【杉村富生の短期相場観測】 ─打たれ強い"雑草株"を狙う!

市況
2025年3月16日 9時15分

「打たれ強い“雑草株”を狙う!」

●アメリカ市場の時価総額が1000兆円飛ぶ!

古来、「バカな大将、敵より怖い」という。ドナルド・トランプ大統領の暴走が止まらない。ここ数年、世界の株式市場(特に、西側陣営)は東西冷戦構造(ロシア、中国との対立)、新産業革命(AI・人工知能が軸)、新資本主義(株主の復権)の流れを背景に、活況を続けてきた。そのトレンドに“赤信号”が灯っている。

マーケットにとって、非常事態である。アメリカ市場の時価総額はこの2カ月で、1013兆円(9648兆円→8635兆円)が吹っ飛んだ。この金額は東証プライム市場の時価総額(934兆円)を上回る。世界有数の巨大市場がそっくり消えたことになる。これを非常事態といわず、何を非常事態というのか。

マグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)の時価総額は、121兆円減(513.9兆円→392.8兆円)のエヌビディア<NVDA>をはじめ、ほぼ半減(203.9兆円→109.8兆円)のテスラ<TSLA>など、492兆円(約20%)が消滅した。これはAI相場の“黄昏”を意味する。

バカな大将は大統領だけではない。どこかの国の首相もそうだ。いや、西側陣営の政治はどこもかしこも揺れている。半面、“独裁”のロシアと中国は盤石だ。この結果、西側陣営は盟主がご乱心とあって、新東西冷戦構造での勝利が怪しくなってきた。当面は新産業革命とともに、この2大潮流の行方を見極める必要があろう。

ただ、新資本主義のトレンドは不変である。増配、株主優待、自社株買いが相次いでいるし、アクティビストは活発に動いている。M&A、TOBは活況だ。これが企業価値を向上させる。昨年8~9月の株価暴落時、株価底割れを防いだのはアクティビストの介入と自社株買いだった。今回もそうなりつつある。

●新資本主義がマーケットを救う!

自社株買いは昨年、15兆円(史上最高)と前年比7割増えたが、今年は20兆円を超えるだろう。この背景には資本効率の改善に加え、PBR1倍奪回作戦があろう。自社株買い企業ではNIPPON EXPRESS ホールディングス <9147> [東証P]、東京ガス <9531> [東証P]、大林組 <1802> [東証P]、コクヨ <7984> [東証P]などに注目できる。

物色の方向性はここ数カ月、ウォーレン・バフェット氏スタンレー・ドラッケンミラー氏など相場巧者の投資行動を紹介、「国際マネーは脱巨大IT企業」とか、「AI関連セクターのフィーバーは終焉」などと主張してきた。相場にこだわりは禁物である。先人は「続く流れに逆らうな」と教えている。さて、この局面での狙い目は引き続いて、打たれ強い“雑草株”だろう。

具体的には大出直りの東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、nms ホールディングス <2162> [東証S]、好業績・低PER、かつ高配当のタスキホールディングス <166A> [東証G]、THEグローバル社 <3271> [東証S]、マテリアルグループ <156A> [東証G]などに妙味があろう。

東京電力ホールディングスはこの1年間(昨年4月~今年2月)に66.7%(1114.5円→371.1円)下落した。売られすぎだ。首都圏4000万人の電力供給を担っている。その電力は東京湾岸の老朽火力発電所が頼りだ。常に、「東京大停電」のリスクが存在する。本当に、これで大丈夫なのか。

人材派遣請負のnms ホールディングスの株価は不祥事があって、長期低迷を続けていたが、ようやく底打ち、反騰態勢を固めてきた。ただ、PERは6.2倍にすぎない。主力ユーザーはパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]だ。この2社は現在、絶好調である。

さらに、同業大手のワールドホールディングス <2429> [東証P]が第三者割当増資(自己株371万9700株)を引き受け、19.38%を保有する筆頭株主となる。ワールドホールディングスは半導体フィーバーに沸きかえる九州が地盤だ。今回の資本・業務提携によって、nms ホールディングスは信用力の回復とともに、ビジネスチャンスが膨らむだろう。

2025年3月14日 記

株探ニュース

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