リブワーク Research Memo(1):戸建プラットフォーマーへの進化を加速するハウステックカンパニー

特集
2024年10月4日 16時01分

■要約

Lib Work<1431>は、経営理念に「住まいを通じて人々に豊かな暮らしと幸せを提供する」を掲げ、デジタルマーケティングをコアコンピタンスに、熊本県を地盤として九州圏及び首都圏に展開する戸建住宅メーカーである。ハウステックカンパニー(HOUSE TECH COMPANY)として戸建住宅事業の拡大を推進するとともに、新規ビジネスによって戸建プラットフォーマーへの進化を加速している。

1. デジタルマーケティングによる独自の集客方法が特徴・強みの戸建住宅メーカー

同社は第1次取得層を主たるターゲットとして高品質の戸建住宅(注文住宅、建売住宅)を提供している。自社ブランドのLib Work事業やsketch事業などに加え、異業種とのコラボレーション(戸建新商品の共同開発)なども活用して積極的な商品・出店戦略を推進している。特徴・強みとしては、デジタルマーケティング(戸建関連のカテゴリー別ポータルサイト、YouTubeチャンネル、オウンドメディア等)をコアコンピタンスとする独自の集客手法によって、集客力を高めると同時に、一般的な展示場方式に比べて広告宣伝費の大幅な削減を実現していることがある。また、多数の集客が期待できるだけでなく、見込み客の獲得効率も高い大型ショッピングセンター館内にインショップ型の展示場を展開していること、グループ全体の粗利率向上策として主要5工種の内製化を進めていること、木材加工会社を子会社化してグループ内の木材安定供給体制構築を推進していることなども特徴としている。

2. 2024年6月期は大幅増益で着地

2024年6月期の連結業績は、売上高で前期比8.8%増の15,435百万円、営業利益は同65.7%増の495百万円、経常利益は同90.5%増の598百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同123.3%増の387百万円だった。計画に対しては売上高、営業利益、経常利益が下回ったものの、前期比では増収・大幅増益で着地した。子会社タクエーホーム(株)の業績が神奈川県における市況悪化の影響で低調だったものの、全体としては受注が増加し、売上高は4期連続で過去最高となった。利益面は増収効果に加え、建築資材価格高騰に伴う販売価格上昇、子会社の幸の国木材工業(株)を活用した木材価格削減効果、DXによる業務効率化効果なども寄与して利益率が改善した。売上総利益率は同1.2ポイント上昇して24.1%、販管費率は同0.1ポイント上昇して20.9%となった。この結果、営業利益率は同1.1ポイント上昇して3.2%となった。

3. 2025年6月期も大幅増益予想

2025年6月期の連結業績予想は、売上高で前期比16.6%増の18,000百万円、営業利益は同61.4%増の800百万円、経常利益は同35.4%増の810百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同13.5%増の440百万円の大幅増収増益予想としている。売上高は5期連続で過去最高、営業利益と経常利益は3期ぶりに過去最高を更新する見込みだ。タクエーホームの回復を含めて受注が増加し、引渡数は15%程度の増加を見込んでいる。利益面では、幸の国木材工業を活用した木材価格削減効果やDXによる業務効率化効果なども寄与する見込みだ。なお同社の業績を見るうえでの先行指標となる受注棟数・受注金額の四半期別前年同期比は、2022年6月期をボトムとして増加基調に転じており、2025年6月期も受注拡大が期待できると弊社では考えている。

4. 中期経営計画「NEXTSTAGE2026」で戸建プラットフォーマーへの進化を加速

同社は2023年8月に中期経営計画「NEXTSTAGE2026」(2024年6月期~2026年6月期)を策定し、最終年度2026年6月期の目標値として、戸建住宅事業の売上高285億円、営業利益30億円、ROE30%、WEB集客数年率30%増、YouTubeチャンネル登録者数20万人、プラットフォーム事業としてのマイホームロボ事業の営業利益4.5億円、IPライセンス事業の営業利益1億円を掲げている。基本方針は、戸建プラットフォーマーへの加速化(マイホームロボ事業、IPライセンス事業)、戸建住宅事業のエリア・顧客層・販売チャネル拡大と利益率改善、「家」を再定義する-未来の家をつくる-(3Dプリンターハウスの開発・販売)としている。少子化や人口減少等で住宅市場全体の大きな伸びは期待できないが、独自のデジタルマーケティング戦略や戸建プラットフォーマー戦略によるシェア拡大余地は大きいと考え、既存の戸建住宅事業の拡大を推進するとともに、全国の住宅会社・工務店向け住宅ソリューションサービスのマイホームロボ事業、住宅業界初の住宅IPライセンス事業、3Dプリンターハウス事業によって、ハウステックカンパニーとして戸建プラットフォーマーへの進化を加速する方針だ。

5. 中長期成長ポテンシャルを評価

同社は戸建住宅メーカーとしては中堅規模の位置付けであり、この点だけで見れば投資対象としての投資家の関心は低いと考えられる。しかし同社は、単なる戸建住宅メーカーに留まらず、収益性や成長性の高い新規ビジネスとして全国の住宅会社・工務店向け住宅ソリューションサービスのマイホームロボ事業、住宅業界初の住宅IPライセンス事業、市場規模の巨大な3Dプリンターハウス事業に着目し、いち早く事業化を進めている。この点を考慮すれば中長期的に同社の業績が様変わりする可能性があり、その中長期成長ポテンシャルを弊社では評価している。したがって当面は中期経営計画「NEXTSTAGE2026」で掲げている成長戦略の進捗状況に注目したいと考えている。

■Key Points

・戸建プラットフォーマーへの進化を加速するハウステックカンパニー。デジタルマーケティングを活用した独自の集客方法が特徴・強み

・2024年6月期は大幅増益で着地。2025年6月期も大幅増益予想

・中期経営計画「NEXTSTAGE2026」でROE30%目標。中長期成長ポテンシャルを評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《HN》

提供:フィスコ

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