出世を諦め、投資で「非常識」を貫いたら資産2億円
すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技
トランプ波乱を勝ち抜く技
たむさんの場合-1回完結
イラスト:福島由恵日本株で1億4000万円、債券や待機資金を含めると2億円を運用する専業投資家。投資を本格的に始めたのは、40代半ばだった2002年。会社員としてのキャリアに限界を感じ、資産形成に情熱を注ぐ。50代で早期退職、転職後、61歳となった18年に完全リタイアする。現在は配当収入と年金で悠々自適に暮らしている。趣味は登山。「株探-個人投資家大調査-2025」の回答者で、投資スタイルは「バリュー重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
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| この記事を読んで分かること |
| 1. 投資が怖い人でも資産を築くポイント |
| 2. 「ナンピン買いOK」とする銘柄の特徴 |
| 3. 運用において「投資効率」より大事なもの |
出世が難しいなら、株で大出世してやる!
今回登場する「たむちゃん」(ハンドルネーム、以下たむさん)は40代半ば、会社員としてのキャリア形成に限界を感じたのを機に、「株で1億円」という目標を掲げた。
当時は初心者で大風呂敷を広げたかっこうだが、10年後の55歳であっさりと目標をクリア。68歳の現在、日本株を中心に金融資産は2億円に膨らんでいる。
累計元本は5500万円。それを4倍近く膨らませた原動力は、一般に「禁じ手」や「非効率」とされている手法だ。
なぜ、そんな手法を使うのかといえば、バブル崩壊など数々のショックで、“株は怖い”という原体験があるからだという。「怖い」から禁じ手を使って資産を膨らませた技について見ていこう。
■「割安成長&収益バリュー狙い」でのたむさんの位置づけ(右下)

大型・高配当株で、「売却益と配当」を両取り
たむさんが主に投資対象とするのは、業績や財務が安定している収益バリュー株。その中でも配当利回り3%以上の大型・高配当株に注目する。
その理由は、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を獲得しやすいと考えているためだ。たむさんは勝負銘柄の運用においては、保有株の一部を短中期売買の対象とし、それ以外はガチホ(保有継続)で配当金を受け取る戦略を取る。
日本株について、含み益を含む累積のリターンを見ると、キャピタルゲインは7000万円、インカムゲインは3000万円となっている(下の表)。
■たむさんの日本株の累積リターンの内訳
| 項目 | 金額 |
| キャピタルゲイン | 7000万円 |
| インカムゲイン | 3000万円 |
| 含み益 | 4000万円 |
主力銘柄はJT、運用額全体の半分を占める
本格的に投資を始めて以来、たむさんに最大のリターンをもたらしているのが、2013年3月から取引を始めたJT<2914>だ。
現在の保有株は1万6500株で時価評価額7000万円になる。足元の日本株運用額の約半分を占めている主力銘柄だ。
この12年間で、JTがもたらしたトータルリターンは合計5200万円。このうち2700万円は含み益で、残りの2500万円は配当収入を含む実現益になる。
実現益の2500万円のうち配当収入は1500万円で、この12年で受け取った合計額になる。残りの1000万円は売却益で、少しずつ利確して積み上げてきた。
JTでこれだけのリターンを手にしたポイントは、主に2つある。そのうちの1つは、一般に「禁じ手」とされているもので、もう1つも「効率性」の点からは疑問符がつくことがあるものだ。
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