2024年【値上がり率】年間ランキング ベスト50 <年末特別企画>

特集
2024年12月31日 9時30分

2024年の東京株式市場は、日経平均株価が昨年末比6430円(19.2%)高の3万9894円と2年連続で大幅に上昇して取引を終えた。今年は「史上最高値の更新」と「史上最大の下落幅」を記録した"歴史的な1年"となった。ボラティリティの大きい相場展開が続く中、日経平均の年初来高値と年初来安値の値幅は1万1270円に達した。これはバブルが崩壊した1990年に次ぐ大きさとなる。

日経平均はデフレ脱却や低PBR改善に対する期待などに支えられ、年初から快進撃を続けた。そして、2月22日に1989年12月末につけた終値ベースの史上最高値(3万8915円)を更新すると、3月4日に4万円大台を突破し、7月11日には4万2426円まで上値を伸ばした。しかし、そこから流れが一変し、米国の景気後退懸念が高まる中、8月5日に過去最大の下落幅(4753円安)を記録、一時3万1156円をつける暴落を演じた。目まぐるしい"ジェットコースター相場"のあとに再び4万円を回復する場面もあったが上値は重くボックス圏での推移が続いた。

ここでは、2024年に株価の居所を大きく変えた銘柄に注目し、今年の株価上昇率ベスト50をリストアップした。下表は、24年12月30日終値の23年12月29日終値に対する上昇率が大きい順に並べ、その上昇の主因を記した。今年はメタプラネット <3350> [東証S]とリベルタ <4935> [東証S]の2社が、大納会終値が昨年末比10倍を超える「テンバガー」を達成している。

値上がり率トップに輝いたのは、ホテル事業などを手掛けるメタプラネット。同社はビットコインへの投資や長期保有を表明しており、関連銘柄として注目を集めた。仮想通貨に肯定的な立場をとるトランプ氏が米大統領選を優位に進めていると伝わり、ビットコイン価格の上昇が加速したことで11月以降に思惑的な買いが流入し、株価は12月17日に昨年末終値(170円)から25.1倍の4270円まで駆け上がる場面があった。

2位のリベルタは11月14日にクラウドファンディング大手のキャンプファイヤーと業務提携したことを手掛かりに3日連続のストップ高に買われた。さらに、12月11日に米国子会社がカナダのユニフォーム製造企業であるCIMA社が持つ冷感持続衣料「フリーズテック」の独占販売代理店契約を締結したと発表したことが材料視され、当日の株価は10%を超える上昇をみせた。12日は売りに押されたものの、翌13日から30日まで12連騰を記録し、テンバガーを達成した。なお、メタプラ、リベルタともに足もとの業績が低迷している点には留意が必要だ。

3位のフジクラ <5803> [東証P]は 生成AI(人工知能)市場の拡大で データセンターの建設が相次ぐ中、データセンター向け光ファイバーや光コネクターで高い商品競争力を誇る同社にマーケットの視線が集中した。また、25年3月期は2度にわたる上方修正を経て営業利益が前期比5割増の1040億円と2期ぶりの最高益更新見通しと業績も絶好調だ。株価は2月に1988年8月につけた上場来高値を約35年半ぶりにクリアし、その後も勢いは止まらず、12月27日に昨年末終値比6.3倍の6788円と驚異の急騰劇を演じた。

データセンター関連では光通信用コネクターや検査装置などへの引き合いが旺盛な精工技研 <6834> [東証S]が8位、フジクラとともに電線3強の一角をなす古河電気工業 <5801> [東証P]が18位、電気・空調設備工事のダイダン <1980> [東証P]が28位、電線中堅のSWCC <5805> [東証P]が32位、子会社がデータセンターの建設を進めているピクセルカンパニーズ <2743> [東証S]が48位、そしてデータセンター電力案件で活躍が期待されるsantec <6777> [東証S]が49位にリスト入りしている。

ランキングには防衛関連銘柄も多く入った。世界的な地政学リスクを背景に政府が防衛予算を拡大していることに加え、同盟国に対して軍事面で負担増を求めるトランプ米次期政権の誕生も意識されたようだ。主力のIHI <7013> [東証P](13位)、三菱重工業 <7011> [東証P](29位)のほか、航空宇宙・防衛向けに振動装置や電磁波関連のEMC試験で高い実績を有するIMV <7760> [東証S](45位)も関連銘柄として注目を集めた。

