概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

金はもみ合い、米FRBの利下げの行方が焦点 <コモディティ特集>

特集
2025年8月20日 13時30分

は7月、米国と各国の関税交渉の不透明感や米大統領のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長非難を受けて買い優勢となり、ドル建て現物価格は6月17日以来の高値3438ドル台をつけた。ただ、米国と日本の関税合意を受けて貿易に対する楽観的な見方が出ると、戻りを売られた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが決定され、米FRB議長が利下げに慎重な見方を示すと、3268ドル台まで下落した。

8月に入ると、弱気の米経済指標を受けて米FRBの早期利下げ観測が戻り、押し目を買われた。早期退任が発表されたクーグラー米FRB理事の後任にミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が指名されたことも支援要因になった。また、米国がスイスの金塊輸入に関税を課すと通知したことも支援要因となったが、ホワイトハウスが「誤情報」だと声明を出すと上げ一服となった。当面は米国の相互関税発動がサプライチェーン(供給網)やインフレに与える影響を確認したい。

一方、米ロ首脳会談ではウクライナの停戦合意には至らなかったが、和平合意の道が模索された。トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領、欧州首脳の会談を受け、ロシアとの3者会談が実施される見通しとなった。ただ、それぞれの思惑は異なっており、先行き不透明感が残っている。

トランプ米大統領が、関税率を通知する書簡を各国に送付し、関税交渉の不透明感が高まった。ただ、米大統領は7日22日、日本との貿易交渉で合意したと投稿した。日本からの輸入品の関税を15%に引き下げることに加え、5500億ドルの対米投資で合意した。欧州連合(EU)との合意見通しも伝えられると、貿易に対する楽観的な見方が出た。日米の関税合意をもとに関税を15%に引き下げ、6000億ドルの対米投資で合意した。また、米中は閣僚の通商協議で8月12日が期限となる関税休戦を90日間延長することで合意した。

ただ、米国は中国やインドに対してロシア産原油の購入停止を要求しており、対立が続いている。インドに対する関税は当初25%だったが、米国を非難する声明を発表すると、27日から合計50%の関税が課されることになった。また、50%の関税を課されたブラジルは世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとして米国を提訴し、BRICSとして対応を協議するとした。北米圏で米国はメキシコの関税措置を90日間延長して交渉を継続するとし、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)対象外のカナダ製品に対する関税を25%から35%に引き上げた。ロシアに対しては原子力潜水艦2隻を配備することを命じ、ウクライナとの停戦に応じなければ影の船団とされる石油タンカーに対する制裁を科すと牽制した。ただ、米ロ首脳会談で和平合意の道が模索されると、制裁は見送られた。

●米FRBの9月利下げ観測

7月29~30日の米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置くことを決定した。ウォラー理事とボウマン副議長の2人が反対票を投じたが、パウエル米FRB議長「は9月の米FOMCで利下げを実施するかどうかを判断するのは時期尚早」と述べた。6月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇と前月の2.4%から加速したこともあり、9月の利下げ観測が後退した。しかし、7月の米雇用統計が事前予想を下回ったことに加え、過去2ヵ月分が大幅に下方修正されると、利下げ観測が戻った。非農業部門雇用者数は7万3000人増と事前予想の11万人増を下回った。過去2ヵ月分の雇用者数は合計25万8000人下方修正された。

一方、クーグラー米FRB理事の後任にミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が指名された。ミラン氏はハーバード大学で経済学博士号を取得しており、トランプ米大統領の政策はディスインフレ的だと見なし、利下げ要求に同調している。また、米FRB改革の論文も執筆している。ただ、上院の承認が必要で任期は来年1月末までとなる。

7月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%上昇と伸びは前月から横ばいで事前予想の2.8%上昇を下回った。ただ、米生産者物価指数(PPI)が前月比0.9%上昇と2022年6月以来の大幅な伸びとなった。大幅利下げの見方もあったが、9月は25ベーシスポイント(bp)利下げとみられている。目先は22日のジャクソンホール会議でパウエル米FRB議長の講演があり、利下げの可能性が示唆されるかどうかが焦点である。

●米利下げ観測で金ETFに買い

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、8月18日に965.37トン(6月末952.53トン)となった。米FRBの利下げ観測を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは8月12日時点で22万9485枚(前週23万7050枚)となった。前週に4月1日以来の高水準となったが、関税の混乱が一服すると、利食い売りや新規売りが出た。米FRBの利下げ観測が下支え要因だが、目先はウクライナ情勢の行方も確認したい。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集