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人気復活の鐘は鳴るか、成長エリア健在「メタバース」関連を徹底追跡 <株探トップ特集>

特集
2025年12月29日 19時30分

―今年も新サービス続々登場、エンタメ以外にも活用広がり市場規模は拡大へ―

サンリオ <8136> [東証P]は11日、常設型 VRテーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」をオープンした。世界中から24時間365日利用することが可能で、一部の有料コンテンツを除き基本無料で楽しむことができる。同社はオンラインイベントの開催などデジタル領域の強化に取り組んでおり、今回のVRテーマパーク開設はこれを更に推し進めるものとなる。こうしたインターネット上の仮想空間は「メタバース」とも呼ばれ、外出自粛が叫ばれたコロナ禍の時期に活用の動きが広がったが、次第に下火になった印象がある。現在の状況はどうか。

●事業縮小する米メタ、整理の動き国内でも

コロナ禍でメタバースが脚光を浴びる契機となった象徴的な出来事と言えば、米ビッグテックの一角、メタ・プラットフォームズ<META>による社名変更だろう。同社は2021年、それまでの「フェイスブック」から現社名に名称を改め、メタバース事業へ注力する姿勢を鮮明とした。しかし、その後コロナ収束とともにリアル回帰の流れが強まるなか、事業環境は徐々に悪化。今月初めに同事業を大幅縮小することが伝わり、一つの区切りを迎えた。

国内でも事業整理の動きは出ている。ANAホールディングス <9202> [東証P]は今年2月、スマートフォン向けバーチャル旅行プラットフォームアプリ「ANA GranWhale」を終了した。関連サービスのNFTマーケットプレイスも同時に提供を終えた。NTT <9432> [東証P]も仮想空間プラットフォーム「DOOR」を3月で提供終了し、他社へ事業譲渡した。江戸時代の街並みを再現した「Edoverse」を運営する同名の子会社を有していたShinwa Wise Holdings <2437> [東証S]は、昨年に同子会社の商号を変更。あわせて、デジタルアートやNFTアート分野に事業の軸足を移す方針を示した。

●日立、バーチャル原発で作業効率化

一方、新たにサービスが続々と登場している現実もある。三菱自動車工業 <7211> [東証P]は3月、バーチャルカーライフアプリ「MILAND」の提供を始めた。バーチャル上でクルマの所有や仲間とのドライブ、車両のカスタマイズが楽しめるという。JR西日本 <9021> [東証P]は4月に「バーチャル大阪駅4.u」を公開。従来サービスから機能面などを拡充して期間限定でオープンした。JR東日本 <9020> [東証P]も同じく4月にエキナカ商業施設「エキュート秋葉原」を再現した「Parallel ecute -Akihabara-」をスタートさせている。7月には三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]が「三菱UFJ銀行メタバース」をリリースした。

一般向けだけでなく法人向けサービスも登場しており、日立製作所 <6501> [東証P]は7月に「原子力メタバースプラットフォーム」を発表。原発を再現したバーチャル空間上で電力事業者や工事施工会社が情報を共有し、建設や保全作業の効率化を目指す。世代間の技術伝承や生産性向上といった原発業界の課題に対応する狙いだ。自治体での利用も広がる。主に地域の魅力や観光情報の発信の場として活用され、例えば東京都の「Virtual Edo-Tokyo Dig Tokyo東京の魅力探索」、京都市の「京都館PLUS X」などがある。

総務省の資料によれば、世界のメタバース市場規模は30年に5078億ドル(23年に567億ドル)まで拡大するという。国内の市場規模も25年の約9100億円から、30年には約2兆円に達すると推計。エンターテインメントや観光から建設、教育、オフィスなど幅広い分野で活用が広がると見込んでいる。

●関連銘柄さまざま、メタバース専業で唯一の上場企業など

関連銘柄をみていこう。主力どころに位置づけられるのは、まずは印刷大手の大日本印刷 <7912> [東証P]とTOPPANホールディングス <7911> [東証P]。両社とも事業ポートフォリオを印刷からITソリューション、素材、電子材料などへ多角化しているが、ITソリューションの一つとしてメタバース構築支援を手掛けている。大日印は前述の京都館PLUS Xを手掛けた実績があるほか、自治体向けにバーチャル空間を利用したラーニングシステムの展開を進めており、直近では千葉県に提供している。TOPPANはメタバースイベントの運営サービスやバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ」を提供。三菱UFJ銀行メタバースは同社が手掛けている。

ゲーム運営のグリーホールディングス <3632> [東証P]にも注目だ。近年は事業領域を多様化させ、スマホ向けメタバース「REALITY」を軸にバーチャルイベントサービスやVチューバー事業を展開。前述のバーチャル大阪駅4.uはREALITYを用いて構築している。同業のコロプラ <3668> [東証P]も傘下でメタバースシステムを手掛ける。カバー <5253> [東証G]はメタバース事業「ホロアース」の開発を進めており、所属Vチューバーのバーチャルイベントなどに活用している。

KDDI <9433> [東証P]も見逃せない。同社は23年からメタバース・Web3サービスプラットフォーム「αU」を提供しており、同プラットフォーム上で近未来の都市を再現する大阪・関西万博のコンテンツを手掛けた実績がある。意外なところではオープンハウスグループ <3288> [東証P]。戦略子会社モンドリアンで関連サービスを展開する。学研ホールディングス <9470> [東証P]は傘下でバーチャルオフィス「MetaLife」を提供している。

ここまで大型から中型の銘柄をみてきたが、小型ではmonoAI technology <5240> [東証G]に着目。メタバース専業でほぼ唯一の上場企業だ。13年に創業し、他社に先駆け20年にバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」をリリース。22年に上場した。業績面では苦戦中だが、24年から大日印と資本・業務提携を結び、教育分野や自治体向け案件に注力。新たなソリューション開発を担う「AI-XR事業部」を新設するなど取り組みを加速させている。

このほか、関連小型株では企業・自治体向けにメタバース支援サービスを提供するGMOペパボ <3633> [東証S]やピー・ビーシステムズ <4447> [東証G]、メタバースの企画・開発を手掛けるカヤック <3904> [東証G]などに目を配っておきたい。

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