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トランプ2.0に勝つ内需の急先鋒、「反撃の成長株スペシャル6選」 <株探トップ特集>

特集
2025年4月12日 19時30分

―米国トリプル安・米中貿易戦争など、不確実性の中で輝き放つ内需株のエースを探せ―

東京株式市場は4月新年度入りから波乱モードを余儀なくされている。週末11日の東京市場は日経平均株価が急反落、一時3万2000円台まで売り込まれる場面があった。その前日に日経平均は2894円高と歴代2位となる上げ幅で一気に3万4000円台まで戻し、本格的な反騰局面入りを思わせたが、なかなか一筋縄ではいかない。この日は再び下値を大きく探る展開を強いられるなど、依然として視界不良のジェットコースター相場に翻弄されている。

●米国株市場の地盤沈下が東京市場を揺らす

震源地は紛れもなく米国株市場だ。トランプ米政権の政策が本格始動するなか、株安だけではなく債券も売られ、外国為替市場ではドルも売られるという、いわゆる「トリプル安」に見舞われている。これは米国からの資金流出の動きを示唆しているという見方が強い。これまでの常識的な概念では米国債は「安全資産」であり、リスクオフの局面ではむしろ資金の逃避先として有力視されるアセットである。しかし、今の米国債は売り人気のターゲットと化している。10年債利回りはここ数日間で4.0%台から4.4%台まで急上昇、これは米金利動向に特に神経質なトランプ政権にとっては由々しき事態といってもよい。

11日の東京市場は米株価指数先物が強調展開を示したことで、これを横目に日経平均が朝方の急落後は漸次下げ渋る動きをみせたが、当面は油断がならない。いつ再び米国を起点に流れが変わり、リスクオフの洗礼を受けるのかは予想がつかない。

●自動車や半導体周辺は値ごろ感で食指が動くが…

トランプ米大統領は相互関税の発表日である4月2日を「解放の日」に位置付けたが、皮肉にもここを境に世界はカオスに迷い込んだ。常軌を逸したトランプ関税政策を強行すれば、世界株市場は米国も含め解放ではなく「崩壊の日」に向かう可能性すら意識される。もちろん、「パニックは政策の母」と言われるように無策でこのまま氷山に突っ込むようなことはないであろう。歴史に刻まれた1930年代の世界大恐慌のような経済環境に陥ることをトランプ政権も望むわけはなく、北風政策の限界を感じれば、当然引き返す勇気をトランプ氏は持ち合わせているはずである。

ただし、今の時点で株式市場を見渡して自信を持って買える銘柄は何かと考えた場合、対象はおのずと限られてくる。自動車や半導体は向かい風の風速がどのくらいになるのかが、現状では想定し得ない。株価が急落すれば値ごろ感から食指が動くのは人情だが、仮にこれら主力株のリバウンドをうまく捉えたとして、それはテクニカル的かつ短期的な手段の域を出ない。なぜなら、これから3月期決算企業の前期決算発表と今期の業績ガイダンスを控えており、特に今期予想についてはネガティブ方向に圧力がかかる可能性が高いからだ。足もとで進むドル安・円高傾向も輸出セクターには重い足かせとなっている。

●「トランプ2.0」と絡みのない銘柄を選ぶ

株式を購入するということは、テクニカル的なリバウンドを狙うのが本義ではなく、当該企業の収益成長に投資するというコンセプトこそが本当の姿である。その意味で、トランプ関税や米中対立に収益環境が左右される銘柄群に、腰を入れて買いを入れることは今のタイミングでは難しい。

ここは可能な限りリスクを避けるという観点から「トランプ2.0」のリーチの届かない内需株を対象に、好業績かつ成長ビジネスモデルを有する銘柄を篩(ふるい)にかけるのが有力な作戦だ。クラウドなどを活用したネット系ビジネスを展開する企業、インバウンド消費を追い風とする消費周辺株及び物価高の経済環境で改めて存在感を示す生活防衛関連株。更に、グローバルな視点で水準訂正余地が大きい国内不動産を扱う銘柄にも株価見直しムードが台頭している。今回のトップ特集では、これらの切り口を念頭に置いたうえで、上値妙味を内包する有望6銘柄をエントリーした。

●にわかに頭角を現す内需系成長株6銘柄

◎ジーニー <6562> [東証G]

ジーニーは最先端のアドテクノロジーを駆使した広告の自動配信のほか広告収益や効果を極大化させるプラットフォームを提供する。また、マーケティングSaaS事業(販促支援事業)も展開している。M&A戦略による業容拡大が顕著で、大企業案件の獲得が進んでいることで足もとの業績はトップライン、利益ともに急拡大途上にある。グループ会社のJAPAN AIなどを通じ先端AI技術によるパフォーマンス向上を顧客企業に対する強みとしている。25年3月期は売上高が前の期比50%増の120億円、営業利益は同63%増の25億円を見込むが、続く26年3月期もM&A子会社の収益フル寄与に伴い大幅増収増益が濃厚とみられる。

株価は4月7日の安値1200円割れで目先の底値を確認しており、押し目を交えながらも徐々に反騰機運が高まりそうだ。高成長株にしてPER9倍台は見直し余地が大きい。3月中下旬のもみ合い水準である1700円どころへの戻りが想定される。

◎ジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> [東証P]

