伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 5月11日版
日経平均は目先、2000円幅の調整場面になる公算も
1. 5月の月足が陽線引けするときの展開
前回の本コラムでは「 日経平均株価は5月の月足が陽線引けする場合、月初から上昇の流れを作ることが多く、5月の月足が陰線引けする場合、月初から下げの流れを作ることが多い」という5月の値動きの傾向を紹介しました。
上下どちらへ向かう場合でも、だいたい(月初から4営業日程度)ゴールデンウィーク明けには、月間の最安値をつけて上昇、最高値をつけて下降する展開になっています。
前週はゴールデンウィーク明け後も上昇を継続して、月初から5営業日目となる前週末に一段高となって5月の最高値を更新しています。
過去の経験則を考慮すると、本年は5月の月足が陽線引けする展開になる可能性が大きくなったと言えます。
図1は、5月の月足が陽線引けした年の5月の展開です。
左側は1~4営業日で5月の最安値をつけた年の値動き、右側は5営業日以降に5月の最安値をつけた年の値動きになります。
左側の「1」と「3」は、「3」が月初の下げ幅が若干大きくなっているだけで、ほぼ同じ展開です。
右側の5営業日以降に5月の最安値をつける場合、月初にジグザグしてから上昇するパターンと、月初に大きく上昇して、いったん上げた分のすべてを押し戻されるパターンに分けられます。
本年は5月1日の安値3万6040円から上昇して、5月9日の高値3万7557円まですでに1517円幅の上昇を経過しています。
月初から上昇するパターンは、「1」、「2」、「4」、「6」です。
「4」の展開になる場合、いったん3万6040円以下へ下げた後、再上昇を開始して、5月末へ向けて反転下降前の高値を超える動きになります。
振れ幅を考慮すると「4」の展開を考えにくいので、本年は「1」、「2」、「6」のパターンのどれかになると推測できます。
「1」は、月初の安値を割れず、途中、ジグザグに推移しても月末頃に月間の最高値をつける展開です。
「2」は、5月中旬頃まで一本調子に上昇して、月末までの期間で、上げた分の大部分を押し戻される展開です。
「6」は、月初に大きく上昇した後、すぐに上値を抑えられて、月初の安値を割れる程度まで下げた後、値を戻して5月末が月初の値位置よりも高い展開です。
図1 日経平均株価が5月に上昇したときの値動き