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【村瀬智一が斬る!深層マーケット】防衛関連株や期末接近で配当志向の物色に

市況
2025年3月15日 8時00分

「防衛関連株や期末接近で配当志向の物色に」

●米景気の減速警戒や日銀の利上げ観測で3万6000円割れ

トランプ米大統領の関税政策による米国景気の減速懸念や、日銀の利上げ観測に伴う円高進行が投資家心理を圧迫し、日経平均株価は3月11日に一時1041円安の3万5987円まで急落した。トランプ政権の関税強化に対し、欧州連合(EU)やカナダが対抗措置を発表。これを受けてトランプ大統領がさらなる報復措置を講じる考えを示すなど、貿易戦争の激化が世界経済にもたらす影響が警戒されている。

週末14日は、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)の通過で需給が軽くなったことに加え、為替市場で円高が一服したことにより、日経平均株価は反発し3万7000円台を回復した。

ただし、トランプ関税が二転三転をみせるなかでは、積極的なリバウンド狙いの買いは期待しづらい。また、テクニカル面でも下向きで推移するボリンジャーバンドの-1σが抵抗線として機能している。同バンドを明確に上抜くことができるかを確認したいところである。

来週18~19日は、日銀の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。現状の政策金利の維持が見込まれるが、イベント通過までは市場心理を神経質にさせそうだ。また、米国市場では機関投資家がベンチマークとするS&P500指数が52週移動平均線を割り込んでおり、調整入りのシグナルを発している。

週末の日経平均株価の動きも自律反発の域は脱しておらず、目先上昇したとしても戻り待ち狙いの売りには注意しておきたい。物色の流れとしては、 防衛関連に断続的な買いが入りやすいとみられるほか、期末接近により配当志向の物色が意識されてきそうだ。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆ヤクルト本社 <2267> [東証P]

4月8日に通常の「Y1000」に比べてカロリーを32%、糖類を44%低減した乳製品乳酸菌飲料「Y1000 糖質オフ」を発売する。「乳酸菌 シロタ株」にはストレス緩和や睡眠の質向上の機能があることが報告されており、「Y1000 糖質オフ」の投入により、足もとで低調だった同シリーズの販売回復が期待される。また、4月の清涼飲料の値上げによる業績改善に加えて、株主優待制度の拡充による株価押し上げの効果も期待したい。

◆三菱商事 <8058> [東証P]

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が2月下旬に「株主への手紙」を公表し、日本の5大商社への投資拡大に意欲を示したとの報道をきっかけに反発。現在も緩やかながら25日・75日線にサポートされる形で上向きのトレンドを継続している。昨年5月の上場来高値3775円をピークに調整に転じ、前年の上昇分を概ね帳消しにしていたが、3月期末の配当取りも睨んで仕切り直しのスタンスで臨みたい。

◆三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]

来週18~19日に開催される日銀の金融政策決定会合では、利上げは見送られるとの見方がコンセンサスである。ただし、最近の植田和男総裁の発言を受けて日銀の利上げ観測は根強いほか、賃上げ機運の高まりが利上げを後押しするとの見方もある。国内の長期金利の上昇により、今後も利ざや改善の思惑が高まりやすい状況は続くと考えられる。株価は200日線までの調整を経てリバウンドに転じ、足もとで25日・75日線を上抜いてきた。2月高値4022円突破からの一段高に期待。

◆SBIグローバルアセットマネジメント <4765> [東証P]

金融機関の運用受託や投信などの金融情報の評価・データ提供を手掛ける。NISA(少額投資非課税制度)の定着などを背景とした資産運用ニーズの高まりを受け、大手金融機関や地域金融機関と共同で開催するセミナーや資産運用フェアなどの件数が増加。アセットマネジメント事業は新商品の設定が奏功し、順調に拡大している。株価は2月12日高値の732円をピークに調整を続けたが、75日線に支えられる形でリバウンドをみせている。上値抵抗の25日線を捉えてきており、同線突破からの一段のリバウンド加速が意識されやすい。

◆芝浦機械 <6104> [東証P]

射出成形機、ダイカストなどの成形機が柱。自動車部品を一体成型する新技術「ギガキャスト」市場に参入し、3月中にも鍛造設備を発売すると報じられた。電気自動車(EV)の製造工程、コストの大幅削減に寄与する技術であり、内外企業によるギガキャスト設備の開発競争が加速している。報道によると、日米韓の自動車メーカー、大手サプライヤーへの売り込みを狙っているという。株価は利食いを交えながらもリバウンド基調を継続しており、昨年11月以来の水準を回復してきた。昨年9月27日高値の4160円を射程に入れたトレンド形成に期待したい。

(2025年3月14日 記)

株探ニュース

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