコア技術は、中濵数理代表が大学での基礎研究をもとに、キヤノン <7751> [東証P]で18年間、研究開発や製品開発、知的財産戦略をけん引する過程で研鑽、蓄積してきたノウハウを基盤に確立したといいます。

【優位性:従来比最大5倍の検査感度・検査精度を実現】

従来のラテックス凝集法に感度・精度面で課題がある理由の一つは、凝集塊を作る際、ナノ粒子が目標の物質以外の不純物も吸着してしまうことだといいます。

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(出典:イークラウド)

同社は「ナノ粒子に生体分子を吸着させない表面設計」「特定の生体物質だけを選択的に吸着させる表面設計」により、この課題を解決。自社実験で、開発試作品と従来のラテックス凝集法による検査結果を比較すると、検査感度は最大5倍、精度も大幅に向上したそうです。

ELISA法のデメリットである「検査時間の長さ」は、ラテックス凝集法の迅速性によって克服しており、自社実験で、検査時間はELISA法の4分の1に短縮されたといいます。

「感染症など症例の多いケースでは、臨床検査センターなどで1日に数万検体以上も体外検査を行う場合があり、体外検査の迅速性(スループット)は、検査医療のコスト削減や患者のリスク軽減につながります」(同社)

【体外検査薬のビジネスモデル】

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(出典:イークラウド)

体外検査薬開発関連事業では、グローバルに展開する大手医療メーカーとアライアンスを構築して事業を推進していきます。

由風BIOメディカルは体外検査薬とナノ粒子の研究・生産技術開発に注力し、医療機関等への販路拡大に関しては大手医療メーカーのリソースを活用して、効率的な開発オペレーションや販売を行う計画です。

関連事業について

沖縄県は、バイオ関連産業を重要な戦略的産業として位置付けており、積極的な設備投資やバイオ関連スタートアップ企業の集積を実施。県内バイオ関連産業と既存産業によるシナジー創出も目指しているそうです。

「こうした環境を追い風に、地域連携型の事業展開を通じて地方創生への貢献を目指します」(同社)

【再生医療関連事業】

九州・沖縄地方最大級の、再生医療安全確保法に準拠する細胞培養加工施設(CPC)を基盤として、細胞薬等に係る製造受託・開発製造支援(CMO(※)・CDMO)を展開しています。

(※)CMO:「医薬品製造受託機関」の略称(同社注)

その市場はグローバルで5000億円規模、今後10年で年8%の成長が見込まれているそうです。

「弊社は、国内で初めて、再生医療安全確保法に準拠する次世代モジュール(※)を採用するCPCを沖縄県うるま市に保有しており、これを活用することが事業における高い参入障壁と考えています」(同社)

(※)次世代モジュール:ファン付フィルターユニットシステムにより、室圧の制御性と省エネルギーを高いレベルで両立する最新型CPC(同社注)

同社は自社のCPCで再生医療に関連する細胞薬を製造し、提携医療機関に提供することで、再生医療サービスの地産地消を沖縄で浸透させ、再生医療の産業化に貢献していきたい考えです。

日立グループと連携し、細胞の加工培養・物流・医療行為など再生医療に関わる全行程情報のトレーサビリティを可視化する国内初の取り組みを行っています。

「次世代モジュールと、再生医療に関わる全行程情報の可視化により、高品質と安全・安心を実現し、沖縄県の再生医療のブランディングに寄与します」(同社)

また、本来、長距離輸送に適さない細胞薬の品質と安全性を確保・トレースした上で、国内全域への移輸出量を拡大していくためのプロジェクトも日立グループ、スズケングループとの産産連携により開始し、令和6年度内閣府域外競争力事業(先進枠)に採択されています。

由風BIOメディカルによると、沖縄県はバイオ関連スタートアップの誘致や投資を進めるロードマップを策定しており、人材育成、研究機関や行政・金融機関等のネットワーク構築など、先端医療技術の実用化に向けた行政施策は今後も、同社の追い風になる可能性があります。