そのほか、旬のテーマに乗る銘柄では、11月以降に騰勢を強めた伊勢化学工業 <4107> [東証S]が9位にランクイン。次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の実用化を控え、量産化推進のカギを握る主原料のヨウ素を生産する同社に耳目が集まった。また、「ハローキティ」50周年の施策や複数キャラクター戦略などが奏功し、好調な業績が続いたサンリオ <8136> [東証P]は23位に入った。今年はソニーグループ <6758> [東証P]によるKADOKAWA <9468> [東証P]に対する買収報道を契機に、アニメやキャラクターなどの有力IP(知的財産)を持つ企業が人気化した。

株主優待制度の新設や大幅な拡充を受けて、株価が急騰した小型株が多く見られることも今年の特徴だ。AIAIグループ <6557> [東証G](14位)、グランディーズ <3261> [東証G](20位)、さくらさくプラス <7097> [東証G](25位)、グリーンエナジー&カンパニー <1436> [東証G](27位)、京極運輸商事 <9073> [東証S](39位)、デュアルタップ <3469> [東証S](41位)、日本エコシステム <9249> [東証S](46位)の7社がリスト入りを果たした。

今年の株価上昇率ランキングは、テーマ性のある好業績材料株が目立つ。一方、昨年は急騰する銘柄が相次いだ 半導体関連株が姿を消した。3月までは生成AIへの期待から大きく上昇し、日経平均が史上最高値を更新する牽引役になったが、その後は需要の先行き懸念などから失速した。また、自動車の販売低迷や認証不正問題の発覚が重荷となった自動車関連株もベスト50に入らなかった。日本株全体の浮揚に欠かせない半導体と自動車関連株の復活が待たれるところだ。

●今年の株価上昇率ランキング【ベスト50】

※12月30日終値の昨年12月29日終値に対する上昇率

(株式分割などを考慮した修正株価で算出)

―― 対象銘柄数:4,208銘柄 ――

(今年の新規上場銘柄、地方銘柄は除く)

銘柄名    市場  上昇率(%) 株価  個別ニュース/決算速報/テーマ

1. <3350> メタプラ   東証S   1947  3480  ビットコイン価格が初の10万ドル突破 (12/05)

2. <4935> リベルタ   東証S   1263  4690  「フリーズテック」の独占販売代理店契約締結を材料視 (12/11)

3. <5803> フジクラ   東証P   504  6548  生成AI向け光関連製品需要が高水準で一段の利益上乗せ濃厚 (10/11)

4. <3260> エスポア   名証N   478  3380  新たに時間貸し駐車場事業を開始 (03/08)

5. <2901> Wディッシュ 東証S   407   750  25年3月期を最終黒字予想へ上方修正 (11/01)

6. <6736> サン電子   東証S   336  9830  ヘバラがTOB価格を5500円に引き上げ (08/01)

7. <6836> ぷらっと   東証S   319  2556  4-6月期(1Q)経常はトントンに回復で着地 (08/09)

8. <6834> 精工技研   東証S   309  5650  DC向け光デバイス好調で業績様変わり (11/18)

9. <4107> 伊勢化    東証S   278  32450  ペロブスカイト太陽電池に国策支援の風 (11/26)

10. <5950> パワーファス 東証S   266   392  好需給と高配当利回り意識した買いが継続 (11/27)

11. <5535> ミガロHD  東証P   262  2574  イオン銀などの『顧客の買い物体験価値の向上』に採択 (12/20)

12. <4784> GMO-AP 東証S   251  1199  1月1日付で東証プライムに市場変更 (12/25)

13. <7013> IHI    東証P   237  9311  25年3月期営業利益予想及び配当予想を上方修正 (11/06)

14. <6557> AIAI   東証G   234  1613  株式分割と株主優待制度の導入を好感 (07/22)

15. <2586> フルッタ   東証G   222   116  アサイーを使用したプレミアムソフトドリンクがジョナサン全店で販売開始 (10/24)