Jエレベータはエレベーターやエスカレーターの保守・メンテナンス及びリニューアル事業を展開している。独立系だが、メーカー各社の機種に抜かりなく対応できる高い技術力と実績を武器に国内で不動のトップシェアを確保している。売り上げの6割強を占める保守・保全業務ではエレベーターの保守契約台数の純増数が増勢一途にあるほか、保全工事の受注獲得も高水準。売上高の3割強を占めるリニューアル業務も旺盛な需要を捉えている。業績は18年3月期から大幅増収増益トレンドを突き進み、トップライン、利益ともに過去最高更新を続けている。25年3月期は売上高が前の期比11%増の470億円、営業利益が同17%増の80億円を見込む。

PER的には割高に見えるが、抜群の成長性はそれを補って余りある。また、外国人持ち株比率が過半を超え、浮動株比率が際立って低いことも品薄感をもたらしており株高を後押しする。昨年10月の上場来高値3230円奪回から青空圏への飛翔が期待できる。

◎セリア <2782> [東証S]

セリアは 100円ショップ大手で売上高規模ではダイソーに次ぎ業界2位にランクされる。商品センスの良さに定評があるほか、POSシステムの活用で、在庫管理やタイムリーな顧客ニーズに即した製品開発を行い、利益率の高さもポイントとなっている。物価高が進むなか生活防衛の観点から100円ショップへの客足が伸びており、新規出店も積極的に進め毎期売上高を漸増させている。営業利益も25年3月期は前の期比3%増の155億5000万円と堅調が見込まれているが、第3四半期時点で同利益は131億6600万円(前年同期比17%増)と好調で進捗率は約85%に達し、通期業績も増額含みだ。

株式需給面では信用買い残が少なく上値が軽い。株価は底値圏からにわかに浮上気配で5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを示現し、そのまま5日線は75日線も突き抜けており、マーケットの視線を集めている。2800円近辺のもみ合いを抜けたことで滞留出来高も希薄化し、上げ足が一段と軽くなるケースも予想される。

◎Aiロボティクス <247A> [東証G]

Aiロボは自社開発のAIシステム「SELL(セル)」を活用し、スキンケア商品や美容家電の企画・開発などを手掛け、足もとの業績も好調を極めている。「Yunth(ユンス)」ブランドで展開する化粧品では主力の美白美容液が顧客ニーズを取り込んでおり、昨年2月に新規参入した美容家電も大幅な伸びで業績に寄与している。トップラインはここ数年倍々ゲームの成長ペースを示していることが注目され、25年3月期売上高は前の期比98%増の140億円とほぼ倍増を見込む。また、営業利益は同91%増の24億円予想とこちらも急ピッチの伸びが予想されている。26年3月期についても大幅増収増益トレンドを維持する公算が大きい。M&A戦略に積極的に取り組む構えにある。

昨年9月下旬に新規上場したニューフェースだが、株価は3月26日に4380円の上場後の高値を形成した後は大幅な調整を余儀なくされている。しかし、時価は75日移動平均線を支えに底堅さを発揮。早晩切り返しに転じ、中勢4000円台復帰を目指す。

◎レック <7874> [東証P]

レックは家庭用の日用雑貨や清掃・衛生用品などの製造を行い、主に100円ショップ向けで需要を獲得し、トップラインについては長期にわたり一貫して増収基調(過去最高)を続けている点が評価される。ロングセラーブランドである「激落ちくん」が収益に貢献しているほか、買収した殺虫剤「バルサン」も知名度が高い。このほか全社的にアイデアを集め、新製品を企画してタイムラグなく開発に取りかかる機動的な開発体制が強みとなっている。25年3月期は7%増収を確保し、営業利益段階で前の期比23%増の20億円を見込む。26年3月期も増収基調は変わらず、営業利益は2ケタ成長が有力視される。

株価は4月7日に1000円大台を割り込んだが陽線で引け、その後も継続的な実需買いが観測されるなか、陽線続きで戻り足の強さを暗示する。目先、押し目形成場面があれば強気に対処したいところ。年初来高値1323円奪回を通過点に、昨年6月につけた高値1500円を中期上値目標とした強調相場が意識されよう。

◎コスモスイニシア <8844> [東証S]

コスモスイニは都市圏を中心にマンションや一戸建ての開発・販売のほか収益不動産を手掛ける。旧リクルートコスモスで、現在は大和ハウス工業 <1925> [東証P]が4割近い株式を保有する筆頭株主だ。インバウンド効果によって日本の不動産は注目度が高まっており、追い風が強い。同社はホテル施設運営でも経験値が高く、客室単価の上昇メリットなどを享受し収益に反映させている。27年秋には上野で新たにホテル開業予定にあるなど業容拡大に余念がない。業績はここ数年来伸びが顕著だが、25年3月期営業利益は前の期比21%増の90億円予想とリーマンショック前の08年3月期以来の水準を見込む。第3四半期時点で同利益は前年同期比2.2倍の70億4200万円と変貌をみせている。

日銀の利上げが後ずれするとの見方が強まるなか、26年3月期も2ケタ増収増益の公算が大きく、依然としてPER7倍前後で、PBRは0.7倍台と一段の水準訂正余地を内包している。時価は拾い場で、早晩年初来高値1200円クリアから一段高が視野に入る。

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