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米ロ会談で高まったウクライナ和平期待と石油制裁の解除は幻想か <コモディティ特集>

特集
2025年8月27日 13時30分

今月15日、ロシアのプーチン大統領がトランプ米大統領と米アラスカ州アンカレッジで会談した。プーチン大統領を迎えるセレモニーでは世界で最も高価な米ステルス爆撃機が出迎え、プーチン大統領が米大統領専用車「ビースト」に同乗するなど、目を見張る幕開けとなった。米ロ首脳会談後、トランプ米大統領は素晴らしい進展があったと述べたほか、プーチン大統領は「相互理解がウクライナに平和をもたらすことを願っている」、「次(の首脳会談)はモスクワで」と述べるなど、ウクライナ和平に向けて大きな成果を連想させた。

また、米ロ首脳会談の翌週、ウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ米大統領と会談したほか、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳が米ホワイトハウスを訪問したこともウクライナの和平期待を高める要因となった。トランプ米大統領はプーチン・ゼレンスキー会談の調整に言及し、短期間でウクライナ停戦合意が実現する可能性を示唆した。プーチン・ゼレンスキー会談の場所を巡る報道も瞬間的に盛り上がった。今月18日、ニューヨーク市場のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)先物の10月限は61.45ドルまで下落し、中心限月として6月以来の安値を更新した。ウクライナ戦争を背景とする石油制裁がロシア産石油の価格や供給量を抑制しているが、ウクライナ和平合意で制裁が解除されると供給量が回復し、相場を圧迫する可能性がある。

●停戦期待は幻想?

ただ、米ロ首脳会談から10日以上が経過したものの、協議内容について公式な発表は断片的である。トランプ米大統領は、ウクライナに対する安全の保証の一環として英独仏は自国の地上部隊を展開したいと考えており、これがロシアにとって問題になるとは思わないと述べたが、停戦後のウクライナの安全の保証について、ロシアも保証に加わることを要求するなど、この問題だけをとっても協議の終わりは見えない。15日の米ロ首脳会談で合意があったと発表されているものの、一体何について合意したのか。ロシアはプーチン・ゼレンスキー会談を実施する段階にないと否定的で、停戦条件が全く合意に至っていない可能性が高いうえ、ロシアは大統領選挙を見送っているゼレンスキー氏をウクライナの正当な指導者とは認めておらず、ゼレンスキー氏がプーチン大統領と会談する余地はなさそうに見える。推測でしかないが、今月の米ロ首脳会談でウクライナ戦争はあまり話題とならなかったのではないか。

一時的に高まったウクライナ停戦期待は中身を伴わない幻想にしか見えない。外交的な解決の最終ラインである米ロ首脳会談を経ても、解決できない課題が多く残されているならば、新たな衝突を警戒すべきだ。わざわざアラスカを訪問したプーチン大統領に停戦の意思はあったと思われるが、実を結ばなかったと判断するのが妥当だろう。

日本を含めて西側各国はロシア資産を凍結し、その利息をウクライナ支援に回しているが、ウクライナ戦争におけるロシアの勝利を認めるなら、ロシアが窃盗と主張するこの行為の償いは最低限必要である。ロシアの主張を認めつつ停戦に向かうことは、事実上不可能なのだろう。仮に敗戦を認めてロシアに賠償するとすれば、欧米各国の支払い能力のなさや債務問題がクローズアップされる可能性があり、何としてでもロシアを武力で打倒するしか道はない。

先週、トランプ米大統領はSNSにウクライナが勝利するためにはロシア攻撃が必要であるとの内容を投稿した。全文は次の通りである。「侵略国を攻撃しなければ、戦争に勝つことは非常に困難、いや不可能だ。まるで素晴らしい守備を持つスポーツチームが、攻撃を禁じられているようなものだ。これでは勝ち目はない。ウクライナとロシアの場合も同様だ。腐敗していて、極めて無能なジョー・バイデンはウクライナに反撃させることを許さず、防御に徹することしかできなかった。それがどう結果に結びついたと思う? この戦争は私が大統領であれば絶対に起こらなかった-全くありえない。面白い時代がやってくる」。

トランプ米大統領は米国防総省を「戦争省」に改称するというが、何を考えているのだろうか。追い詰められているのはEUや米国にも見え、予断を許さない。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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