話題株ピックアップ【夕刊】(1):さくらネット、荏原、アストロHD

注目
2024年9月12日 15時12分

■さくらインターネット <3778>  4,520円  +700 円 (+18.3%) ストップ高   本日終値  東証プライム 上昇率トップ

さくらインターネット<3778>が急騰。5月中旬以来約4カ月ぶりに75日移動平均線を上回り、大勢2段上げの様相を強めている。独立系のデータセンター大手で、「政府クラウド」など国策的なクラウドサービス基盤の整備でも要衝を占める。生成AI市場の急拡大を背景に、取り扱うデータ量の膨大化が世界的なデータセンター建設の動きを後押ししている。直近では、11日に米アマゾン・ドット・コム<AMZN>傘下のAWSが英国内のデータセンター整備に今後5年間で日本円にして約1兆5000億円を投資すると発表し、耳目を集めた。日本国内でもデータセンター投資が官民を挙げて活発化する方向にあり、改めて関連銘柄への視線が向けられている。さくらネット以外ではトリプルアイズ<5026>、精工技研<6834>、ダイダン<1980>といった中小型株に物色の矛先が向いている。

■荏原 <6361>  1,902.5円  +196 円 (+11.5%)  本日終値  東証プライム 上昇率5位

荏原<6361>は後場一段高。同社はきょう、水素インフラ関連機器の商用製品試験・開発センターを千葉県の富津市内に新設することを明らかにしており、水素関連事業の拡大を期待した買いが流入したようだ。この施設は、日本や世界各国が進める水素サプライチェーン構築に必要不可欠となる液体水素ポンプの社会実装を確実に遂行するための、液体水素(実液)を用いた製品性能試験や要素技術開発を目的とした拠点。投資額は約160億円で、26年6月の竣工(25年に一部試験設備の運用を開始する予定)を計画している。

■アストロHD <186A>  986円  +97 円 (+10.9%)  本日終値

アストロスケールホールディングス<186A>に物色人気集中。今年6月上旬に東証グロース市場に新規上場した直近IPO銘柄で、宇宙空間における軌道上サービスを主要業務としており、具体的にはスペースデブリ(宇宙ごみ)除去や人工衛星の寿命延長、点検・観測などを行う。同社は11日取引終了後、英国宇宙庁(UKSA)との間で、COSMICフェーズ2の契約を獲得したことを発表した。契約金額は約3億6000万円。COSMICは低軌道上に存在する運用を終了した英国の衛星2機の除去を行う英国のスペースデブリ除去プログラムで、同社グループでは、今後の事業展開において重要なプロジェクトに位置付けている。

■IHI <7013>  6,730円  +631 円 (+10.4%)  本日終値  東証プライム 上昇率6位

IHI<7013>は大幅高。政府による防衛力強化や堅調な旅客需要などを追い風に、主力の航空・宇宙・防衛事業が好調で業績を拡大させている。先月発表した4~6月期決算は営業利益が前年同期比2.7倍の238億3000万円となった。民間向け航空エンジンのスペアパーツの販売増や東南アジアでの大型発電所プロジェクトの進捗、円安の影響が寄与した。好決算を受けて株価が堅調に推移するなか、きょうは大和証券の格上げを手掛かりに買いを集めた。

■ソフトバンクグループ <9984>  8,500円  +626 円 (+8.0%)  本日終値

ソフトバンクグループ<9984>が大幅続伸。前日は全体相場が大幅安となるなかも同社株は引け際に水準を切り上げプラス圏で着地する強さをみせていたが、きょうは朝方から大口の買い注文に上値指向を鮮明としている。前日の米国株市場では半導体セクターを中心にハイテク株が買われ、ナスダック総合株価指数は2%超の上昇をみせており、同指数と株価連動性の高い同社株に追い風となっている。特に、この日は傘下の英半導体設計アーム・ホールディングス<ARM>が10%を超える急騰をみせた。アップル<AAPL>の新型スマートフォンでアームが設計した最新半導体を使用するという報道を受けて人気化したもので、これがソフトバンクGの株価も強く刺激する材料となっている。

■エニマインド <5027>  1,318円  +61 円 (+4.9%)  本日終値

AnyMind Group<5027>が大幅反発。この日の寄り前に、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」とクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」が、生成AIを活用した新機能の提供を開始したと発表しており、好材料視された。今回提供を開始した新機能は、「AnyTag」における生成AIを活用したマーケティングキャンペーンの公募情報のテキストドラフトを作成する機能と、「AnyCreator」における生成AIを活用してPR投稿内容のドラフトを作成する機能。これにより、過去4500件以上のマーケティングキャンペーンデータを活用し、生成AIによりインフルエンサーの関心を引く最適な公募情報とPR投稿文のドラフト作成が可能になり、業務効率とコンテンツ品質向上を可能にするとしている。

■第一工業製薬 <4461>  3,020円  +139 円 (+4.8%)  本日終値

第一工業製薬<4461>が7日ぶりに反発。午前10時ごろ、脳健康VR測定を手掛けるMIG(東京都渋谷区)と認知機能低下リスクの早期発見と効果的な予防策の普及に向けてパートナー契約を締結したと発表しており、好材料視された。MIGは、VRゴーグルを用いて空間ナビゲーション脳機能を測定し、認知機能低下リスクを超早期段階で見える化する脳健康VR測定サービス「Brain100 studio」を手掛けており、今回のパートナー契約締結により一工薬は、新本社でのサービス提供や各種セミナーを通じて普及を図る。また、一工薬グループのバイオコクーン研究所が見出した、認知機能速度と視覚的な記憶力を維持するのに役立つことが報告されている「ナトリード」の認知・普及拡大にも両社で取り組むとしている。

■東京エレクトロン <8035>  23,280円  +1,070 円 (+4.8%)  本日終値

東京エレクトロン<8035>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>、SCREENホールディングス<7735>など半導体製造装置の主力銘柄が一斉高に買われた。そのなかアドテストは一時8%あまりの上昇をみせるなど上げ足の強さが目立っている。前日の米国株市場では半導体セクターが強烈に買い戻される展開でフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の上昇率は4.9%高に達した。特に、画像処理半導体大手エヌビディア<NVDA>はジェンスン・ファンCEOがこの日に開催した会合で、生成AI関連の需要の強さに改めて言及したことから急速に株価水準を切り上げており、この流れが東京市場にも波及した。これがエヌビディアの製造するAI用半導体向けテスターを供給するアドテストの物色人気にも反映された。

■セブン&アイ <3382>  2,215円  +95 円 (+4.5%)  本日終値

セブン&アイ・ホールディングス<3382>が急反発。米ブルームバーグ通信が12日、カナダのコンビニエンスストア大手であるアリマンタシォン・クシュタールが、セブン&アイの買収提案額の引き上げについて協議していると報じた。株価に上乗せされるプレミアムへの期待から買いが入ったようだ。報道によると、クシュタールは次のステップを模索している段階で、セブン&アイへの新たな買収案の提示を決定するかは定かではない、と関係者は述べているという。

■パンパシHD <7532>  3,816円  +135 円 (+3.7%)  本日終値

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>が反発。岩井コスモ証券は11日、同社株の目標株価を4100円から4400円に引き上げた。投資判断は「A」を継続した。24年6月期の連結営業利益は前の期比33.2%増の1401億9300万円と会社計画の1350億円を超過して着地。中期経営計画「Visionary2025」の目標(同利益1200億円)も1年前倒しで達成した。25年6月期の同利益は前期比7.0%増の1500億円の見込み。円高によるインバウンドへの影響はあるが、36期連続増収・営業増益は成し遂げるとみている。

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