鈴木英之氏【3万8000円近辺の攻防、年末相場の見通しは】(2) <相場観特集>

特集
2024年12月2日 19時45分

―トランプ次期政権の政策と為替市場の乱高下で思惑錯綜―

週明け2日の東京市場は日経平均株価が朝方は下値を探る展開で3万8000円台を割り込む場面もあったが、その後は切り返し反発して引けた。為替市場の変動が激しく、これも不透明感につながっているが、引き続き3万8000円台でのもみ合い推移であることに変わりはない。年末高に向けたシナリオが足もとやや後退しているようにもみえるが、果たしてここは強気対処か、それとも見送りか。師走相場の展望について松井証券の窪田氏とSBI証券の鈴木氏の2人にそれぞれ意見を聞いた。

●「方向感に欠け横ばい相場も、銀行株などに妙味」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

12月を迎え「年末ラリー」が期待されるところだが、年内の東京市場は方向感に欠け横ばい相場が続くとみている。

近年、年末は円高が進む傾向がある。今年も同様に円高に対する懸念は強く、株価の上値を抑えそうだ。今月は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が予定されているが、FOMCでは0.25%の利下げ観測が出ている一方で日銀会合では追加利上げに向けた思惑も根強い。日米金利差の縮小も警戒され、円高懸念は払拭しにくい。

ただ、一方で今年は新しい少額投資非課税制度(NISA)の開始で投資枠が拡大された。年末である今月はNISA枠を使い切るための買いが入ってくることも期待されている。また、トランプ次期米政権による減税や規制緩和に向けた思惑でNYダウなどは最高値圏にある。懸念材料と期待材料が混在するなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価は3万7000~3万9000円前後のレンジ相場を予想する。

個別銘柄では、日本は金利が上昇基調となるなか、やはり 銀行株に投資妙味があるとみている。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]や三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]といったメガバンクに加え、出遅れ感がある地銀株に注目している。また、ハイテク株ではソニーグループ <6758> [東証P]やパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]などに期待している。データセンター向け需要拡大でSWCC <5805> [東証P]や古河電気工業 <5801> [東証P]といった電線株は一段の活躍が見込めるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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