【植木靖男の相場展望】 ─いまは超短期投資に徹するとき
「いまは超短期投資に徹するとき」
●煮詰まる大小2つの三角保ち合い
日経平均株価はいよいよ土壇場に差し掛かっているかにみえる。
チャートで振り返ると、2024年8月5日に4451円安と暴落し、23年10月31日以来の安値となった。その日を起点にジリジリと回復に転じた。一方、上値は4万円台でほぼ横一線となり、今日まで感心するほどの三角形の保ち合いを形成し、その先端に到達しようとしている。いわゆる上下に放れる限界点に到達しつつあるのだ。因縁でいえば、8月5日の暴落は米雇用統計の結果を受けて米景気の後退懸念が強まったことが背景にあった。本稿を執筆している1月10日も、米雇用統計の発表が予定されている。
加えて、いま三角形の限界点に到達しようとする矢先、24年12月27日の4万円回復の日からさらに小さな三角形を形成し、さらなる小さな限界点に至っている。つまり、ダブルで大小の三角保ち合いが煮詰まりをみせている。
この二重に及ぶ三角形の頂点に到達した後に上に抜けるのか、下に抜けるのか。市場は固唾を呑んで見守るばかりである。
投資家心理としては、方向性が明確になってから出動しようとする。したがって、結果的にはそれまでは売買高は縮小する。
上に抜ければ、24年7月11日の史上最高値4万2426円への挑戦となる。逆に下に抜ければ、おそらく24年8月5日の大幅安が投資家の脳裏をよぎり、売りが活発化しよう。
では、米国株はどうか。心理的な材料にこだわることになろう。経済的に大きな意味はなくても市場が反応するといった材料だ。今回も米雇用統計やトランプ新大統領の就任(20日)などがそれにあたる。トランプ政策である大幅減税、規制緩和を好材料に上げてきただけに一つの材料出尽くしとなるかもしれないし、米長期金利の急上昇は株式の割高感を強めるかもしれない。目が離せない展開が続く。
かくして、今後の日本株は米国株を横目に睨んだ対応となる可能性が高い。
●超短期の妙味株は?
当面の物色対象はどうみればよいのか。24年の米国のAI(人工知能)関連を中心とするテック株の強調相場は投資家の頭にこびりついているだけに、ついつい半導体株を新NISA(少額投資非課税制度)で選択する個人投資家は多いはず。したがって、ナスダック指数が高値もみ合いを持続しているいまは、当面、ハイテク株をメインとする選択が正しいようにみえる。だが、いずれ物色の流れは大きく変わるとみている。
だとすると、超短期銘柄と中長期銘柄を分けての投資が必要だろう。中長期銘柄についていまは述べないが、大型株が中軸になるとみている。
今回は超短期銘柄を考えてみたい。ハイテク株をメインとすれば、いま最も人気のあるのがアドバンテスト <6857> [東証P]だ。株価の水準、業績の見通しなどからみてハイテク株の本命といえるのではないか。
また、防衛関連株もトランプの発言次第で域を吹き返しそうだ。川崎重工業 <7012> [東証P]が三菱重工業 <7011> [東証P]に代わって主役となるのではないか。
そして、データセンター関連人気が続く中、フジクラ <5803> [東証P]より古河電気工業 <5801> [東証P]の方が足取りとしては妙味がありそうだ。
日本製鋼所 <5631> [東証P]や荏原製作所 <6361> [東証P]など好業績の機械株にも目配りしたい。
異色なところではVチューバー関連からカバー <5253> [東証G]の出直りにも注目したい。
このほか、今後の値動き次第だが、サンリオ <8136> [東証P]、アシックス <7936> [東証P]、ひょっとして久しぶりに安川電機 <6506> [東証P]も中国株次第で新たな動きもありそうだ。
2025年1月10日 記
株探ニュース