明日の株式相場に向けて=「トランプ2.0」で危険水域の銘柄群

市況
2024年11月27日 17時30分

きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比307円安の3万8134円と続落。きょうは11月相場の権利付き最終売買日となるが、引き続き冴えない値動きに終始した。あすからの実質12月相場入りで掉尾の一振を期待したいのはヤマヤマだが、投資マインドが冷え切っているため、年末高のシナリオもウォーミングアップから仕切り直す必要に迫られている。問題は助走がいつ始まるかだ。きょうは日経平均が一時400円を超える下げとなったものの、終値でフシ目の3万8000円大台ラインをキープしたことはポジティブに評価することもできる。しかし、プライム市場の値下がり銘柄数が全体の82%強に及んでおり、やはり投資意欲の落ち込みは覆うべくもない。

米国株市場に目を向ければトランプラリーはなお活発で、その証拠に前日はNYダウが5日続伸し、なおかつ5陽連を形成して最高値街道を邁進中だ。この日は機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数も最高値をつけた。更にハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は両指数に若干遅れてはいるが、それでも25日移動平均線をサポートラインに下値切り上げ波動を継続、あと120ポイントあまりの上昇で最高値水準に到達する。トランプ米次期政権下での財政政策への期待が膨らむ一方、FRBが利下げに前向きな姿勢を維持している状況は、かつてのゴルディロックス相場のパワーアップバージョンを思わせる。12月17~18日開催のFOMCでは6割以上の確率で0.25%の利下げ実施がコンセンサスとなっている。前日発表された11月の米消費者信頼感指数は事前予想を上回り、米景気の底堅さが示された。その一方で同日午後に開示された11月のFOMC議事要旨はFRBの緩和的スタンスを確認させる内容だった。

日本時間きょう深夜に発表される10月の米PCEデフレーターに対するマーケットの関心が高いが、市場では「前月と比較してコア指数の伸び率加速が見込まれているものの、大方マーケットには織り込まれている」(生保系エコノミスト)という。10月のPCEコアデフレーターは前年比で2.8%増がコンセンサスで、9月の2.7%増を上回る伸びが予想されている。「これが3%まで上振れるような結果となれば話は別だが、基本的に波乱要因とはなりにくい」(同)という声が聞かれた。

ではFOMCに1日遅れで開催される12月の日銀金融政策決定会合のほうはどうか。こちらは日銀が追加利上げに動く可能性が高いとみる向きが市場関係者に多い。食品スーパーなどで買い物をすれば実感できるが、最近の物価高は看過できないレベルだ。「植田日銀総裁がいかに慎重でも、ここで0.25%利上げのカードを切ることに全く違和感はない」(中堅証券ストラテジスト)状況といえ、こうなるとほぼ同じタイミングで米国では利下げ、国内では利上げというベクトルの向きが真逆の金融政策が採られることになる。

方向性としてFRBの利下げと日銀の利上げはマーケットに織り込まれているが、それでもほぼ同時にカードを切るとなると相応のインパクトがある。足もとドル・円相場で1ドル=152円台前半まで急速に円高が進んだが、振り返って9月中旬には140円近辺まで円が買われたことを考えれば、今の円高はまだ序の口かもしれない。きょうの自動車や機械セクターへの売りは「関税引き上げ」と「円高」がダブルでのしかかったことによる。

個別では、まずアドバンテスト<6857>の崩れ足が半導体株復活への期待を萎えさせている。また、このほかに安川電機<6506>が8月初旬の暴落相場でつけたザラ場安値を終値で大きく下回ってきたことに警戒感を強める声が多く聞かれる。比較的底堅かったキーエンス<6861>やファナック<6954>にも売りを仕掛けているフシがあり、機械セクターは注意が必要だ。きょうは上海総合指数や香港ハンセン指数は自律反発したが、両市場の動きを横にらみに、中国関連の位置づけにある銘柄への押し目買いは慎重に考慮する必要がある。

あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に週間の対外・対内証券売買契約が開示されるほか、午後取引時間中に10月の建機出荷が発表される。また、この日は臨時国会の召集日となる。個別にIPOが1社予定されており、東証グロース市場にククレブ・アドバイザーズ<276A>が新規上場する。海外では韓国中銀の政策金利発表、11月の独消費者物価指数(CPI)速報値が発表される。なお、米国株市場はサンクスギビングデー(感謝祭)の祝日で休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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