【派生事業:品質支援事業・コンシューマー事業】

派生事業として、細胞薬を含むバイオ医薬品の開発品・生産品について、無菌試験などの品質・安全性試験をBtoBサービスとして提供する「品質支援事業」を開始し、環境衛生薬品との事業連携を基軸に推進しています。

また、検査医療や再生医療の研究成果物を応用したコンシューマー向けの健康食品等を販売しており、検査医療や再生医療の認知度向上に役立てていく狙いです。コンシューマー事業については、同社は主に機能性に関するエビデンスの取得を担当、製品の生産は外部事業者へ委託し、販売活動は代理店等を活用するといいます。

今後の成長に向けて

同社は、収益源となっている再生医療関連事業と派生事業を通じて事業基盤を強化しつつ、体外検査薬開発関連事業により、さらなるアップサイドを目指しています。

今回の調達資金は、再生医療関連法令の厳格化を見据えた細胞培養加工施設への設備投資に充て、他社に先行した生産・品質管理体制を構築することで差別化を図りたい考えです。

(1)体外検査薬開発関連事業

今後も、体外検査薬の原料となるナノ粒子の研究・生産技術開発に注力するといい、ナノ粒子1品目は2025年中に、現在、開発に着手している4品目は2026年中に生産検討を完了する計画です。

(2)再生医療関連事業

当面のマイルストーンを契約医療機関数の拡大としつつ、新たなパイプライン項目の提供を見据えた生産体制の構築を進める計画です。

中期計画では県外進出を計画しており、まず、沖縄県の細胞培養加工施設の分室として細胞加工検査施設を整備し、複数の施設間連携を推進。また、医療機関の中に細胞培養加工施設を設置する医療機関完全連動型再生医療の提供を開始します。

(3)出口戦略

IPOのタイミングとしては「単年黒字化の達成」を想定。体外検査薬の開発パイプラインを有した状態で上場することが、IPO後の株価上昇の原動力になると見込んでいます。

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(出典:イークラウド)

株主構成

同社は事業会社、個人株主などから出資を受けています。

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・トランスジェニック <2342> [東証G]

・キャンバス <4575> [東証G]

・ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証G]

・メディネット <2370> [東証G]

・DNAチップ研究所 <2397> [東証S]

発行者・募集情報

商 号:由風BIOメディカル株式会社

所在地:〒904-2234

沖縄県うるま市字州崎12番地75 沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター105

URL:https://yukaze-biomedical.co.jp/

代表取締役:中濵数理、谷正風

資本金:22,506,250円

発行可能株式総数:4,000,000株

発行済株式総数:2,477,511株

調達前時価総額:2,477,511,000円

設立年月日:2020年6月8日

決算期:5月

■募集株式の数(上限)

普通株式 60,000株

■募集株式の払込金額

1株当たり 1,000円

■申込期間

2024年9月7日~9月26日

※上記申込期間のうち、募集期間は9月7日~9月25日。早期終了の場合、予定した申込期間の最終日よりも早く、申し込みの受付を終了することがある。

■払込期日

2024年10月15日

■目標募集額

10,000,000円

■上限募集額

60,000,000円

■投資金額のコース及び株数

100,000円コース(100株)

200,000円コース(200株)

300,000円コース(300株)

500,000円コース(500株)

特定投資家向けコース

100万円コース(1,000株)

200万円コース(2,000株)

300万円コース(3,000株)

500万円コース(5,000株)

■資金使途

①調達額1,000万円(目標募集額)の資金使途

超高速遠心分離機:780万円

手数料:220万円

②調達額3,500万円の資金使途

超高速遠心分離機(上位機種):1,000万円

アングルローター:950万円

インキュベーションモジュール:780万円

手数料:770万円

③調達額6,000万円(上限募集額)の資金使途

GLP準拠のための付帯設備:1,505万円

超高速遠心分離機(上位機種):1,000万円

アングルローター:950万円

インキュベーションモジュール:800万円

リアルタイムPCR:480万円

手数料:1,265万円

■連絡先

由風BIOメディカル株式会社

098-923-0037

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。

大手との提携開始!ナノバイオロジーで検査医療の技術革新と再生医療の産業化に挑む「由風BIOメディカル」

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