「配当」重視で空売り、春のトランプ波乱では+500万円
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技
トランプ波乱を勝ち抜く技
ノリノリさんの場合-最終回

足元で8000万円を運用する専業投資家。2018年に投資をスタートし、23年に勤め先が廃業したことをきっかけに専業へ転向した。株式の投資歴は長くはないが、"勝負"の経験は豊富。1990年から2021年までの約30年間パチスロと向き合い、後半戦の15年間には5000万円を稼いだ。株式投資はコロナ禍でパチスロができなくなったことを機に本腰を入れ、21年頃に現在の投資スタイルを確立している。「株探-個人投資家大調査-2025」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
・第1回「狙うは『これから増配』、でも重視するのは『配当』より『跳ねる』」を読む
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・「すご腕投資家」の記事一覧を見る
この記事を読んで分かること |
1. ショート取引での銘柄選定の基準 |
2. 空売りの際に注意している2つのポイント |
3. 成功直後の取引で、潔く損切りした理由 |
「今年の春は、ヘッジ売りがしっかり効果を発揮しました」
増配カタリストで値上がり益を狙うノリノリさん(ハンドルネーム)は、トランプ波乱相場の様相となった今年4月に、ショート(空売り)取引で約500万円のリターンを生み出した。
同じ4月のロング取引では240万円の損失が出た一方で、ショート取引がその損失を補い、さらに利益が出る形となった。
■ノリノリさんのショートの月別収支(2025年)
市場が全面安となる局面では、「どの銘柄でも売りポジションを取っていれば、誰でもまとまったリターンが狙える」と考えがちだが、市場のショックを事前に予測するのは難しい。
いざという時にリターンを逃さないためには、日頃からショートすべき銘柄を見極め、試行錯誤の繰り返しがあってこそ結果につながる。「濡れ手に粟」では、まぐれ当たりはあっても、再現性は低くなるのが株式投資の掟だ。
ノリノリさんのショート取引は、「進化の途上」の段階で、損失が出る月もある。それでも、これまでの累積リターンはプラスを維持している。
その鍵は、メーンとするこれから増配銘柄の買い持ちポジションのヘッジ目的に徹していることだ。では、その着眼点とは? 最終回は、これらについて見ていこう。
今年3月に空売りポジションを拡大
まずは4月に、空売りポジションの買い戻しで成功した事例を見てみよう。
下の表は、一部の事例をまとめたものだ。空売りの開始時期は急落直前となる3月下旬で、いずれも株価が下げ止まった4月7~9日に買い戻した。1銘柄あたりのリターンは30万円台から50万円台になる。
■3月下旬からショート取引の対象にした銘柄の例
銘柄名<コード> | 空売り開始 | 買い戻し | 株数 | リターン |
ローツェ<6323> | 3月21日 | 4月7~9日 | 2400株 | 59万円 |
安川電<6506> | 同上 | 同上 | 500株 | 43万円 |
Vコマース<2491> | 24日 | 同上 | 2800株 | 44万円 |
イビデン<4062> | 27日 | 同上 | 600株 | 58万円 |
TOYOイノベ<6210> | 同上 | 同上 | 2500株 | 38万円 |
ソシオネクスト<6526> | 28日 | 同上 | 1200株 | 53万円 |
3月下旬に空売りを集中させたのは、トランプ関税強化への警戒感で、相場のボラティリティー(株価の変動率)が高まる可能性に備えるためだった(下のグラフ)。
3月上旬の売りポジションは1000万円台~2000万円台だったが、3月末に4000万円台に膨らます措置をノリノリさんは取った。
これらの銘柄は、どのような基準で選んだのか。
■米VIXと日経平均VIの動き(25年3月~4月、日足ベース)
出所:QUICK・ファクトセット。注:折れ線が区切れているのは休場日が日米で違うため
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