見直し機運高まる中小型株、不振挽回へIPO市場に追い風は吹くか <株探トップ特集>

特集
2024年9月3日 19時30分

―9月は最大で7社が新たに登場、直近上場銘柄への見直し期待も強まる―

株価の大暴落を演じた8月相場を経て、株式市場の物色の基調にも変化が見え始めている。為替がドル安・円高に振れ、日本の金利も上昇機運を強めるなか、長く物色の圏外にあった中小型株に見直し期待が膨らみつつある。そんななか、株式市場では直近IPOを含む新規上場銘柄に対する関心が高まっている。 9月IPO市場の動向を探った。

●米国でも中小型株見直し機運が高まる

足もとで中小型株の復活期待が高まっている。中小型株の動向を示す指数である「グロース250」の8月のパフォーマンスは3.2%の上昇。8月は日経平均株価が1.2%の下落、TOPIXは2.9%下落であり、グロース株指数が大型株指数を上回った格好だ。「為替の急激な円安進行が止まり、大型株一辺倒の物色の潮流に変化がみられるなか、長く低迷していた中小型株に再評価機運が膨らんでいる」(市場関係者)という。この中小型株見直しの流れは、海外でもみられ米国の中小型株指数の「ラッセル2000」は年初から約9%の上昇を演じている。米国での中小型株上昇の流れが、日本にも波及してきている構図もみてとれる。

●バイオ株を含め直近IPO銘柄に物色機運も

そんななか、直近IPO銘柄への物色機運も強まっている。例えば、7月の大型IPOとして話題を集めたスキマバイトサービス関連のタイミー <215A> [東証G]の株価は、公開価格1450円に対して8月5日には1179円まで売られる場面があったが、その後急速に切り返し、今日は2235円と最高値をつけている。同じく7月にドローン関連銘柄の上場として話題を集めたLiberaware <218A> [東証G]も新高値圏に買われてきている。宇宙ベンチャー企業の登場として注目され6月に新規上場したアストロスケールホールディングス <186A> [東証G]も、上場後のセカンダリー(流通)市場では冴えない値動きが続いたが、足もとでは1000円台に乗せ公開価格850円を上回っている。6月上場のChordia Therapeutics <190A> [東証G]や7月上場のHeartseed <219A> [東証G]やPRISM BioLab <206A> [東証G]といったバイオ関連株も堅調な値動きとなっている。

●9月は中小型IPOが目立ちROXXなど注目

そうしたなか、9月は最大で7社が新規上場する予定で、昨年9月からは3社ほど減少する見込みだ。内訳は東証グロースに6社(うち1社は名証ネクストと同時上場)、福証Qボードに1社といった具合だ。全体的には小型銘柄の上場が目立つ。10月には、東京地下鉄(東京メトロ)や半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)といった超大型IPOの登場も報じられるなか、9月は中小型株が中心のIPOとなりそうだ。

9月IPOは25日と26日、27日に集中する。特に、26日は最大で4社が上場する可能性がある。具体的には、25日にはROXX <241A> [東証G]とリプライオリティ <242A> [福証Q]が上場する。ROXXは、ノンデスクワーカー向け転職プラットフォーム「Zキャリア」の運営などを手掛けている。ノンデスクワーカー向け転職サービスは限定的であり、市場拡大のポテンシャルは大きいともみられている。業績は赤字基調で、仮条件から弾いた資金吸収額は70億円前後の見込みだ。リプライオリティは、通販支援事業及び健康海藻であるアカモクなどの通信販売事業を展開。8月のCross Eホールディングス <231A> [福証Q]に続き、2カ月連続での福証Qボードへの新規上場銘柄となる。資金吸収額は4億円程度の見込みだ。

●キッズスターやINGS、Aiロボティクスなどにも期待

26日にはキッズスター <248A> [東証G]が新規上場する。同社はファミリー向け社会体験アプリ「ごっこランド」の開発・運営及びイベントの企画・運営などを行っている。くふうカンパニー <4376> [東証G]が大株主で、岡三証券が約1年ぶりに主幹事を務める。想定発行価格から弾いた資金吸収額は20億円前後。同日には、「らぁ麺 はやし田」や「焼売のジョー」などを中心とする飲食事業を運営するINGS <245A> [東証G]が登場。同社の資金吸収額は11億円前後。同じく、アスア <246A> [東証G]は東証グロースと名証ネクストに同時上場する。同社は物流会社を対象とした安全活動に関するコンサルティングなどを手掛ける。資金吸収額は7億円程度の見込みだ。

26日から10月2日のいずれかの日にグロースエクスパートナーズ <244A> [東証G]が上場する。同社はエンタープライズ向けのDX支援事業を展開する。資金吸収額は11億円前後。27日にはAiロボティクス <247A> [東証G]が登場する。同社は自社開発のAIシステムを用いたスキンケア商品・美容家電などの企画開発販売を手掛ける。放送作家で作詞家の秋元康氏が株主となっていることなども注目されている。資金吸収額は20億円台の見込みだ。

■9月IPO一覧

コード・

上場日 上場市場      企業名          主幹事

9月25日 241A・東G    ROXX          みずほ

25日 242A・福Q    リプライオリティ      Jトラストグローバル

26日 248A・東G    キッズスター        岡三

26日 246A・東G・名N アスア           東海東京

26日 245A・東G    INGS          SMBC日興

26日~10月2日

244A・東G    グロースエクスパートナーズ 野村

27日 247A・東G    Aiロボティクス      SBI

(注)東Gは東証グロース、福Qは福証Qボード、名Nは名証ネクスト

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