明日の株式相場に向けて=トヨタ巻き込み「企業防衛」のテーマ爆誕
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比93円高の3万9130円と反発。海外投資家の参戦が限られるなか、相変わらず方向感に乏しい地合いで3万9000円大台ラインを挟んで蛇行する動きを繰り返したが、取引最終盤に上値が軽くなり引け際のクロージングオークションで上げ幅を広げて着地した。
前日の米国株市場では、日本株とは対照的にクリスマス休場前の半日取引ながら買い意欲は旺盛だった。NYダウが4連騰、ナスダック総合株価指数も3連騰と上値指向を明示し、ナスダック総合株価指数はフシ目の2万大台を回復して取引を終えている。米国ではここ長期金利の上昇に対する警戒ムードが再び漂っているが、マーケットの主要株価指数をみる限り、どこ吹く風の強調展開を示している。前日は10年債利回りが4.6%台をつけるなど株式の相対的割高感が意識されやすい環境となったが、朝方こそNYダウがわずかながらマイナス圏に沈むなど若干の躊躇は見られたものの、その後はジングルベルの鈴が鳴り響くがごとくハイテンポの上昇トレンドに乗った。
米株高の援護射撃があっても、俗に言うサンタクロース・ラリーは東京市場には舞い降りなかった。引け際に滑り込みで日経平均は水準を切り上げたが、投資家のマインドが改善する時間帯ではなかった。何を嫌気しているのかがはっきりしないまま、薄商いの東京市場で五月雨的な売りが投資マインドを冷やしている。あすが実質月内最終で12月決算企業の駆け込み配当権利取り狙いの買いなども、相場が強ければハヤされるところだが、それも鳴りを潜めた。また新NISAの枠(成長投資枠)を残している投資家がそれを駆け込みで埋めにいく“枠埋め買いニーズ”も取り沙汰された割には、「実際はあまりそうした動きは観測できていない」(中堅証券アナリスト)という。
一方、個人投資家の損益通算の売りなどが言われている。ただし、「今年は個人投資家で儲かっている向きは少数派で、その類いの売りが頻繁に出るとは思えない」(ネット証券マーケットアナリスト)という声も聞かれる。辰年相場終了を目前に、個人投資家は利益の出ている株と含み損の株を一緒にキャッシュ化する「合わせ切り」、いわゆる手仕舞いによる売り圧力が反映されている可能性はありそうだ。とすれば、米国株が崩れないことを前提に年末相場の一過性の需給要因による売りは買い場かもしれない。“人の行く裏に道あり花の山”で、無理をしない程度に拾っておくのも一つの手である。
こうしたなかで自動車株が前日に続き局地的な物色人気を博した。ホンダ<7267>は前日の急騰パフォーマンスの疲れもあってか上値は重かったが、日産自動車<7201>の上げ足は鮮烈で、株式需給面でショート筋の建玉解消が作用している。また、「両社の統合はカルチャーが違い過ぎて絵に描いた餅というアイロニカルな見方が依然として根強く、最終的に鴻海との間で日産株式の争奪戦になるという思惑が独り歩きしている」(国内投資顧問系ストラテジスト)という指摘がある。加えて、きょうはトヨタ自動車<7203>も負けじと買いを引き寄せた。ROE目標を20%に引き上げるという報道が刺激材料となったのだが、上場企業最大の時価総額45兆円を誇るトヨタにも企業防衛の意識が芽生えているとすると、これは善悪を別として強力な投資テーマに発展する可能性を内包している。
個別株では前日にも触れた自動車部品メーカーなど、ホンダ・日産自の周辺株に思惑買いの動きが加速している。新たなところでは、両社を中心とした自動車ディーラーであるVTホールディングス<7593>の500円近辺は狙い目。また、株価低位の日本プラスト<7291>や、ホンダ向け売上比率が高く旧日産系企業と合併の経緯があるミツバ<7280>なども注目されやすい。このほか、自動車周辺企業ではエンジン用軸受けの製造を手掛ける大同メタル工業<7245>。こちらは、データセンター向け発電機用の需要発生という望外の追い風も吹いている。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、11月の建機出荷、11月の住宅着工統計など。この日はフォルシア<304A>、visumo<303A>、GVA TECH<298A>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では、トルコ中銀の政策金利発表のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数が注目される。また、ボクシングデーのためドイツ、フランスなど欧州圏のほか、香港などアジア株市場の一角が休場。(銀)