【杉村富生の短期相場観測】 ─この局面（年末年始）は地銀株を攻める！

「この局面（年末年始）は地銀株を攻める！」

●大型IPOはなぜ、成功するのか？

昨夏に続く「日銀ショック」との声がある。年末特有の激しい値動きが続いている。ボラティリティ（株価変動率）が極端に高い。多くの投資家の皆さんがこんな商状には「とてもついていけない」と感じているのではないか。まさに、一方通行マーケットである。まあ、こんな相場に、無理についていくことはない。古来、「休むも相場なり」という。

そんな状況下、17日に東証プライム市場に上場したＳＢＩ新生銀行 <8303> [東証Ｐ]が元気だ。公開価格（1450円）に対し、初値は1586円（公開価格比9.4％高）、この日の高値は1680円まであった。同日の終値（1623円）ベースの時価総額は1兆4533億円に達した。19日の高値は1890円である。

日銀は金融の正常化に向け、大きく舵を切った。19日に開いた金融政策決定会合では0．25％の追加利上げを決めた。利上げは2026年も続けるだろう。金融セクターは利ザヤ拡大のメリットを享受できる。なにしろ、久々に金利のある世界が訪れる。ＳＢＩ新生銀行は「第4のメガバンク」を目指しているが、バックのＳＢＩホールディングス <8473> [東証Ｐ]を軸にネットバンキング、暗号資産などを得意とするユニークな存在となろう。

大型IPOは“成功”の確率が高い。ちなみに、東京地下鉄 <9023> [東証Ｐ]は上場来高値が公開価格比1.77倍、キオクシアホールディングス <285A> [東証Ｐ]は同9.90倍、ＪＸ金属 <5016> [東証Ｐ]は同2.85倍になった。1カ月後をメドに、TOPIX（東証株価指数）採用になるのが大きい。需給は一気に改善する。もちろん、機関投資家の組み入れがある。

この局面では 地銀株に注目できる。四国、瀬戸内、北九州が地盤のいよぎんホールディングス <5830> [東証Ｐ]、ちゅうぎんフィナンシャルグループ <5832> [東証Ｐ]、山口フィナンシャルグループ <8418> [東証Ｐ]は地の利を生かし、そろってシップファイナンス（船舶向け新造船融資）に注力している。造船業復活の国策に沿う。

●地銀の多くがPBR1倍割れの水準！

地銀株はテーマ性を内包、業績が急浮上に転じると予想されているにもかかわらず、PBR（株価純資産倍率）は1倍割れの水準に放置されているケースが目立っている。前述の山口フィナンシャルグループはPBR0.67倍、ちゅうぎんフィナンシャルグループは0.74倍、いよぎんホールディングスは0.89倍にすぎない。ここはPBR1倍水準を目標にできる。

大手証券が投資判断を「強気」にしている千葉銀行 <8331> [東証Ｐ]、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> [東証Ｐ]だって、PBR1倍割れだ。2026年にかけて、地銀株は軒並み株価カサ上げとなろう。その場合、PBR1倍割れは株価刺激材料になり得る。

このほか、首都圏が地盤の横浜フィナンシャルグループ <7186> [東証Ｐ]、しずおかフィナンシャルグループ <5831> [東証Ｐ]には業容拡大の期待が膨らむ。九州フィナンシャルグループ <7180> [東証Ｐ]は熊本、鹿児島が地盤だ。この地域はハイテク工場の建設が相次いでいる。

一方、全般相場については海外ファンドのファンドマネージャーがクリスマス休暇とあって不在である。国内勢はお正月を控え、動きづらい。当然、流動性は細る。このため、インデックスは荒れる。しかし、大きく崩れる相場ではない。外国人の基本スタンスは「強気」である。

それに、企業は変わった。自社株買いの激増、増配ラッシュが好例だろう。親子上場の解消はドラスチックに進んでいる。なにしろ、上場廃止企業がIPO（新規公開）企業よりも多い。需給は目に見えて改善している。個人投資家の損出し（売却益圧縮）の売りはほぼ一巡した、と思う。

青山財産ネットワークス <8929> [東証Ｓ]、東京電力ホールディングス <9501> [東証Ｐ]はそろそろ下げ止まりそうなタイミングである。

小判ザメ戦法というか、寄らば大樹の陰の視点ではアルファベット<GOOG>と親しいｎｏｔｅ <5243> [東証Ｇ]、エヌビディア<NVDA>のエリートパートナーのジーデップ・アドバンス <5885> [東証Ｓ]、サービスナウ<NOW>の上級パートナーのロココ <5868> [東証Ｓ]などに妙味があろう。

2025年12月19日　記　（次回は2026年1月1日に更新予定）

株探ニュース