16. <3300> アンビDX  東証G   212  2316  7-9月期(1Q)経常は黒字浮上で着地 (11/14)

17. <6507> シンフォニア 東証P   208  6420  今期経常を26%上方修正・2期ぶり最高益、配当も20円増額 (11/08)

18. <5801> 古河電    東証P   202  6685  今期経常を76%上方修正、配当も30円増額 (11/07)

19. <7075> QLSHD  名証N   201   854  東証グロース上場承認を好感 (11/26)

20. <3261> グラン    東証G   190  1082  株主優待制度を新設へ (09/24)

21. <6574> コンヴァノ  東証G   190  2011  筆頭株主の青木氏が保有株を資産管理会社に移行 (04/17)

22. <5216> 倉元     東証S   183   252  今期経常を一転黒字に上方修正 (12/17)

23. <8136> サンリオ   東証P   183  5540  25年3月期業績予想及び配当予想を上方修正 (11/05)

24. <7936> アシックス  東証P   182  3110  株式分割や配当増額を好感 (05/13)

25. <7097> さくらさく  東証G   179  2039  株主優待制度の新設を材料視 (12/13)

26. <3328> BEENOS 東証P   174  3975  『LINEヤフーが500億円でTOB』と伝わる (12/19)

27. <1436> グリーンエナ 東証G   174  2218  株主優待拡充を好感 (05/07)

28. <1980> ダイダン   東証P   171  3860  今期経常を16%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も19円増額 (11/08)

29. <7011> 三菱重    東証P   170  2223  防衛関連株の中核銘柄で売買代金も首位 (12/05)

30. <4499> スピー    東証S   169  5250  金融庁がステーブルコイン仲介業の新設検討と報道 (11/22)

31. <4439> 東名     東証S   166  2417  今期経常は21%増で3期連続最高益、前期配当を14円増額・今期は実質増配 (10/15)

32. <5805> SWCC   東証P   166  7600  今期経常を31%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も10円増額 (11/12)

33. <5588> ファーストA 東証G   166  1940  会計AIで安定的に急成長、大口投資家による買い増しも (12/24)

34. <2330> フォーサイド 東証S   163   179  AI関連事業を行う子会社を設立へ (02/02)

35. <7220> 武蔵精密   東証P   162  3960  国内有力証券は目標株価4100円で新規カバレッジ開始 (12/04)

36. <7003> 三井E&S  東証P   161  1842  上期経常は2.3倍増益で着地 (11/12)

37. <2983> アールプラン 東証G   159  1559  25年1月期業績と配当予想を上方修正 (12/10)

38. <7383> ネットプロ  東証P   158   528  今期最終を58%上方修正・最高益予想を上乗せ (11/14)

39. <9073> 京極運    東証S   157  1599  株主優待制度の拡充を材料視 (12/26)

40. <2813> 和弘食品   東証S   156  6210  今期経常は20%増で4期連続最高益、前期配当を1円増額・今期は15円増配へ (05/15)

41. <3469> デュアルT  東証S   155  1036  24年6月末株主から株主優待制度を新設へ (04/09)

42. <3696> セレス    東証P   154  3105  ビットコイン価格が初の10万ドル突破 (12/05)

43. <9369> キユソ流通  東証S   154  2294  今期経常を22%上方修正 (07/04)

44. <4295> フェイス   東証S   154  1210  1株1220円でMBO (11/15)

45. <7760> IMV    東証S   150  1302  振動試験世界トップの実力が防衛関連の側面でクローズアップ (11/20)

46. <9249> エコシステム 東証S   149  4310  株主優待制度の新設で関心が向かう (01/22)

47. <7163> 住信SBI銀 東証S   145  3790  NTTドコモによる買収観測報道で資金が向かう (11/28)

48. <2743> ピクセル   東証S   142   92  データセンター施設のGPUサーバー及び付帯設備の売買契約締結 (11/27)

49. <6777> santec 東証S   139  7410  データセンター特需で光ファイバー向け測定装置などに期待 (11/18)

50. <2991> ランドネット 東証S   139  1213  10月31日を基準日として1株を2株に株式分割へ (10/15)

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